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アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!基本大したことは書いてない。

【感想】岸辺の旅 / 黒沢清テイストで『ある視点』を形にしてくれた不思議な質感の映画!!!

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あらすじ:3年間行方不明となっていた夫の優介(浅野忠信)がある日ふいに帰ってきて、妻の瑞希(深津絵里)を旅に誘う。それは優介が失踪してから帰宅するまでに関わってきた人々を訪ねる旅で、空白の3年間をたどるように旅を続けるうちに、瑞希は彼への深い愛を再確認していく。やがて優介が突然姿を現した理由、そして彼が瑞希に伝えたかったことが明らかになり……。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:128分 製作年:2014年

監督:黒沢清 原作:湯本香樹実 脚本:宇治田隆史 / 黒沢清

キャスト:深津絵里浅野忠信小松政夫村岡希美奥貫薫赤堀雅秋蒼井優首藤康之柄本明

 

泳がされるような不思議な感覚

湯本香樹実の同名小説を【CURE】【回路】の黒沢清監督が実写化。本作は第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で日本人初の監督賞を受賞したそうな。最近、黒沢清と誕生日が一緒だと知り勝手に親近感を持ってたりするんだけど。観た感想は、

 大切な人を亡くした人や、大切な人を置いて亡くなった人の『思い残し』と『それを受け入れる』までを、ファンタジーでもありホラーでもありラブストーリーでもあるなんとも不思議な質感で描く映画でした。

なんか想像してたより『単なる感動もんのラブストーリー』じゃないのが良かった。

 

死んだ夫:優介が幽霊となって3年ぶりに妻:瑞希の元に帰って来る。優介に誘われ一緒に旅をし、彼が帰って来る間に関わった人達や、共にいる時間を通して瑞希が『大切な人の死』に向き合い、受け入れていく。

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全体的にのんびりとしたタッチではあるんだけど、優しさを見せた瞬間、黒沢監督の特有な見せ方や場面展開、画の構築、照明や光の変化、音の強弱、音楽の使い方で、時にゾッとさせられたり時にヒャっとさせられたり、ふとした瞬間にジーンとさせられたりする。「あっ、そういえば普通の映画じゃなかった!」と意識を引き戻される感じ。

精神的な落ち着きどころが無く、地に足に付かないまま泳がされるような映画を観てる時間は、瑞希の置かれている不思議な数日を疑似体験しているみたいだった。話の中では一人目の新聞配達のオジさんの回が好きだったな。

 

『ある視点』を形にしてくれた

印象的なのはこの映画で出て来る『幽霊』が普通の生きている人間とあまり区別がつかないところだ。一般の人にもちゃんと姿が見えるし、触れるし会話も出来る、はたまたバスや電車にも乗れる。

この一周回ったような幽霊の表現って、よく霊感のある人が「生きている人間と区別できない位に霊がハッキリと見える」って言うような事をもろにやってて、それが「いやいやいやw」と思わせない塩梅と浅野忠信の覇気の無さとも相まって上手く成立させているのは、黒沢監督にしかなし得ないことなんだろう。

いちいち幽霊である事を検証とか確かめたりしなくて、すんなり受け入れるところも良い。そんな事より幽霊としてでも夫が戻って来た嬉しさが勝るくらい瑞希は想っていたって解釈で進んで行ける。設定としてはおかしいんだけど、それが取り立ててぶっ飛んでない落ち着いた表現だからなんかスーッと入って来る。

 

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本作をサックリ言うなら『亡くなった → 葬式 → 終わり』じゃなくて、大切な人が亡くなるって事はこれくらい受け入れるのに時間がかかって、心の底から会いたいとか、あわよくばずっとこのままそばにいたいとか、色んな想いと受け入れるまでの葛藤や過程があって、亡くなった側にもそれと同じように想いがあって、その諸々をある夫婦を通して「なんか、分かるな」とギリギリ飲み込めるバランスで映像化してくれた。

まさに『ある視点』を形にしてくれたのでカンヌの受賞も納得っす。【海街diary】みたいな日本の情緒を感じる描写を大切に入れてくれたのも、海外的に反応してくれたんじゃないかな。

 

急に出て来る蒼井優の瞬発力や、改めて深津絵里の髪質と肌質の良さや女性としてのポテンシャルの高さを実感。この2人の女の闘いはホラーを通り越してほんとゾワっとしたわ。【悪人】の時の深津絵里よりも仕上がってましたね。その歳で「優介、優介、優介」なデレ感も良かったし!

えっと、浅野忠信はいつもの感じでだったんだけど、いつふらっとまた消えてしまうんじゃないかと思わせる感じは上手かっですね。

 

まとめ

良かった点

  • 色々なテイストが1つの映画に混在する不思議な感覚
  • 「分かるな」と思わせる絶妙なバランス
  • 幽霊の表現や随所に入る黒沢清テイスト
  • 深津絵里のポテンシャルの高さ

悪かった点

  • もう少し夫婦の過去が観たかった
  • 逆に泳がされる分、気持ちの持って行きどころに迷う

評価:★★★  普通に楽しめました。自分は泣くまでには至らなかったんだけど、前にいたオバさんは結構グスングスン泣いてました。若い人よりかは多少大切な人を亡くした経験のある年配の人の方が刺さりそう。自身の経験と重ねたり、想いを馳せてしまう作品です。

[ 予告編 ] 映画『岸辺の旅』予告編 - YouTube

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黒沢清監督/浅野忠信出演作。だいぶ昔に観たからか全然覚えてない。印象かなり薄め。。

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【CURE】

またこういう作品観たいな。黒沢監督のゾッとさせたり不穏な空気を作る出す力は凄い!

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好きな人とあるところに向かうって面では通じるかもね。深津絵里出演作の中でも好きな方。

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この作品もなんとなく通じるかな。ノホホンな空気を漂わせるも突然にギョッとさせられる。

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