【感想】コインロッカーの女 / 裏社会で生きる女2人のケジメが切なく交差する！良質な韓国ノワール！！

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あらすじ：生まれて間もなく地下鉄のコインロッカー10番に置き去りにされた赤ちゃんは、イリョンと命名される。そして、仁川のチャイナタウンに君臨し、裏社会の人々には“母さん”と呼ばれる女性（キム・ヘス）が彼女を養育する。やがて大人になったイリョン（キム・ゴウン）は母さんの経営する闇金融業を手伝うようになるが……。(シネマトゥデイ)

製作国：韓国　上映時間：111分　製作年：2015年

監督・脚本：ハン・ジュニ

キャスト：キム・ゴウン／キム・ヘス／パク・ボゴム／コ・ギョンピョ等

裏社会で生きる女2人のケジメ！

東京テアトルpresents『未体験ゾーン未来の映画たち 2016』のラインナップで気になりつつもタイミング合わずに劇場に行けなかった韓国映画【コインロッカーの女】をレンタルで鑑賞。ここ最近は新作の記事が多かったけど、今回は旧作の感想になります。

ちょっと長いなとは思ったけど、なかなか面白かった！

産まれてすぐコインロッカーに置き去りにされた主人公：イリョンは、金貸し一家に拾われ裏社会にどっぷりと染まり大人になる。

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仕事一筋で異性を意識した事がなかった主人公が、取り立て相手の優男に惚れてしまう漫画にありそうな展開ながら、裏社会で生きる故にそんな甘さなど微塵も感じさせない無慈悲な母親の制裁が火種となり、悲劇の後半戦へと突入。

拾った女(母)と拾われた女(娘)、これが裏社会のやり方だと言わんばかりの女2人のケジメが切なく交差する。

身寄りのない子を拾ってきて育て、選ばれた者だけが家族となる一家のシステム(独り立ちも可)や、返済できなければ殺して臓器を売って回収するなどの一家のシステム描写が良く、イリョンの幼少期から大人になるケレン味あるスマートな見せ方だったり、序盤に出てきたシーンを後々活かす辺りも上手いなと。

それに加えて韓国ノワール独特の陰鬱さ・湿った質感・ちゃんと見せるバイオレンスなど、この手の映画に求める要素の質が諸々と高かった。

金貸し一家が魅力的！

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特に主人公：イリョンを演じたキム・ゴウンが良かったですね、この作品で初めて知りました。男っ気の無さと口数が少ない分、感情を表情の機微で魅せる。普段の写真を見てこんな可愛らしい女性なんだと驚いた程、役への入り込み方は日本の女優でいうと安藤サクラを彷彿とさせる。

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キム・ゴウン

他にもお母さんを演じたキム・ヘスのヤる時は自ら手を下す説得力のある女ボスの佇まいと哀愁、取り立て相手には冷徹なんだけど実は思いやりある長男、知恵遅れで凶暴さを秘めた弟、イリョンと同期で入った手のかかる赤髪の子(ポジション的には姉)に、臓器を取り出す役目のおじさんと、とにかくこの疑似家族の家族構成とキャラのバランスが絶妙。

裏社会の合理的なスタンスと、血の繋がりのない疑似家族との組み合わせも上手くマッチしている。いつもは外に向ける刃が内に向かった時も変わらず淡白な姿勢で、裏社会で育った本人達もそれを受け入れ生活している。その辺諸々の裏社会感が堪らん！

話は似てないけど【新しき世界】とか好きならこの映画もグッと来るんじゃないかな？と思う、本作はもっとこじんまりした話だけど。

韓国映画って本当包丁好きよね〜とか、イリョンが惚れてしまう優男の顔が整い過ぎて浮いてるな〜とか、ラストの赤髪の子の展開は無理やりだろ〜とか、観てから結構経つけど思い出深い作品ですね。

こういう当たり作を観ちゃうと評判の良かったイ・ビョンホン主演の【インサイダーズ内部者たち】を見逃したのが凄く悔やまれる。