超高層ビルの工事を手掛け、翌日に重要な作業に控えている大手建設会社のエリート社員アイヴァン・ロック(トム・ハーディ)。妻と息子たちの待つ家に帰ろうと愛車のBMWに乗り込むと、1本の電話がかかってくる。それを機に、彼は自宅ではなくロンドン方面の高速道路に車を走らせていく。
電話で部下に翌日の作業を一方的に押し付け、妻に自宅に戻れなくなった原因を告げるアイヴァン。一刻でも早くロンドンに向かおうとする中、困惑する部下、解雇を宣告する上司、憤怒する妻からの電話を受け取る。(シネマトゥデイ)
たまにはこういう映画もイイね
【マッドマックス 怒りのデス・ロード】で寡黙なマックスを演じてたトム・ハーディが、車内での電話のやり取り=会話をメインに展開されるワンシチュエーション映画【オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分】。突飛な設定に車内だけでどう見せてどう話が展開して行くのか?と予告に惹かれて観て来ました。
まず思ったのは、
あら、サスペンスでは無いんだ...
実際のところポスターや予告編で言われているようなサスペンスものではなく『1人の男がケジメをつける』どちらかと言うとヒューマンドラマである。
元々はワンシチュエーションで電話絡みのサスペンスって言ったら【フォーン・ブース】っぽいのかな?と思ってたんだけどそれとはだいぶ毛色が違う。話が進んで何となく見えて来ると自然と引き込まれ、これはこれで観れてしまうんだけどね。
トム・ハーディの表情に声の抑揚、ハイウェイの流れる白線、ガラスに映る灯り、4人の電話相手との話が同時平行に進んで、一見同じような画の繰り返しに見えるが上手くバリエーションを出して突飛な設定に甘えずどう見せるか・飽きさせないか、話のテンポ含めちゃんと考えてくれている。
男ってこういう側面もある
主人公:アイヴァン・ロックは引き返すことも止まる事もせず、ブレーキの壊れた列車に乗ってるがのごとく夜のハイウェイに車を走らせ、自分の過ちによる『事の行く末』まで、自ら向かうというより運ばれて行くような。
アイヴァン・ロックという男の人となりを電話や『ある幻影』とのやり取りから浮かび上がらせるのは上手いなと思いつつ、【イースタン・プロミス】の脚本を担当したスティーヴン・ナイトが監督って事で期待していた分、展開にもうひと捻り欲しいというか物足りなさは正直感じてしまった。
仕事の肝となるコンクリートの話になると一段階テンションが上がったり、変に責任感があって融通の利かなかったり、デキる男の自分の何でも思い通りになると思ってる驕り感とか、車を走らせる謎の男から同じ男として分からんでも無い部分もあったり、意外と『男ってこういう側面のある生き物』なんだってのが見ることのできる映画だなと。同性てして観ていて痛いなぁ…と思いつつどこかむず痒い。
正直女性はかなりノリにくい内容なんじゃないかな?劇場で観ている時に隣にいる男が結構鼻水啜るほと涙してて、逆にこっちは「え〜...マジか。」と若干冷めてしまった。隣にいるそいつの彼女に言いたい。これで泣いてるってことは「こいつアイヴァン・ロック的な素質あるぞ」と。
まとめ
良かった点
- このワンシチュエーションで勝負する姿勢
- 人となりを浮かび上がらせる上手さ
- 男のある側面を見せてくれる
悪かった点
- 脚本的にもうひと捻り欲しかった
- なかなかの共感しにくい内容
- 途中軽くダレる
評価:★★★ 普通に楽しめました。トム・ハーディ乗りに乗っているな〜!これからの活躍にも注目!
[ 予告編 ] 「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」予告編 - YouTube
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【フォーン・ブース】
コリン・ファレル主演の異色サスペンス。企画勝ちで当時は目新しかったな。
【[ リミット ]】
ワン・シチュエーションものだとこの映画も思い出す。淡々としてるものの結構後に引きずる作品!棺桶の中に閉じ込められた男のサスペンス・スリラー。
もうだいぶ前に観たから忘れちゃったな、ロシアンマフィアと一般人が交差する物語。また観直したいな。
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