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アバウト映画公園

"プロの独身"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!

【感想】ディストラクション・ベイビーズ / 新鋭監督が放つ純粋な暴力と狂気がギラつく一作!!!

邦画 【タ行】 2016:劇場鑑賞 邦画 評価:★★★★

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あらすじ:愛媛県のこぢんまりとした港町・三津浜の造船所に2人で生活している芦原泰良(柳楽優弥)と弟の将太(村上虹郎)。喧嘩ばかりしている泰良はある日突然三津浜を後にし、松山の中心街で相手を見つけては喧嘩を吹っ掛けていく。そんな彼に興味を抱いた北原裕也(菅田将暉)が近づき、通行人に無差別に暴行を働いた彼らは、奪った車に乗り合わせていた少女・那奈小松菜奈)と一緒に松山市外へ向かい……。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:108分 製作年:2016年

監督・脚本:真利子哲也 脚本:喜安浩平

キャスト:柳楽優弥菅田将暉小松菜奈村上虹郎池松壮亮北村匠海 / 三浦誠己 / でんでん 等

 

純粋な暴力と止まらない狂気!

なぎら健壱だか、なだぎ武だか、スッと名前が出て来ない柳楽優弥主演の暴力映画【ディストラクション・ベイビーズ】を観てきました。感想は、

 
なかなかギラついた作品だったんじゃないかな!!
見ず知らずの奴に喧嘩を吹っかけては『暴力』を楽しむ泰良、その泰良の暴力に魅せられて金魚のフンのようにくっ付いて暴走する裕也、2人のタガの外れた狂気が牙を剥く話だ。

唐突に始まり繰り返される暴力のやり取り、強制的に画面から伝わって来る痛み、根本的にスタンスの違う泰良と裕也の2人がつるむ事で歯止めが効かない展開へ堕ちていったりと、観る前の印象よりだいぶ攻めてる作品でした!
どこかの帰り道、街で偶然に見かけてしまった『マジ喧嘩』を野次馬として少なからず見てみたい欲求を、逆に充分過ぎるほど満たしてくれる。
 

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露骨に危ない奴:泰良を演じた柳楽くんは、微かな期待を余裕で超えてかなりハマってましたね。セリフもあまり無く、殴る時も殴られる時も終始楽しそうに今を実感している姿・倒されてもしがみ付く泥臭さが凄く似合ってたし、彼の底力を見た気がした。まだ仄かに幼さが残る見た目もまた良し。
 
その泰良の暴力に魅せられ、勘違いの悦に浸りイキがるクソッタレな裕也を演じた菅田将暉もまた凄かった… これだけ胸糞悪いクズ野郎はそうそう見れるもんじゃない。これで「菅田くんきらーい!」って人が表れても不思議じゃない振り切りっぷり。
 
その危ない2人と図らずしも合流してしまうキャバ嬢:那奈を演じた小松菜奈も、2人の演技に感化されたのか、彼女が今出来る最大限の女優魂を見せ付けたような気迫があった。
泰良の弟:将太を演じた村上虹郎の今後を大いに期待してしまう原石感。雰囲気の似てる染谷将太ほど器用じゃなさそうだけど、母親UA譲りの目が印象的!
本作で商業映画デビューを飾った真利子監督も、俳優の持ち味を上手く引き出してたし、臆さない姿勢にも好感が持てました。
 
 

対照的な2人の人間性と末路

良かったところで言うと、泰良が路地をぶら付いて獲物を見つけてから喧嘩をふっかけ、実際に喧嘩が始まるまでの一連の流れを長回しで見せる辺りはフレッシュでした。まさに野生動物の狩りのような。掻き鳴らされたギターの音が泰良の喧嘩したくてしょうがない内心の高ぶりとシンクロして、この演出もGOOD!
兄弟が暮らす場所も【狂い咲きサンダーロード】に出て来る主人公:健の部屋みたいな昔のアジト感もツボでした。
 
ヤバい奴として映る泰良は、ある意味『純粋』だなと。タイトルのベイビーズが差す通り特に赤ん坊に近い。仕事よりも、兄弟よりも、セックスよりも、人と殴り合う事が1番楽しいからそれひたすら求め繰り返す。玩具が動かなくなったら「はい次」と言わんばかりに、だからサイコパスみたいに無差別に殴り殺し回ったりはしない。
その中にも、最終的に逮捕される or 下手したら殺される覚悟がちゃんとあって、だからこそあそこまで人に純粋な暴力を向けられるんだと思う。どうしてそうなってしまったのかは不明だが。。
 

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それとは打って変わって、裕也は単に想像力の足りない奴に見える。暴力も受けず『痛み』に触れてないからこそ、いつまでもリアルな実感が無く、いとも簡単に弱いものにも当たれてしまう。中盤過ぎのある展開を経てもまだ責任転嫁したり実感が湧いていない所を見ると、実のところ裕也の方がヤバいな奴だなと…  これはこれで狂気的。
その対照的な2人の転末の違いなんかも興味深い、別にどっちが良いって訳じゃないけど。
 
不安点もちょこちょこあって。喧嘩中に背を向けて油断したり詰めが甘いくだりが何回か繰り返されたり、結構殴られてるはずなのに柳楽くんの顔の傷が妙に浅く治りも早い、映画的なディテールの甘さ。
ルールがある訳じゃない暴力のやり取りにしては、割りと殴る一辺倒でヌルいっちゃヌルい。ブロック片で殴られたり、踵で前歯をへし折られる、爪を剥ぐ・タバコの火を押し付けられるなんて過激な事は残念ながら無い…  暴力を描くなら、喧嘩吹っかける相手がどんな人かもわからないし、何が起こってもおかしくないリスクや代償も見たかったな。
 
あとは野次馬が撮るYoutubeの動画は今っぽくて分かるけど、この2人を現代のヤバい若者として括ったり、単に通り魔的な所と一緒にしちゃったのはちょっと残念かな。( 敢えてそういう風に見せて、世間からしたらそんなもんだよって事なんだろうけど )
非現実的な話ではあるから、そこの結びつけが途端にオーソドックスなとこに着地しちゃったなと。地方で起こる妙な説得力がカバーしてたのはあるけど、SNSや2ちゃん的な描写は蛇足に感じました。
 
とは言えぽっと出た作品にしては、なかなかはまじまじと見る事のない狂気な光景を見る事が出来るので、この手の映画が好きで、近くにやってる劇場があれば観に行くのがオススメです。 

 

まとめ

良かった点

  • 初期衝動やギラつきを感じる攻めた作風
  • 旬のキャストの演技合戦&真利子監督の臆さない姿勢
  • 対照的な2人の若者の狂気
  • 向井秀徳の音楽

悪かった点

  • 画としては見せているんだけど暴力を扱う上でのちょっとしたヌルさ
  • よくある『現代の若者の危うさ』的な括り

評価:★★★★  結構良かったぜ!

面白かったな。この作品賛否あるみたいだけど、【クローズZERO】や今EXILE系が有り余る金を惜しみなく使って撮ってる内輪映画よりは断然良いと思います!キャストだけ見て生半可な気持ちで観に来た客は面喰らえ。
[ 予告編 ]

 

関連&オススメ作品!

クローズEXPLODE

ギラギラ感を求めるも絶望的につまらなかった柳楽くん出演作。この頃の噛ませ犬感から比べたら、本作は見違えるように良い!

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狂い咲きサンダーロード

ギラギラした初期衝動とセンスが最高なぶっ飛び青春映画!

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ヒーローショー

暴力のその先とどん詰まり感はこっちの方がキツめかな。山に向かう不穏感は通じる。

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軍鶏 ※漫画

時折、喧嘩している柳楽くんの姿が【軍鶏】の主人公:ナルシマリョウにダブって見えた。狂犬ぶりは少なからず意識してないかな?

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OUT ※漫画

不良漫画はあまり読まないんだけど、最近読んでハマった不良漫画。この作品も甲斐もあって、より実写の『暴力』にグッと来た。

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