あらすじ:東西冷戦の最中の1960年代前半。CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を制圧するために、長年の政治的対立を超えて手を組むことに。思考や方法論も真逆の二人は、組織につながる手掛かりである行方をくらました科学者の娘を守り、核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:116分 製作年:2015年
監督・脚本・製作:ガイ・リッチー 脚本・製作:ライオネル・ウィグラム
キャスト:ヘンリー・カヴィル / アーミー・ハマー / アリシア・ヴィキャンデル / エリザベス・デビッキ / ジャレッド・ハリス / ヒュー・グラント 等
もっとワクワクさせてくれよ!
60年代人気を博したテレビシリーズ【0011ナポレオン・ソロ】を元マドンナの旦那で【ロック、ストック】【スナッチ】の監督:ガイ・リッチーが映画化した【コードネーム U.N.C.L.E】を観て来ました。あのガイ・リッチーの新作という事で楽しみにしてたんだけど。感想は、
全体的に一つ一つが抜けて来ないというか、アクション然り人物の絡み方も終始目新しさはなく普通で、主役2人のキャラ立ちもシンプルではあるけどどこか薄く、スパイの道具もあんまり出てこないし、音楽もクドかったり、敵キャラが魅力的って訳でもなく…
作品に身を任せるある程度の安定さはあるんだけど「なんかイイじゃんよー!!ガイ・リッチーーー!!」とはならない。もっとワクワクさせてくれよ!ヤるならヤれよ!
つまらなくは無いけど決して「面白い!!」とまでいかない最近観た【バクマン。】と似たようなテンションでした。
日頃は対立関係なんだけど、一時的に目的の一致したCIA(アメリカ)のNo.1スパイと、KGB(ロシア)のNo.1スパイの、性質の違う活きの良いスパイ同士を組まして、啀み合いながらも持ちつ持たれつ協力して任務を遂行するあたり、素材としては美味そうなんだけど。
プレイボーイのソロは特に四六時中女を引っ掛けてヤリまくってる訳でもなく雰囲気だけで、生真面目で短気なクリヤキンもその性質が特にストーリーと深く絡んで来ないので、2人ともイイ男ではあるんだけどどちらも中途半端。
この映画、ちょっとだけやる・ちょっとだけ見せる・ちょっとだけ匂わすみたいな『ちょっとだけ』が多かった。言い換えれば『控えめ』、というかもっとメリハリが欲しい!見せたいものややりたい事が多くてそうなったのか、元のドラマの雰囲気をなぞっているのかは知らないけど。
てかクリヤキンの秘技を中盤雑魚キャラで見せておいて、終盤での良いシーンでカマして来るかと思ったら出さないってなんだよアレ!とか思ったり。
スパイ繋がりで比べるのもなんだけど、ちょっと前にやっていた【キングスマン】は作品としてやり切っていたので、本作は全体的な面白さ・アクション・敵も含めたキャラクター・ストーリー展開・世界観・音楽の使い方・ワクワク度・ゾクゾク感・フレッシュさなど全ての点において【キングスマン】を下回っていた印象。+なんとなく期待してたハードルも下回る感じ。。
前からノれて無かったわ
そもそもガイ・リッチーの【ロック、ストック】【スナッチ】【ロックンローラ】辺りの色んな奴が出て来てガヤガヤする群像劇的な話が個人的に俄然好きなので、ロバート・ダウニーJr.とジュード・ロウがイチャつく【シャーロック・ホームズ】みたく、イケメン・バディものになってからノれて無いのもあったなと思い出し、本作も完全に【シャーロック・ホームズ】が世間的にもウケて、そのノリで作られたような作品なのでアガらないのも致し方ないのかな。
とは言え実は【シャーロック・ホームズ】の2人よりかはイチャつかないのもあって、佇まいスマートなバディの雰囲気は好きだし、エンドロールのキャラの振り返りでまたこのチームであと一作だけ観てみたいかもとは思わされました。
良いところもあって、バディの一長一短のバランスが良かったり、時折見せるオフビートな場面も少なめだけどちゃんと笑えた。元々対立してるから意外と片っぽの危ない場面も引いてるというか放置気味な反応も面白い。
ヒロインのギャビーを演じた若干いなたいアリシア・ヴィキャンデルはもっと見ていたかったし、【エベレスト 3D】の透明感ある美人ドクター役も記憶に新しい、エリザベス・デビッキもまたギャビーとは違った魅力があって良かったですね。あとはポスターのアートワークがシンプルでカッコイイとかもあるけど。
結構この映画スタイリッシュなオープニング&エンディングがカッコイイみたいな事を目にするけど、このレベルなら他の映画でもよく観かけるし、取り立てて惹かれなかったですね。
まとめ
良かった点
- 期待しなければ楽しめる
- イチャつかないスマートなバディ感
- 時折見せるクスッと笑えるオフビートさ
- アシリア・ヴィキャンデルのいなたい可愛さ
悪かった点
- 安定はしているけど、もろもろが中途半端で『控えめ』
- スパイ映画が多い年での公開と、あの芸人ヒロシのBGMをドヤ顔的な見せ場で使ってしまう辺りの残念さ ( ガイ・リッチーは知ったこっちゃ無いけど )
評価:★★★ 普通に楽しめました。観終わってすぐ「続編観てぇー!!!」とはならないテンションではあったけど、【シャーロック・ホームズ】の3作目よりは本作の続編の方が観たい。
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関連&オススメ作品!
【ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ】
ガイ・リッチーの長編監督デビュー作。全体的にカッケー臭を身に纏い、純粋にワクワクさせてくれる!
【スナッチ】
2作目がこれって凄いな!【ロック、ストック】のテイストをよりメジャー感漂うポップな作品に。ブラピ/ジェイソン・ステイサム/ベニチオ・デル・トロと熱いですな。
【ロックンローラ】
【シャーロック・ホームズ】やる1個前のクライム群像劇。マーク・ストロングやトム・ハーディも出ているが、トビー・ケベル演じるジョニーのキャラが好き。
2作目も含めスローの場面しか記憶にない。。群像劇をやめた『ガイ・リッチー シーズン2』的な立ち位置の作品。俺はあんまり好きじゃない。
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