
あらすじ:東京で派遣教員をしている皆川七海(黒木華)は、鉄也とSNSで知り合った後に結婚。結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に頼む。しかし、間もなく鉄也の浮気が明るみに。ところが七海が浮気をしたと義母に責められ、家を出ていくことになる。そんな七海に安室が結婚式の代理出席や、月給100万円の住み込みメイドのアルバイトを紹介。そこでメイド仲間で、型破りで自由な里中真白(Cocco)と出会う。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:180分 製作年:2016年
監督・脚本・原作:岩井俊二
キャスト:黒木華 / 綾野剛 / Cocco / 原日出子 / 地曵豪 / 毬谷友子 / 和田聰宏 / 佐生有語 / 夏目ナナ / 金田明夫 / りりィ 等
人生と新しい時代との関わり方
なんだか黒木華主演・岩井俊二監督作【リップヴァンウィンクルの花嫁】の評判がやたら良いのでこれはと思って観てきました。
これは邦画で久々にキちゃいました!
冴えない生活を送る
黒木華演じる七海は
SNSで知り合った男と結婚し、つつがない生活を送るのかと思いきや、どうにもならない事態へと堕ちて行き…
本作、中盤に差し掛かっても「これはどういう映画なんだ…?」とどこに着地していくか分からないライド感が高くて、誰かの夢の世界に入りこんでしまったかような映画だった。
この何が起きるか分からなさは『人生』そのもの。
綾野剛演じるミステリアスな安室という男によってあれよあれよと七海は生活を転々とし、色々な人に出会っていく。
本作、漠然とした『人生』ともう1つは『新しい時代との関わり方』みたいなものを感じた。
便利になった今の時代、ニッチな仕事も増え、お金を払えばなんでもやってもらえる。それは時に希薄だったりネガティヴに捉えがちだけど、この作品はそれを優しく肯定し、それにより大切なモノと出会えたり、満たされるモノがあるのだと気付かされる。
その入り口であり案内人が安室という男だったのかなと。そこが押し付けがましく無くさり気なくも新鮮で。
変化していった先の新しい時代のあり方とその時代との向き合い方、それをいち早く面白い一本の作品として昇華させた作家力にちょっとビックリしました。これは
岩井俊二にしか作れないんだろうなと。
つい最近まで読み方を『くろきはな』と読んでいた
黒木華(くろきはる)ちゃんの、押しに弱く受け身で物静かなキャラとがマッチしかなりの当たり役。か細い声も効いていて、彼女の作品をあまり見たことなかったんだけど、
蒼井優には出せないリアル素朴感は見事ですね。
それに【
そこのみにて光輝く】ばりに最高にこれもハマってた
綾野剛、飄々としてミステリアス、寄り添うようで現実には存在しなそうな幽霊のような佇まいは良かった!
それに演技をあまり見たこののない
Cocco、フラットな人当たりと危うさを兼ね備えた真白という役にこちらもピッタリ、軽く歌を歌うシーンは圧巻。やっぱり歌手だなと素敵な声に本業を思い出す。
良いなと思う細い部分もあって、七海の旦那役に敢えてあんまり有名な役者を当てなかったのは正解だと思う。あそこは過ぎ行く人として変に残らないような配役なんだろう。
あとは紀里谷監督の狙った使い方、乳首が見えそうで見えない微かな期待を抱かせる
黒木華の
ウェディングドレス姿の俯瞰シーン、顔が変わり過ぎて気付かなかったが、昔好きでよく見てたセクシー女優の真白希実の出演とか、スタッフロールで見つけて嬉しくなったり。
黒木華と
Coccoのイチャつきシーンがちょっと長いなぁとか、ラストの裸になるくだりがあんまいらなかったなぁ… みたいなのはあったけど、ぶっちゃけ最近観た【ルーム】や【スポットライト 世紀のスクープ】に匹敵するくらいの
インパクトを残されちゃいました。こういうのは海外の作品では観れないんじゃないでしょうか?
まとめ
良かった点
- アトラクションの如くふわふわと漂うようなライド感
- 便利になった新しい時代の側面をポジティブに魅せる
- メインの3人がとても魅力的に映る
悪かった点
- 最後に思いついて入れたくなっちゃった的な裸のくだりはちょっと浮いてたなと思う
評価:★★★★★ 最高!フォーー!独特な空気感の映画なので気分転換にもオススメです!3時間だとは思わなかった、体感は2時ちょっと。【花とアリス】を借りて来たので早速観てみます。
[ 予告編 ]
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