あらすじ:ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊の傭兵(ようへい)として活躍していたが、今は悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいる。すっかり正義のヒーロー気取りの彼は恋人との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。とある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受ける。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:108分 製作年:2016年
監督:ティム・ミラー 脚本:レットリース / ポール・ワーニック
キャスト:ライアン・レイノルズ / モリーナ・バッカリン / エド・スクライン / T・J・ミラー / ジーナ・カラーノ / ブリアナ・ヒルデブランド 等
観客を楽しませるアンチヒーロー参上!
マーベルの破天荒ヒーローを実写化した【デッドプール】を観てきました。
デッドプールはアベンジャーズが出てる『MCU』の括りではなく『X-MEN』に出てくる人気キャラなんだね。そういえば同じライアン・レイノルズがデッドプール役で【ウルヴァリン X-MEN ZERO】に出てたのを思い出しました。前から楽しみにしていた本作の感想は、
一周して面白かった!!!
一本の作品として面白いか面白くないかで言うと「それなりに面白かった」くらいの印象。
なんだけど、見終わってからデッドプールのスタンスの魅力や、それを演じてる俳優ライアン・レイノルズの熱い想いを勝手に受け取り、一周して『良く』見えてくる作品でした!
デッドプールは、とにかく心の声まで全て口から出てるかのようにベラベラとおしゃべり且つ下品で延々とふざける。特にスクリーンの方を向き『第四の壁』を越えて観客に喋りかけてくるスタイルが特徴的なアンチヒーローだ。
元傭兵だけあって卓越した身体能力にアクロバティックな動き、人体実験により得た治癒能力を活かした特攻スタイルで、容赦のないバイオレンス・アクションを魅せてくれる。 銃を撃っては刀でブッ刺し、仕舞いには刈った頭をボレーシュート!!!
売りであるアクションはちゃんとカッコイイ!!
本作の作りとしては色々な『映画ネタ』を作中に放り込んでバカにしたり皮肉ったり、時に自虐的に扱ってみせたりとかなり『メタ』な作り。
ライアン・レイノルズのすべった過去作【グリーン・ランタン】や、映画『X-MEN』シリーズ、ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンなんかをイジったりと、ギャグ満載で終始やりたい放題。
これが『第四の壁』越えとも相まって、他のアメコミ映画には無い醍醐味となっている。カメラ目線上等!
高いところから水面にスッと飛び込むように、ハイウェイを走る車に綺麗な着地を決めるデッドプール、その後で『スーパーヒーロー着地』を小バカにするって、ニクいな。
他にも、デッドプールを見込んでX-MENに引き入れようとする、全身鋼鉄のコロッサスと終始不機嫌顔のベリーショートなネガソニックちゃんとのコンビも、デッドプールの破天荒さと対比的なキャラで、掛け合いの相性も良く面白い。是非ネガソニックちゃんの実力を観て欲しいですね!パワーを溜める時の力む姿が可愛い。
毒舌で例え上手なダチなんかも良いキャラしてたな。あの店の店主ってことは実は彼も強いんじゃないか?説。続編でデッドプールのサポートなんかやってくれたら、これまた面白いな。
ただ…
音楽も作品ハマってるし・色々楽しいし・イイ素材が揃いながらも、ストーリーがシンプル過ぎて、もう少し展開でもワクワクしたかったな。
特に終盤は先が読めてしまって、その通りにしかならない。一作目からそんな複雑にされてもってのはあるし、原作コミックにどこまで沿ってるのかは分からないけど、話の流れも目新しいものだったら最高でした!
メタな構造により面白さが一周する!
そんな惜しい作品なんだけど、中でもデッドプールが現場まで向かうタクシーの運ちゃんと気さくにくっちゃべるやり取りが好きで、他のアメコミ映画のヒーローよりも市民との距離が近くて、その突出した『親近感』が魅力でもある。あの運ちゃんへの悪魔の囁きシーンには笑った! (こういう映画ネタじゃなく誰でも笑えるシーンがもっとあったら良かったな。)
その『親近感』は観客に対しても言えて、ちょっと落ち着きそうになるタイミングで『第四の壁』を越えて観客に喋りかけたり・映画ネタを入れるのもそうだけど、シンプルな薄めのストーリー展開を、
俺ちゃんを見てくれよ!!!
とデッドプールが自ら、喋りとパフォーマンスで補い、観客を楽しませようとしているみたいに一周して見えて来るのが良いなと。メタな作り故に、それ込みでデッドプールのショーに見えてしまった。
友達に話すかのように時系を遡ったり、エンドロール終わりの『あの映像』にしてもそうだけど、徹頭徹尾ふざけていながらも、観客に寄り添う姿勢にグッと来ちゃいました。これこそが映画【デッドプール】のスタイルなんだと。
↑ こんな風に観客に寄り添ってくれてる感覚。
新たな時代始まり!俺を見てくれ!
さらにこのメタ視点から思い返すと、本作のプロデューサーでもありデッドプールを演じた俳優ライアン・レイノルズの熱い想いが終盤のあるシーンにどストレートに反映されているのに気付く。
今まで話題作に出るもいまいちパッとせず、周りの俳優達が次ぎ次ぎとヒーロー映画で脚光を浴びる姿を見て来た不遇の時代を経て、ようやくこの【デッドプール】というビッグチャンスが到来!
その今作を通して観客や世間に、
ウルヴァリンのヒュー・ジャックマンなんかより、俺を見てくれ!
からの、
俺の方がイケてるだろ!?
と上の文、映画を観た人なら分かるラストのあるシーンそのままですが、あそこで完全にキャラと俳優が見事シンクロしたなと。。
あのラストシーンが物語るようにライアン・レイノルズの熱い想いがヒシヒシと伝わって来た。大胆かつ潔い『俺映画!』いや、観てないけどリアル【俺物語!!】みたいな姿勢に、作品に対して感じていた物足りなさが補われ、
なんか良い作品だったな〜!
と気持ちが変換された。『M-MEN』シリーズに留まらず、ヒーロー映画の看板を引き継ぎこれから背負ってく意志!というか背負って行きたいアピールか?!
何にせよライアン・レイノルズおめでとう!【グリーン・ランタン】をやってなきゃ、このシリーズはきっとこういう形で生まれなかったよ!
それと自分の想いとしては、
ネガソニックちゃん可愛い!成長しちゃう前にもっと彼女を見たいぜ!! !
まとめ
良かった点
- 観客に寄り添う『エンターテイナー』なデッドプール
- ユーモア/下ネタ/バイオレンス・アクションをガツっと見せてくれる
- メタ視点を効果的に活かせている
- ライアン・レイノルズの熱い想いが実を結ぶ
- コロッサス&ネガソニックちゃんコンビ
悪かった点
- ストーリーがちょっと淡白過ぎかな
- 思いの外『映画ネタ』で笑わす割合い多め
評価:★★★★ 結構良かったぜ!デッドプールの観客に寄り添う姿勢に一周して面白さが増して来る!本作で自己紹介は終えたから、続編はもう少し脚本込みで楽しませて欲しいな。
[ 予告編 ]
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余談:『映画ネタ』を知らないと笑えない部分もそこそこあるので、もし詳しく知りたければ映画ネタを書いてくれてる記事や、パンフにもちゃんと載っているのでそちらを見てくださいな。
強いて言えば『X-MEN』シリーズ、【127時間】【エイリアン3】【96時間】くらいは何となくでも知っておいた方が良いかも。細かいネタを含めれば僕も6割くらいしか分からなかったので、パンフはオススメですよ!
関連&オススメ作品!
グリーン・ランタン
続編あり気に終わったけど、これで【グリーン・ランタン2】は確実に無いだろうな… ただリブートはアリじゃないかな?! それよりも【デッドプール2】が観たい!
グリーン・ランタンの軽い感想はこちら ↓
ウルヴァリン X-MEN ZERO
個人的に映画『X-MEN』シリーズに乗れてないのは、定番のコスチュームを避け、映画用に地味でクールなビジュアルに走ったのが大きい。その点本作の【デッドプール】ではちゃんとコミックのビジュアルを再現してて嬉しい。
このビジュアルでやって欲しいな ↑
テッド2
下ネタ全開で、知らなきゃいまいちピンとこない映画ネタを放り込んだ似たようなノリの作品という事でコレ!