アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!基本大したことは書いてない。

【感想】ヴィクトリア / 荒削りな全編140分ワンカットの意欲作!!!僕の人生は悔しくも一変しなかった...

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あらすじ:3か月前にマドリードからベルリンにやって来たばかりのヴィクトリア(ライア・コスタ)は、帰ろうとしていたところ4人組の青年に呼び止められる。まだドイツ語がおぼつかないながらも、彼女は地元民の彼らと酒をくみ交しながら楽しい時間を共有する。その後ヴィクトリアは、酔いつぶれた仲間の代わりに車の運転の代行を頼まれ……。(シネマトゥデイ) 

 

製作国:ドイツ 上映時間:140分 製作年:2015年

監督・脚本・プロデューサー:セバスチャン・シッパー

キャスト:ライア・コスタ / フレデリック・ラウ / フランツ・ロゴフスキ / ブラック・イーイット / マックス・マウフ 等  

 

やり遂げた全編140分ワンカット!

『全編140分ワンカット』を打ち出したドイツ映画【ヴィクトリア】。「とうとう2時間超えるワンカット映画が出て来たかー!」とかテンション上がって楽しみにしていた作品(知らないだけで既にあるのかも…)で、上映館数が少ない中観て来ました。感想は、
 
よく考えると凄いよな!!

取り敢えず肝である『全編140分ワンカット』だけで言うなら、特にカメラマン・俳優陣のドヤ感を感じさせない流れるような立ち振る舞い、ホントお疲れさまでした!やり切ってましたね。

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カメラマンや撮影スタッフの影が一瞬俳優に乗ったり地面に写ってたりしてしまうミスや、撮影を気にする通行人も無く、それを140分の長尺でやってのけ、尚且つやったであろう何回かのカメラテストに、日が明ける時間帯を見計らって街中で敢行した製作陣&キャストのやったろー感&ガッツが、1つの作品として実を結びこうして世に出たってのを考えると改めて凄いよな。
大まかな動きを記した12ページの覚え書き&その場の役者たちの即興演技に、シンプルなストーリー、人の少ない夜明け前の時間、諸々を計算しそれがちゃんと功を奏している。
 
多分実際は他のワンカットテイクと部分部分で上手く繋ぎ直してそうだけど… これだけでも観る価値はあると思います!
 
ただ…
 

ワンカットゆえに首が締まる 

その主人公に付いて回る『140分ワンカット』の手法で発揮されうる緊張感であったり、主人公と共に追体験する感覚・まさにその時その場で起こっているリアルさを、これでもかと活かそうとし過ぎた終盤の『展開』にちょっとノレなかったですね。
 
ストーリーとしては、3ヶ月前にベルリンに越して来た主人公:ヴィクトリアは、夜の街で地元の男4人組に声をかけられ、些細な好奇心とノリで付いて行ってしまい、あれよあれよとゴタゴタに巻き込まれ、仕舞いには人生が一変してしまう… といった話だ。
 

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中盤まではワンカットの手法も相まってヴィクトリアと共に夜の流れに巻き込まれいく感覚をそれなりに楽しんでたんだけど、終盤のクライマックス、家に押し入ってからヴィクトリアがとる常軌を逸したある行動に、完全に心が離れちゃいました。
 
いや〜、それは無いだろ… まだ男の発案なら納得できるけど。。手法からして観客に感情移入させておいた方が良いのに… 突如人が変わったかのようにとる行動と、それがキッカケでタガが外れてしまったその後の展開も、気持ちが乗ってないので心底どうでも良くなって冷めた目で観る羽目に。
その場にいる地続きな時間と出来事をリアルを写し続けるワンカットな手法だけに、行動のリアルの無さが逆に際立ってしまい、画面の中からスクーンの前にガバッと引き戻さた感覚というか、そこでいち観客として我に返らされちゃったのは正直残念でした。良い線まで行ってたのに…
 
前半がタルいな〜とか、恋愛描写が薄いわりにラストが大袈裟だな〜とか、ヨダレ出すなら酒飲んだ後なんだし吐けや〜!とか、ワンカットにしても俳優がカメラマンが来るのを待ってる瞬間があったな…とか、色々と細かい不満点もあるにはあって。
 
頑張りは認めるけど、イリャニトゥの【バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)】や、POVの【ブレア・ウィッチ・プロジェクト】のような、手法が作品の出来を引き上げるレベルまでは行かないなんとも惜しい意欲作でした。
でも雰囲気がちょっと似てる【アレックス】を過去に観てたので、今にもトンデモナイ事が起こるんじゃないか...?あんな事は起きないでくれよ… と無駄にハラハラさせられました。『衝撃』で言うなら【アレックス】の方が強いですね。
 
 

まとめ

良かった点
  • 全編140分ワンカットをやり遂げたガッツと意気込み&製作陣・キャストに拍手!
  • ワンカットによる緊張感と追体験感
  • ヴィクトリアを演じたライア・コスタが可愛い
  • ベルリンの街並みが魅力的に映る
悪かった点
  • 前半が間延びしてタルい
  • 終盤からの毛色が変わるノレない展開
  • 【バードマン】には感じなかった、カットが変わらない気持ち悪さを感じてしまった
評価:★★★  普通に楽しめました。
どうせならこういう手法とガッツ勝負で荒削りな作品を日本映画で観たかったですね。本作の監督はこれからが勝負だと思います、あの【ヴィクトリア】の監督最新作って聞いたら惹かれるよ。今年ベスト候補っていう人もいるので、ぜひぜひ一人の人生が一変する140分間を観に劇場へGO!!!
 
 
 

関連&オススメ作品!

バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)
映像アートのような擬似的ワンカットが唯一無二な作品。【レヴェナント】よりもコッチ派。

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アレックス
目を背けたくなるドギツいシーンが印象的!監督ギャスパー・ノエが放つ問題作。

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【アレックス】の軽い感想はこちら↓

 
リップヴァンウィンクルの花嫁
異国で嫌な目に遭う内容なら【ホステル】っぽいんだけど、1人の女性があれよあれよと振り回され一緒にライドしていく感覚の映画といえば、最近観たこの映画にも通じる。

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