どうも、アバウト男です。
今回は是枝監督最新作【海よりもまだ深く】の予習のために【奇跡】と【歩いても 歩いても】の2本を鑑賞、その感想になります!並びは観た順に。
奇跡
あらすじ:離婚した両親がやり直し、再び家族4人で暮らす日を夢見ている航一(前田航基)。母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)と連絡を取っては家族を元通りにする方法に頭を悩ませる航一は、九州新幹線全線開通にまつわるうわさを聞きつけ、ある無謀な計画を立て始める。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:128分 製作年:2011年
監督・脚本:是枝裕和
キャスト:前田航基 / 前田旺志郎 / 大塚寧々 / オダギリジョー / 夏川結衣 / 阿部寛 / 長澤まさみ / 原田芳雄 / 樹木希林 / 橋爪功 等
奇跡はすでに起こっている...
インプット&アウトプットのセンス
まとめ
良かった点
- まえだまえだが真っすぐな子供を好演
- 是枝さんのインプット&アウトプットのセンス
- 地続きで子供の頃を思い出すよな些細な描写多数
悪かった点
- 奇跡がすでに起きてるように見える後半からリアリティに欠ける展開 ( 些細な描写を切り取る是枝さんだからこそ、ちょっとそこの展開が際立つ )
歩いても 歩いても
あらすじ:夏のある日、横山良多(阿部寛)は妻のゆかり(夏川結衣)と息子のあつし(田中祥平)とともに実家に帰省した。この日は、15年前に他界した兄の命日。しかし、失業していることを口に出せない良多にとって、両親(原田芳雄、樹木希林)との再会は苦痛でしかなかった。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:114分 製作年:2008年
監督・脚本:是枝裕和
キャスト:阿部寛 / 樹木希林 / 夏川結衣 / 原田芳雄 / YOU / 高橋和也 / 田中祥平 / 寺島進 等
是枝リアリティが存分に映える!
この作品は2011年に作られた【奇跡】よりも前の2008年に作られた作品。同じ阿部寛と樹木希林が親子って設定では【海よりもまだ深く】と切っては切れない作品ではないだろうか。
前に一度ボケーっと観て消化不良だった本作をちゃんと観なければと思い再鑑賞。
ホント観直して良かった!
長男の命日に実家に集う家族の姿をナチュラル且つ時にエグるように魅せる、是枝流リアリティがすし詰めされた傑作!傑作と言いたいほど強烈で刺さりました。
年1で会っても変わらぬ家族ならではの会話の掛け合いや間、それが活かされるフィックスでの長回し。電気の点いてない部屋から夕食の風景を撮ったりなどの建物を活かし生活感を感じさせる撮影の数々、父と子/母と子/姉と弟/姑と嫁などの家族の組み合わせが生む空気感とその間柄ならではの会話など、境遇は違えど誰しもが感じうる『家族・親族』の姿ややり取りを写す。
【奇跡】を観た時に感じた『インプット&アウトプット』のセンスがこの時の方がグッと冴えてましたね。中でも印象的だったのが、話してる人の背中をぐーっと映したり、会話の途中から抜かれた引き出しや子供が取ってきた花などの物を見せる事で、会話の含みやセリフに余分に意味を持たせる見せ方が凄く上手いなと。
樹木希林の演技力と存在感
リアリティを構築するキャスト陣のナチュラルな演技は言うことなしなんだけど、『死』に今でも囚われている大人達の心の内に抱える殺伐さと、それがふっと表に出る瞬間を特に体現してた樹木希林。もうあのゾッとする名シーンは何とも言えない…
『親』と言っても分からない部分も・知らない面も沢山ある一人の人間なんだと突きつけられる。中盤の遮ってるのに話をなかなか止めないくだりのジャブが効いてる分、後のシーンがより引き立つ。
これを観ちゃうと是枝さんが樹木希林をなぜ繰り返し起用するのか納得しちゃう演技力と唯一無二の存在感には唸らされちゃいました。代わりの人が思いつかないですね。
他にも良いなってとこが色々あって、トウモロコシの天ぷらが美味そうだったり、親戚に1人はいる長女の旦那の空元気感 (車の販売をしている部分が、うちの親戚にも共通するので尚更)、親が買ってきたの寝巻きの絶妙なダサさ、瞬間的なおじいちゃんの箸舐め etc. 葉山近辺のロケーション含め、琴線に触れる繊細な描写やシーンがとても多い心を打つ作品でした。
まとめ
良かった点
- 家族/親族/家庭の醸し出す空気感が凄くリアル
- 撮影の仕方やシーンの見せ方がテーマを効果的に引き上げる
- 親であってもよく分からない一人の人間なんだと気付かされる
- 女優:樹木希林の演技力と存在感
- とくに無かったかな
評価:★★★★★ 最高!フォーー!
扉のノックを口に出すって確か【海街diary】でもやってたなとか、新作にどんな共通点があるかも楽しみさせてくれる再鑑賞でした。
[ 予告編 ]
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