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アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!基本大したことは書いてない。

【感想】FAKE / 佐村河内守に密着!いったい何がFAKEなのか?ネタバレも真相も通り越す仄かな温かさ!!

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あらすじ:2014年、聴覚障害を抱えながら「鬼武者」などのゲーム音楽や「交響曲第1番“HIROSHIMA”」といった作品により「現代のベートーベン」と呼ばれた佐村河内守が、実は耳は聞こえており、作品はゴーストライターの作曲だったと報道される。騒然とする状況で、自宅での撮影に応じた佐村河内は……。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:109分 製作年:2016年

監督・撮影:森達也 プロデューサー:橋本佳子

キャスト:佐村河内守 等

 

意外にもチャーミングな作品

強烈な好奇心を掻き立てる作品のパッと見の外側、

ゴーストライター騒動の渦中の人物:佐村河内守を追ったドキュメンタリー』

に引き寄せられて行ってきました。すごい人気で立ち見続出!一つ時間を遅らせてなんとか座って観ることができた。

観る前までは「佐村河内氏のFAKEが剥がれ落ちる瞬間が見れるのか!?」「何がREALで?何がFAKE?!」とラップの一節にありそうな前のめりなスタンスで、隅から隅まで観てやろうと思って臨んだ本作の感想は、

 

これは面白かった!!!

シリアスタッチな予告編とは裏腹に、意外とエンタメな姿勢も見せ、一本の作品として流れや積み重ねが丁寧で観やすい。緊張と緩和の配分が上手くコントロールされていて、タルくならないし飽きさせない。

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質素な印象のある佐村河内宅のリビングで、佐村河内守・香夫妻に迫る森監督。基本、家の中でのやり取りで構成されていて、あのゴーストライター騒動と会見の後くらいからの彼を追ったドキュメンタリーだ。

 

奥さんの手話やリップによる通訳を介し、ヒリヒリとした緊張感の中、報道では一切見えなかった佐村河内守という人間のチャーミングさや輪郭が徐々に浮かび上がってくる。

そのギャップが面白くて、ついつい笑ってしまうのと同時に「いやいや、豆乳飲み過ぎでしょw」とか「それ一発芸に見えちゃってるけど!」「おぉ、森監督と友達みたいになってる…」など心の中でツッコミを入れるくらい、未知な佐村河内氏の意外な一面が垣間見える。

その後の、長年騒動後も変わりなく佐村河内氏を支える奥さんとの夫婦愛にもグッと来たりして、単なる騒動の真相解明をするようなドキュメンタリーでは無く、森監督のスタンスと佐村河内氏への向き合う姿勢がそうさせるのか、ほんのりとした熱を感じるような内容だった。

 

『FAKE』はきっとあり触れている

テレビ出演のお願いに来た口八丁のメディア関係者・メディア自体の信用のならなさを痛烈に写し、ゴーストライター騒動を暴露した新垣さん、彼の雑誌やテレビでのちょけぶりを、奥さんと共に目にする佐村河内氏の神妙な表情も、どんな目で見たら良いんだよ!

部屋の暗さも相まって、それこそ陽の当たる場所と、陽の当たらない場所が完全に入れ替わってしまったような。

合わさせて新垣さんのサイン会に森監督が乗り込むくだりもそれはそれで面白かった。

 

佐村河内氏に対する「おうおう、それを聞いて欲しかったのよ!」と唸ってしまう外国人ジャーナリストの切り込んだ質問にさらに現場がヒリ付く。

日本のメディアと外国人ジャーナリストの姿勢を対比させ、「なんかダメだな…」と思ってしまう日本のメディアが流すモノを僕らは日々見て生活してるのも事実で、その側面を突き付けられる。

次第に、何が問題で佐村河内氏はこんな状況に置かれたのか? 何に対してバッシングを受けたのか? 自分は本来何を期待して、何を観たかったのか?それさえも分からなくなって来る。

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そして謳われているとても映画的な『衝撃のラスト12分間』。あれは何の証明で森監督は何を伝えたかったのだろう? 作品が終わると同時にこの【FAKE】というタイトルが何に対して掛かってるのか気になり出す。

そもそもメディアが流した佐村河内に関する報道がFAKE? 佐村河内氏の言ってることがFAKE? 新垣さんの言ってることがFAKE? この作品自体がFAKE?

そんな事は誰にも分からないし、疑念もめまぐるしく尽きない。まして人の聴覚がどれ程のものかなんて共有出来るはずも無く。

 

それよりも、このゴーストライター騒動をメディアを通して分かった気になっている僕ら、そのメディア自体に大なり小なりの『作為』や『思惑』が込められている危うさと、そのメディアに常に触れ、共に生きているんだなって事を改めて意識させられ痛感した。

この作品=『映画』もまたメディアの一部であるのも確かだ。

色々とモヤモヤしながらも、猫を横目にケーキが食べながら誰かと語りたくなる、そんな味わい深い作品でした!

 

まとめ

良かった点

  • 緊張と緩和の配分が良く1本の作品としてちゃんと面白い
  • チャーミングな佐村河内と夫婦愛
  • メディアの危うさを映す
  • ラスト12分間とその後の余韻
  • 森監督の対象人物との距離感とフラットさ

悪かった点

  • 観てて1つが気になり出すと、色々と関連するものも不確かになり、もはや何が何だか分からなくなって来る点。敢えて監督が『隙』を入れてるのも分かるし、ある意味もどかしくズルい

評価:★★★★★  最高!フォーー!これは結構誰が観ても面白いんじゃないかな。

笑えるという面白さだけじゃなく、一方的に報道され、言い分も聞く耳を持たれないまま世間から放り出された人物に密着し、彼の言い分を聞き・彼の姿に踏み込む。そのプロセスを見るって、なかなか経験しがたいことだなと思う。

全聾はFAKEだった訳だが、これを機に『音が曲がって聴こえる難聴:感音性難聴』の存在も知れた。メディアはやる事やってその後の落とし前は付けないからこそ、こういう作品が必要なんだと思う。

[ 予告編 ]

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森監督がオウム真理教の広報部副部長を追ったドキュメンタリー。【FAKE】の公開を記念して、またちょろっと上映されるみたいです。観たい!

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当ブログで扱った『ドキュメンタリー』作品を2作

方や『男(漢)達』が頑張り、方や『女3人組』が頑張る!パッと見は対照的なようで根本は同じ。共に熱い作品だ。

 

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