あらすじ:1995年。多額の借金を抱えた万代をはじめとする5人組が、指定暴力団五誠会系大越組を襲撃して現金強奪に成功する。だが、大越組がヒットマンを放ったことにより事件は激化。関与する者たちは命を落とし、大越組も解散した。
2014年。五誠会は3代目・誠司(安藤政信)に引き入れられて勢力を拡大。そんな中、大越組幹部を父に持つ久松(東出昌大)と大輔(桐谷健太)、五誠会に囲われている麻美(土屋アンナ)、19年前の事件を調査しているルポライターの森澤(柄本佑)が出会ったことにより……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:129分 製作年:2015年
監督・脚本:石井隆
キャスト:東出昌大 / 桐谷健太 / 土屋アンナ / 柄本佑 / 安藤政信 / テリー伊藤 / 井上晴美 / りりィ / 福島リラ / 松本若菜 / 菅田俊 / 井坂俊哉 / 根津甚八 / 鶴見辰吾 / 竹中直人 等
ココイチ楽しみにしていた続編!
豪華メンツが共演したバイオレンス・アクション映画【GONIN】の続編【GONIN サーガ】が19年の時を越えて実現!監督は石井隆。実は女版GONINの【GONIN2】もあるんだけど、これはこれで単体なので、3作品目にあたる本作が1作目と地続きな続編となっております。
実は『マッドマックス』シリーズを観てなかったので【マッド・マッド 怒りのデス・ロード】よりも、ジュラシック・パークの続編【ジュラシック・ワールド】よりも、続編決定でテンションが上がったのはこの【GONIN サーガで】で、ずっと楽しみにしていました。前日に一作目を復讐いや、復習していざ鑑賞して来ました!
いや〜、今撮れる割りとベストな形で落とし込こんでくれたじゃないかー?!!ってくらい痺れました!石井隆監督・根津さん・キャスト陣・スタッフの皆さんに「ありがとう!」と言いたい正統派な続編でした。
1作目の事件の生き残りが目覚める事で、止まっていた遺族や関係者の時間が一気に動き出す。
印象的な斜めの書体で始まり象徴的な雨のシーンを多用し、とことんツボを突いてくる前作のオマージュが随所にいい分量で挟み込まれ、丁寧なおさらいと続編としての事を起こすキッカケもある意味前作より明瞭なので、『続編』を作るにあたって結構考え抜いてくれたんだろうなと、それだけで胸が熱くなる。
一作目は90年代バブル崩壊後、リストラとか世間に見捨てられたような5人の男達がヤクザの大金を強奪するも、ヤクザ(五誠会)が依頼したヒットマンに続々と報復を受ける血生臭い苦さや世知辛さ・無情さを儚くも過激に魅せてくれた。
続編となる本作は、あの事件から運命を狂わされ長い間傷を抱えた被害者や遺族が、あるキッカケからそれぞれのケジメをつけようと死の淵に足を突っ込んで行く。観客はあの事件の生き証人として彼らの辿る顛末を見届ける。
終盤の盛り返しが熱い!!!
【桐島、部活やめるってよ】以降パッとしない東出くんは真面目にながらも若頭だった父親譲りの凶暴さを秘めたキャラにちゃんと見えてたし、桐谷健太もいつものように安定!ただ男らしいさの中でも巻き込まていく役なのでその辺りの人の良い甘さが上手かった。
ファムファタールな麻美を演じる土屋アンナも荒れ&廃れ感が絶妙でやたら股間にカメラが向けられ、柄本佑は周りに行動をケシかける誘惑者として不思議な存在感を放っていた。
五誠会の3代目の安藤政信とその親父2代目のテリー伊藤の関係性も良かったし、竹中直人の過剰なキャラ立ちとジリジリ感や、意外と演技がシックリくる福島リラちゃん、伊藤晴美のヤクザの妻っぽさ等々、キャストが派手に固まらず良いバランスで仕上がってました。
途中「5年間で成長し過ぎ?」「ちょっと独り言多いな…」「どんな場所で支度してんだよ?」「なんでその行動にそのメイクなんだよ?!」「昼のシーンだったのに、え夜?」とか「うーん間延びしてるな…」って、細かく気になる所はあるんだけど、思い返すとそれも込みで石井隆テイストなのかなと。
【GONIN】でもホラー映画に匹敵する竹中直人と自宅シーンや、急に店内に人が誰もいなくなったりしてたもんな。
それよりもその「んん??」な諸々を消し去って行くような終盤のドンパチな盛り返しにはヤられました!もうね、最後『あの人』の登場に涙が出そうになって。スプリンクラーの件やアレを持って構えるシーン然り一作目とのシンクロと、終わり方も潔かったなーー!
中盤過ぎくらいにこの映画実際は「YONINじゃね?」とか思ったけど、ちゃんと五人であり『GONIN』であることを見せてくれました。
一作目が好きなら絶対観に行くべきだし、観に行くなら絶対一作目は事前に観直した方が良いですね。作品オマージュがとても気持ちイイ作品でした。
まとめ
良かった点
- この映画の続編を今やるという企画
- ツボを突いて来る一作目のオマージュ満載
- バランスのいいキャスト陣
- 事件の遺族や関係者の葛藤や自分達なりのケジメ
悪かった点
- 終盤手前の間延び感
- あの昼から夜へぶっ飛ぶシーンは一瞬映画館の上映ミスかと思ってしまった
評価:★★★★ 結構良かったぜ! 正直東出くんが主演ってだけでそんなんでもないんだろうなと思ってたんだけど、石井監督の演出と脚本に満足です。こういう日本映画って最近あんまり無いよね。これが石井隆監督作初見だとかなり飲み込みにくいかも。
[ 予告編 ] 「GONIN サーガ」本予告編 - YouTube
[ 映画館を探す ] 「GONIN サーガ」の映画館(上映館)を検索 - 映画.com
これを機に古い石井隆監督作を探して観て行きたい!
関連&オススメ作品!
【GONIN】せっかくなので軽く感想を
あらすじ:バブル崩壊により暴力団・大越組に多額の借金を抱えてしまったディスコのオーナー万代(佐藤浩市)。彼はさまざまな出会いにより知り合った4人の男たちと共に、大越組事務所からの現金強奪を実行する。しかし、それも些細なミスから大越組に知れ、彼らは命を狙われることになる……。(allcinema)
製作国:日本 上映時間:109分 製作年:1995年
監督・脚本:石井隆
キャスト:本木雅弘 / 佐藤浩市 / 竹中直人 / 根津甚八 / 椎名桔平 /北野武 / 永島敏行 / 鶴見辰吾 / 木村一八 / 室田日出男 / 横山めぐみ 等
『サーガ』を観るために復習として久しぶりに観たけど、
やっぱ面白ぇー!というか好き。
5人の男がヤクザの金を強奪してヒットマンが殺しに来るって分かりやすいストーリーに、キャラの立った役者陣と石井隆監督のセンスが見事にハマった良作。
観直して良い意味で改めてセンスが目に付く。椎名桔平が事務所に現れるた時のあの姿や、ビートたけしの片目ガーゼとSなホモ設定、竹中直人宅のホラー展開に根津のレストランで誰もいなくなる演出、もっくんのロープ巻き付け&イカリの下りなど。細部のディテールにグッと来る。
それが無駄なシーン無くスマートに繰り広げられて、彼らが追い詰められる数日を一気に駆け抜けていく。ザラついた映像の質感もいいっすね。
クレジット見て気付いたけど、栗山千明と津田寛治もちょい役で出てるとは。
評価:★★★★★ 最高!フォーー!安定して邦画の中でもかなり大好きな作品です。
久々に観てふと思ったけど、漫画『殺し屋1』の中国人のヒモ男の龍のくだりは、椎名桔平演じるジミーの、大好きな彼女を犯されながら拷問されるシーンに影響を受けれるのかな?
【GONIN2】
【GONIN】の翌年作られた『女版GONIN』。キャストも緒形拳や大竹しのぶを筆頭になかなか豪華で、中でも鶴見辰吾のヤバい奴は必見です!なかなか見た目からしてあんなヤバい奴はそういない。
【フリーズ・ミー】
井上晴美主演/石井隆監督作。結婚を控えた強姦された過去を持つ主人公宅に、再び男達が訪れて平穏な生活が一気に崩れていく。その男達が北村一輝/鶴見辰吾/竹中直人と濃い。ヒヤッとした質感と嫌な感じが今でも残っている。
【ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う】
のっけからギョッとするシーンに、佐藤寛子の体当たり演技が売りの石井監督作品。キャストは竹中直人/大竹しのぶ/井上晴美/宍戸錠/津田寛治など。終盤のあの場所はどこなんだろう?良い場所見っけたな〜!
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