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アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!

【感想】『奇跡』『歩いても 歩いても』/ 是枝監督最新作『海よりもまだ深く』の予習で観てみた!!!

邦画 【ア行】 邦画 【カ行】 邦画 評価:★★★★ 評価:★★★★★

どうも、アバウト男です。

今回は是枝監督最新作【海よりもまだ深く】の予習のために【奇跡】と【歩いても 歩いても】の2本を鑑賞、その感想になります!並びは観た順に。

 
 

 奇跡

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あらすじ:離婚した両親がやり直し、再び家族4人で暮らす日を夢見ている航一(前田航基)。母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)と連絡を取っては家族を元通りにする方法に頭を悩ませる航一は、九州新幹線全線開通にまつわるうわさを聞きつけ、ある無謀な計画を立て始める。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:128分 製作年:2011年

監督・脚本:是枝裕和

キャスト:前田航基 / 前田旺志郎 / 大塚寧々 / オダギリジョー / 夏川結衣 / 阿部寛 / 長澤まさみ / 原田芳雄 / 樹木希林 / 橋爪功 等

 

奇跡はすでに起こっている...

両親が離婚してしまい、母親と祖父母と鹿児島で暮らす兄と父親と福岡で暮らす弟が、家族がまた1つになって暮らせるよう『奇跡』を起こしに奮闘する話だ。
 
自分と照らし合わせて楽しめた。
子供って事で細かいことは「まぁ仕方ないか」と誤魔化されそうになるけど、いやいや大人が考えて作った映画だと我に返る。
この作品の後に撮った【そして父になる】【海街diary】を先に観てたので、それに比べると話の内容は分かりやすいんだけど、話の持って行き方が不思議な映画でした。

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後半の冒険で『奇跡』を起こしに行く前に、見ず知らずの人の家に泊めてもらって野宿せずにみんな布団で寝れるとか、新幹線がかち合う絶妙な場所に行けるとか、すでにかなりの奇跡的な事が起こってるなぁ…
いや、それがもしや奇跡って事…? いやいや、さすがにそれは浅いだろう…とかストーリーを進める上でちょい強引なリアリティの無さに混乱しかけるも、そういう事より本作は、子供達を取り巻く暮しの些細な瞬間や描写・子供目線・奇跡を起こしたいが故にとる真っ直ぐな行動なんかを楽しむ映画なんだと思う。
離婚した親どうこうは、冒険のキッカケとオチを上手く落とす要素に過ぎないというか。
 
 

インプット&アウトプットのセンス

この兄弟同様に、自分も小学生の頃兄弟でスイミングに通ってて懐かしさが込み上げたり、犬が死ぬとすぐに得体の知れない汁が出てくるんだよなぁ、ってことはあの子の鞄の中は今頃… など、個人的に色々と思いをめぐらしたり、「あ〜分かるな〜」って共感し自分に照らし合わせて観ることができたので面白かった。
出来たらスイミングの帰りのバスが市営バスじゃ無くスクールバスだったらよりリアルだったなぁと思うも、プールの帰りバスの窓開けて髪を乾かす何気ない描写が良い!
 
このスイミングも単純な設定としてでは無く、兄弟が個別でスイミングに通う描写は、離婚する前に兄弟が一緒に通っていた名残りを表すのに上手く機能している。ポテチの最後の残りカスが美味いんだよ!のくだり然り。
 

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是枝さんは日常の些細なやり取り・何気ない仕草や瞬間などを掬って、それを作品に無理無く入れ込む『インプット&アウトプット』が凄く上手い監督だと思う。それが繊細なリアリティを生み、自分の生活と地続きで観ることの出来る邦画の良さに昇華している。
 
今や芸人よりも役者として活躍しているまえだまえだの独壇場な本作ではあるけど、橋爪さんのおじいちゃんのホッコリ感や、中村ゆり演じる保健の先生の体温計シコシコもエロくてGOOD!【海街diary】もそうだけど男目線も決して見失ってない!
所々気になる点はあったり、後半から都合の良い方向に転んじゃったな感はあるけど【COP CAR コップカー】ばりな子供の真っ直ぐさと勢いを感じれる作品でした。ベタだけど『あの瞬間』は無音が良かったな、そしたら泣いてたかも。
 

まとめ

良かった点

  • まえだまえだが真っすぐな子供を好演
  • 是枝さんのインプット&アウトプットのセンス
  • 地続きで子供の頃を思い出すよな些細な描写多数

悪かった点

  • 奇跡がすでに起きてるように見える後半からリアリティに欠ける展開 ( 些細な描写を切り取る是枝さんだからこそ、ちょっとそこの展開が際立つ )
評価:★★★★  結構良かったぜ!
本作だと奇跡が起きて願いが叶うって事なんだけど、願いが叶ってこそ奇跡なんじゃないかな?と順番が逆?とか個人的に思ったり、『奇跡』の概念がちょっと不思議でしたね。
あと九州の描写も良かったな。鹿児島だと日常的に阿蘇山の灰が降って来たり、路面電車は前に一人旅をした熊本を思い出したり。
[ 予告編 ]

 
 
 

歩いても 歩いても

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あらすじ:夏のある日、横山良多(阿部寛)は妻のゆかり(夏川結衣)と息子のあつし(田中祥平)とともに実家に帰省した。この日は、15年前に他界した兄の命日。しかし、失業していることを口に出せない良多にとって、両親(原田芳雄、樹木希林)との再会は苦痛でしかなかった。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:114分 製作年:2008年

監督・脚本:是枝裕和

キャスト:阿部寛 / 樹木希林 / 夏川結衣 / 原田芳雄 / YOU / 高橋和也 / 田中祥平 / 寺島進 等

 

是枝リアリティが存分に映える!

この作品は2011年に作られた【奇跡】よりも前の2008年に作られた作品。同じ阿部寛と樹木希林が親子って設定では【海よりもまだ深く】と切っては切れない作品ではないだろうか。

前に一度ボケーっと観て消化不良だった本作をちゃんと観なければと思い再鑑賞。

 

ホント観直して良かった!

長男の命日に実家に集う家族の姿をナチュラル且つ時にエグるように魅せる、是枝流リアリティがすし詰めされた傑作!傑作と言いたいほど強烈で刺さりました。 

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年1で会っても変わらぬ家族ならではの会話の掛け合いや間、それが活かされるフィックスでの長回し。電気の点いてない部屋から夕食の風景を撮ったりなどの建物を活かし生活感を感じさせる撮影の数々、父と子/母と子/姉と弟/姑と嫁などの家族の組み合わせが生む空気感とその間柄ならではの会話など、境遇は違えど誰しもが感じうる『家族・親族』の姿ややり取りを写す。

【奇跡】を観た時に感じた『インプット&アウトプット』のセンスがこの時の方がグッと冴えてましたね。中でも印象的だったのが、話してる人の背中をぐーっと映したり、会話の途中から抜かれた引き出しや子供が取ってきた花などの物を見せる事で、会話の含みやセリフに余分に意味を持たせる見せ方が凄く上手いなと。

 

樹木希林の演技力と存在感

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リアリティを構築するキャスト陣のナチュラルな演技は言うことなしなんだけど、『死』に今でも囚われている大人達の心の内に抱える殺伐さと、それがふっと表に出る瞬間を特に体現してた樹木希林。もうあのゾッとする名シーンは何とも言えない…

『親』と言っても分からない部分も・知らない面も沢山ある一人の人間なんだと突きつけられる。中盤の遮ってるのに話をなかなか止めないくだりのジャブが効いてる分、後のシーンがより引き立つ。

これを観ちゃうと是枝さんが樹木希林をなぜ繰り返し起用するのか納得しちゃう演技力と唯一無二の存在感には唸らされちゃいました。代わりの人が思いつかないですね。

 

他にも良いなってとこが色々あって、トウモロコシの天ぷらが美味そうだったり、親戚に1人はいる長女の旦那の空元気感 (車の販売をしている部分が、うちの親戚にも共通するので尚更)、親が買ってきたの寝巻きの絶妙なダサさ、瞬間的なおじいちゃんの箸舐め etc.  葉山近辺のロケーション含め、琴線に触れる繊細な描写やシーンがとても多い心を打つ作品でした。

 

まとめ

良かった点

  • 家族/親族/家庭の醸し出す空気感が凄くリアル
  • 撮影の仕方やシーンの見せ方がテーマを効果的に引き上げる
  • 親であってもよく分からない一人の人間なんだと気付かされる
  • 女優:樹木希林の演技力と存在感
悪かった点
  • とくに無かったかな

評価:★★★★★  最高!フォーー!

扉のノックを口に出すって確か【海街diary】でもやってたなとか、新作にどんな共通点があるかも楽しみさせてくれる再鑑賞でした。

[ 予告編 ]

 

 

関連&オススメ作品!

海よりもまだ深く

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海街diary

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