あらすじ:科学者夫婦のクライヴ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)は、人間と動物のDNAを掛け合わせて未知の生命体を創り出す禁断の実験に魅せられてしまい、やがて現実にひとつの生命が誕生してしまう。2人はその生き物を“ドレン”と名付け、極秘に育て始める。するとドレンは驚くべき速さで成長し、あっという間に美しい女性の姿へと変貌を遂げるのだったが…。(allcinema)
『閲覧注意』なビジュアルに刺さる!
映画って観るタイミングで刺さったり乗れなかったり作品の良し悪しなんかも変わって来きたりするよね。で、その中でも最近観て刺さったトンデモ映画【スプライス】を紹介!
監督は仕掛け満載の謎の立方体から脱出しようとするサスペンス映画【CUBE】のヴィンチェンゾ・ナタリでございます。【CUBE】以降、彼の作品は観てませんがどうなのか?
これ良かったーー!おれの好きなヤツ!
これだけ声に出して「キメーーー!」と声に出した映画もないだろうってくらい、物体としてのビジュアルのキモさが抜群。そこがかなりのツボでした。系統としては【ザ・フライ】や見た目の楽しみ方は【遊星からの物体X】にも通じると思います。
雰囲気から「SFっぽいのかな?」と思ってたんだけど、その要素は無く『キモいビジュアル』と意外にも『ドラマ』で見せる倫理観を揺さぶる異色のホラー映画でした。
まず作り出された生命体(モンスター)第1弾のフレッドとジンジャーは露骨に「これって見せちゃダメなやつだろ...」的な『グロ何これ?ビジュアル』で、見てはいけないモノを見てしまった変な高揚感にやらる。これの惨劇なお披露目会のシーンはもう笑っちゃいます。
次にメインとなる人間のDNAを結合させた第2弾のドレン(♀)は人間に近いのもあって、逆にその歪さに良い意味での嫌悪感や拒否反応を示してしまうんだけど、学習しながら成長するにしたがって人間ぽさが出てきたり、大人の妙な色気も出てきたりしてしまう。
世に出してはいけない生き物と、それを単にモンスターとして無碍に扱えない、絶妙なラインを保っているドレンの造形や見せ方がスゴい上手かった。
ドレンの笑顔はトラウマもんです...
人間のどうしようもない部分
結構話の作りも上手くて、主人公のクライヴとエルサは結婚に踏め出せないカップルで、ドレンを子供とした『疑似家族』という構成になってしまうのも厄介なところ。
『性別』の件や、エルサの過去を匂わす描写や母親と子の接し方や『性』など、ビジュアル然り人間のどうしようもない部分や心理の『痛いところ』を突きつけて来るドラマ性も含めて、期待していなかった分1つ頭抜けてる感じが良かった。
最後はわりと王道なホラー映画に終着していくんだけど、その中でもまだかなりのヒドい展開やラストもダメ押しがあったりと、こちらが求めてる以上に駆け抜けてくれてます!作り手の情熱を感じられた。
2~3年前の自分なら単純に毛嫌いしてただろう一作。このタイミングで観れたこともラッキーで、ここ最近のホラーものの中ではかなり『刺さった』ヒット作になりました!ビジュアルショックな刺激が好きな人にはオススメです。
まとめ
良かった点
- キメーーー!&絶妙な造形ビジュアル
- 痛いドラマ性
- 求めてる以上の悪意あるサービス精神
悪かった点
- 終盤の展開にオリジナリティが欲しかった
評価:★★★★ 結構良かったぜ! 製作総指揮のギレルモ・デル・トロありがとう!!!
[ 予告編 ]
関連&オススメ作品!
CUBE
ヴィンチェンゾ・ナタリと言えばこの作品!アイデア勝ちな一作。
ザ・フライ
ビジュアルのキメーーー!感にグッと来たものでいうと、この作品はかなり好きです。
遊星からの物体X
【遊星からの物体X】が好きなら【スプライス】のビジュアルも楽しめると思います。