ギリギリの生活を送るシングルマザーのダイアン(アンヌ・ドルヴァル)は、15歳のスティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)と二人で生活している。彼女は最近矯正施設から退所したばかりの注意欠陥多動性障害の息子の扱いに手を焼いていた。やがて母子は隣の家に住む、今は休職中の高校教師カイラ(スザンヌ・クレマン)と親しくなっていき……。(シネマトゥデイ)
強烈な親子愛!
切り取り方や画面の構築が綺麗でそれがやたら印象に残ってる【わたしはロランス】。その監督:グザヴィエ・ドラン。彼の最新作【Mommy/マミー】をリニューアルしたYEBISU GARDEN CINEMAで観て来ました。
男女の愛より描くのが難しそうな親子愛をじっくりと綺麗かつ残酷に魅せてくれた。前半の淡々としたトーンからラストに掛けてグッと持って来られ、正直終盤でこんなにも胸を締め付けられるとは思わなかった。
1:1 (実際の感覚は1:1.4の縦長に見えた)の枠で切り取る画は観る人の視線を惹きつける。最近だとインスタだったり、昔からあるものだとレコードやCDジャケットだったり。画のハマり具合い心地いいし、そこに何かしらの意図が生まれる。
切り取ったシーン映る人物をクローズアップし引きつけ、とある架空の土地で不器用に生きる親と子・隣人、彼らの関係・やり取りから強烈な『愛』と人間味が画面を通して浮かび上がって来る。
『あのシーン』は必見!
誰もがみんな理想的で順風満帆な暮らしが出来る訳でもなく、みんなそれぞれコンプレックス/精神的な問題/トランスジェンダー/障害だったり何かしら抱え生きているリアル感が凄く共感出来るし、この監督作品に数多くの人の胸を打たれるのはそういう部分があるからなのかな。
本作1:1の比率からエモーショナルに開かれる画角の切り替えや、音楽のシンプルな挟み方もメリハリが効いている。中でも1番グッと来た『あのシーン』は映画【ブルーバレンタイン】のエンドロールに匹敵する切なさで、物語りの全てはあれの為の『フリ』のようにさえ見えて来る。
あのシーンが観れただけでもこの映画を観て良かったなと思わされた。
なんだろう割とベタな表現なんだけどベタだからこそ、それまでの淡々としたトーンとのギャップもあるし、強そうに見えてる母親ダイアンの引きずる内心を見てしまったから。
形が無い『愛』がぶわっと間違いなくそこ・目の前にあるのが分かる感覚に浸れました。
まとめ
良かった点
- 強烈な親子愛を魅せてくれる
- 画角の切り替えや画の切り取り方
- あのとてつもなく切ないシーン
悪かった点
- 前半がちょっと淡々とし過ぎかな ( 眠くなっちゃう )
評価:★★★★ 結構良かったぜ!これ観たら母親に会いたくなるね!
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【わたしはロランス】
トランスジェンダーを扱ったラブストーリー。写真集をパラパラとめくっているかのようにシーンひとつひとつが綺麗だった。
『愛』の始まりと終わりを描いた苦しさ満載な映画。エンドロールは秀逸ですね!
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