あらすじ:修学旅行で乗っていたバスが事故に遭ってしまった男子高校生・大助(神木隆之介)。ふと目を覚ますと、炎が渦を巻く中で人々が苦しめられている光景が目に飛び込んでくる。地獄に落ちたと理解するも、同級生のひろ美に思いを告げずに死んでしまったことに混乱する大助。そんな彼の前に、地獄農業高校軽音楽部顧問にしてロックバンドの地獄図(ヘルズ)のリーダーである赤鬼のキラーK(長瀬智也)が現れる。彼の指導と特訓のもと、地獄から現世に戻ろうと悪戦苦闘する大助だが……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:125分 製作年:2016年
監督・脚本:宮藤官九郎 音楽:向井秀徳
キャスト: 長瀬智也 / 神木隆之介 / 尾野真千子 / 森川葵 / 桐谷健太 / 清野菜名 / 古舘寛治 / 皆川猿時 / シシド・カフカ / 清 / 古田新太 / 宮沢りえ / 坂井真紀 / 荒川良々 / 瑛蓮 / みうらじゅん / Char / 野村義男 / マーティ・フリードマン / ROLLY / 片桐仁 / 平井理央 / 中村獅童 等
大いにふざけるクドカン流ロック・コメディ!
僕アバウト男と【クリーピー 偽りの隣人】の黒沢清監督と同じ誕生日の宮藤官九郎ことクドカン監督最新作【トゥーヤングトゥーダイ!若くして死ぬ】を観てきました!
主演はクドカンと数々の作品で抜群のケミストリーを魅せるTOKIOの長瀬と、クドカン脚本ドラマ【11人もいる!】で主演を務めた神木隆之介。感想は、
どう感想を言えば良いんだ…
笑えて・音楽が良くて・濃くて・そんでもって楽しかった!!?
と言うのもクドカンが『地獄に落ちた高校生の青春映画』を軸にロックを絡ませ、スゴく感覚に身を任せて勢いで作ったんだろな〜と感じるわちゃっとした内容なので、同じく感覚的に感想を勢いで書こうかと思います!
気が付けば、バババーッとめくるめくるスピードと展開と要素と色々なものが目の前を駆け抜けて行った!…とりあえず観終わって呆然。
この作品の良さは観た人にしかなかなか伝わらないだろうし、観てもどう良さを伝えて良いか分からない... クドカンの悪ふざけと下らなさとノリが丸々2時間余すとこなくブチ込まれた、クドカン的集大成であり超大作でした。濃い!濃い!濃い!
ロック・童貞・青春・思春期・恋・地獄・輪廻天性などの要素をミキサーにかけてごちゃ混ぜにして一気に飲んだような、舌に残る雑味!でもこの歪さは嫌いじゃない。
会話と音楽が織りなすミュージカル調の展開にいちいちカマシしてくるクドいクドカン演出と小ネタ!引き算を知らないとうか、足し算と掛け算の組み合わせに、観ている側の頭と目と心が追いつかない、それが独特の味でもあるんだけど。
地獄に落ちた大助が転生を繰り返し、人間ではない姿で現世に戻る時、人の人生や無情にも過ぎ去る時の流れを感じさせるタイムスリップも相まって、意外にも感慨深い気持ちにさせられた。【インターステラー】にも通じる『地獄での1日は現世の10年』の特別な時間概念の設定も効いてた。
おれ等の味方クドカン!
地獄=未練がエゲツなく残るヤツらが行き着く先? その未練が糧となりどんなにキツくても色々とモガきあらがい、その直向きな姿がカッケーんだなと!
決して願いが叶わなくたって!お金持ちになれなくたって、リア充じゃ無くたってここはここで輝いてるぞと。
その『こっち側の人間』をクドカンにしかなし得ない尖ったファンタジーな世界観で背中を押すように、肩を組んでくれるように肯定してくれる一作でした。
それでいて、色んな事が楽しめる『今』はホント今しか無いぞ!と。そんなメッセージのお土産まで持たせてくれたような気がする。
ここからはちょっと冷静に
脚本家のイメージがあるクドカンだけど、自身で監督まで手掛けちゃうと小ネタやおちゃらけを入れ具合が格段に高いな〜と思いました。
流れで笑わせるコメディ的な笑いもあるんだけど、言い方や顔芸での笑いが多く、それを会話の終わりに『いちいち』入れて来るのはブレーキ効いてないなと。間が空くことへの恐れがあるのかな?
【TRICK】や【SPEC】の共に劇場版でいちいち小ネタを入れ、観る気を著しく削ぐ堤幸彦監督のウルセー演出に若干ダブっちゃいましたね。もう少しメリハリが欲しかった!
良かったところ!
いかにもセット然とした地獄が良かった!変に中途半端なCGで作られるよりも、明らさまなセットの方が本作のミュージカル調な作風や下らないコメディバランスと合ってるし、「見るからにこういう作品なんで〜」と見た目一発で分かりやすく伝える役目も果たしててGOOD!
それとパンチのあるキャラの数々。中でも皆川猿時演じるじゅんこのインパクト!最高でしたね。このぶっ飛んだ過剰なキャラを入れることで、ラストの『伝説のコード』のギョッとする下らなさもスッと入って来た。
じゅんこが出てきた辺りから本格的にギャグ漫画の実写化みたいなノリに、なんでもバッチコーイ! オナニーの真理には爆笑!
長瀬演じるキラーKは序盤では目立つものの、後半からは大助のサポートって感じで、実質のメインは神木くん。神木くんの思春期・童貞チャラ演技が絶妙で、嫌われかねない役を上手く逃がしつつコントロールしてました。この映画でベースを素人ながらも特訓で会得した清野菜名ちゃんもちゃんと見てるぜ!
それと出てくる音楽がちゃんとイイのが良かった!音楽映画として大事な要素で、そんなに観てないけど【はじまりのうた】【君が生きた証】【ハッスル&フロウ】然りそこの説得力が映画の良さをグッと引き上げる。意外とキャッチーで聴きやすかったな。
まぁ色々とザックリな作品なので、ザックリと観るのがオススメですね!
マザッ、ファッカァァァァァ〜〜〜〜!!!
まとめ
良かった点
- クドカンにしかなし得ない、ギャグ漫画レベルのぶっ飛びミュージカルコメディ
- 明らかにセット然とした地獄
- パンチのあるキャラ達のアンサンブル
- 音楽の良さ
悪かった点
- ザックリな過ぎな設定や倫理
- ちょけぶりがちょっとウルさい
評価:★★★★ 結構良かったぜ!普段探してもなかなかこういう作品には出会えないと思うので、下らなくて馬鹿っぽい映画が好きであればハマると思います!お腹いっぱいで1回で十分ですね。
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関連&オススメ作品!
少年メリケンサック
クドカン監督作で好きな作品。宮﨑あおいがただただ可愛過ぎる!本作と合わせて観ても良いかも。
スクール・オブ・ロック
今回クドカンは長瀬智也に【スクール・オブ・ロック】の主演ジャック・ブラックになってもらいたかったらしく、ロックを通し先生として導く存在としてキャラ立ってましたね。また観直したいな!
11人もいる!※ドラマ
クドカン脚本・神木隆之介主演の連ドラ。広末涼子/星野源/有村架純も出てて、普通に面白かった記憶が。やっぱり脚本家クドカンの方が個人的には好きかな。
トゥルー・ブルース
本作の画像検索しててこんなの見つけました。ブラピ主演映画、原題『TOO YOUNG TO DIE?』。知らなかったな〜、コピーに『超過激バイオレンス・ラブ・ストーリー』って惹かれるな。