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アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!

【感想】ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS / 映画じゃなくドラマの2時間スペシャルならそこそこ満足な出来!

邦画 【タ行】 2016:劇場鑑賞 邦画 評価:★★

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あらすじ:密入国して東京に住んでいる外国人が自分たちを守るべく組織した裏都庁。その異邦警察「ディアスポリス」の警察官であり、国籍不詳の久保塚早紀(松田翔太)は、誘拐された裏都民マリアの監禁先を見付けたものの彼女は殺害されてしまう。殺害現場から逃げたアジア人犯罪組織「ダーティイエローボーイズ」の周(須賀健太)と林(NOZOMU)を追った久保塚は、地下教会が二人の手掛かりを握っていると知るが……。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:115分 製作年:2016年

監督・脚本:熊切和嘉

キャスト:松田翔太 / 浜野謙太 / 須賀健太 / NOZOMU / 宇野祥平 / 安藤サクラ柳沢慎吾 

 

人気ハードボイルド漫画の実写化!ドラマから映画へ!

リチャード・ウーとすぎむらしんいちによるカルト的人気コミック『ディアスポリス-異邦警察-』を【フリージア】【私の男】の熊切和嘉監督が実写化した【ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS】をだいぶ前に試写で観たので、今回は思い出しながら感想を書きたいと思います。軽くネタバレしてます。

 

その前に深夜にやっていたドラマ版の話をしよう!

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ドラマ版は1話を前半・後半各30分と2週に分けて放送し、5つの物語全10話を4人の監督がバトンを繋ぐ形で務めた変則スタイル。監督には今回映画版を担当した熊切さんや【ディストラクション・ベイビーズ】の真利子哲也監督などの映画監督を起用し、映像の質感が映画的で、原作漫画の独特な『多国籍雑多アンダーグランド感』がちゃんとパッキングされた渋めのドラマだった。

ライトでエンタメな作風ってよりかは、大人向けで汗臭くザラッとした荒さが味となって、そこに軽くコミカルさが入る良いバランスで。個人的な印象としては現代版【濱マイク】みたいなノリで好感を持っていた。

特にオープニングがカッコよくて!ちなみに上の画像がオープニングのキャプチャです。深夜のドラマ版から映画の流れだと実写【闇金ウシジマくん】に近いのかな?

 

こっから映画の話。

今回の映画は一応、話としては映画内で始まって完結するストーリーなので本作から観ても楽しめる作りではある。しかも原作漫画の中でも人気のある『ダーティ・イエロー・ボーイズ編』の実写化ということで原作ファンには嬉しい反面ハードルが上がってしまう作品でもある。

ドラマ版を予習する利点は、このシリーズの質感をまずは知っておいて、尚かつ松田翔太演じる久保塚が所属する密入国異邦人を守る『裏都庁』の存在やメンバーの関係性などを知っておくとすんなり映画に入れるかと思います。

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↑このメンツが裏都庁です。松田翔太にハマケン・柳沢慎吾康芳夫となかなかの渋いメンツ。

僕はドラマ化するのを知って原作漫画を読み始めた後追いなスタンス。前置きが長くなったけど肝心の映画の感想は、

 

映画版は正直キツいなぁ…

なんて言うんだろう... ホントにこれ熊切さんが監督で良かったのか?と思ってしまうほど、設定していたハードルをスン!と下回る残念な出来でした。

ドラマだから成立していた良さが映画だと物足りなかったり、ドラマの良かった部分の欠如、物語を順序立てて見せるのに精一杯&『見せたい』部分はどこなのか定めきれていない見せ方。その諸々の要因が重なってしまった結果、なんとも中途半端になってしまったって感じですね。

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失敗した具体的な要因

一番は監督として起用された熊切さんの『取捨選択』がいまいち冴えてなかったんだろうなと思う。例えば作品のトーンをドラマ版から馬鹿正直にそのまま映画に持って来てしまったのがひとつあると思う。

ドラマの30分の尺なら耐えられる抑揚が弱めの独特なトーンが、映画の115分という長尺だと結構タルく感じてしまう。ドラマ1話分(1時間)の内容を半ば強引に115分に拡張工事したみたいな。

個人的には映画は映画でドラマ版を観てない初見の人達も想定して、もう少し分かりやすくエンタメっぽいテイストで、ジェットコースター的なライド感とユーモアを混ぜた『抜けのいい作品』に持って行った方が良かったなと思う。せっかく『ダーティ・イエロー・ボーイズ編』というわりと原作の中でもドンパチのある派手な物語を扱っているだけに。

なので、そもそもそういうのが得意じゃなさそうな熊切さんが監督で良かったのか?という疑問に立ち返えざるを得ない。

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それに加え、ドラマ版の売りだった久保塚とハマケン演じる鈴木とのチャーミングなバディ感が本作かなり薄かったこと!それを楽しみに観に来てんのに大半が別行動で…

原作が例えそうであってもある程度バディ感は担保して欲しかった、あれだけ松田翔太とハマケンが一緒に番宣してるのに、意外とハマケンの出番は少ない。

実のところ本作は久保塚、そして須賀健太演じる周とその幼なじみの林の暴走する留学生崩れ2人とのチェイスに、真木蔵人演じるヤクザがちょこっと顔を出すという、それ以外の人は添え物的な扱いになっていたのが勿体無い。

その人物の配分然り「ん、どうなの?」と思うし、それを115分使ってマッタリ展開されるとさすがに退屈してしまう。

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今回、犯罪を起こしながら逃げる周と林を交えた犯罪集団『ダーティ・イエロー・ボーイズ』(以下DYB)を追って、東京から関西へと向かうロードムービーでもあるんだけど、聞き込み捜査やヤクザとのいざこざ、周と林の幼少期など諸々の物語のブロックを順序立てて見せるのに精一杯になってしまったように思える。

それでいて、この映画で一番何を見せたいのかをイマイチ決めきれて無いようにも見える中途半端さが全体的にのぺーっとした仕上がりになってしまったんだろう。

 

周と林の幼少期シーンや、これから起きるであろう悲劇を前にDYBの連中の銃をもって無邪気に遊びまわる『輝いてた時間』的なシーンとか結構クドかっあなぁ。そこにそんな時間割くなよ!

異国で疎外され犯罪に走る若者の悲哀みたいなのを描きたいんだろうけど、それにしてはエモーショナルな揺さぶりが特にある訳でもなく、犯罪を重ねる自分勝手なヤバい奴にしか見えてなくて。全体的な構成を見誤っちゃたんじゃないかな?と思いました。

ドラマの2時間スペシャルであれば、それなりに満足できる内容でした。

 

須賀&松田の好演!

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周を演じた須賀くんは頑張ってましたね!ヒース・レジャージョーカーって言ったらかなり大げさだけど、彼はそのくらいのテンションで今回の役作りに臨んでいたと思います。

香取慎吾と共演したドラマ【人にやさしく】に子役で出ていた頃からはとても想像出来ないヒールな役に仕上がってました。厄介な小物感が似合ってて、もう少し露骨な卑近さが出てたらなお良かったけど。

松田翔太との闇銀行でのもみくちゃシーンや、終盤の夜の畑の懇願するシーンなんか良かったですね!今後の彼の活躍が楽しみになりました。

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それと主役の松田翔太も最後までブレずにやり切ったなと。酒を浴びる様に飲む → 追跡のため全力疾走 → 立ち止まって吐く流れも好きで、ドラマ版で積み上げた松田翔太の擦れた雰囲気がこの映画でようやく実を結んだ気がした。

シリーズとしての主人公の佇まい&魅力あるキャラクターとして彼のフィルモグラフィーの中でも特別なモノになったんじゃなかな?改めてハマり役だと思います!

 

他にも爆発後のセットの荒れ様なんかの美術も力入ってたし、恐らく少し前に暴行容疑で逮捕されてたために宣伝周りから名前を消されてたであろう真木蔵人のリアル怖い人(ヤクザ)キャラとしてのサプサイズ出演や、短い出演ながらも存在感のあった安藤サクラ、音楽の使い方とか良い部分もあるんだけどね...

アイアムアヒーロー】【ディストラクション・ベイビーズ】【ヒメアノ〜ル】【クリーピー 偽りの隣人】【日本で一番悪い奴ら】あと見逃したけど【葛城事件】など、今年の『エグめな良作邦画ラッシュ』の波には残念ながら乗れて無かったですね。この作品群を観てる人には正直物足りない作品だと思います。

 

まとめ

良かった点

悪かった点

  • そもそも作品と監督の相性があまり良くない
  • 話の組み立てに手一杯になって、その他諸々がおそろかになっている
  • ドラマであった良さが損なわれている

評価:★★  うーん、イマイチ...

ドラマ版を観ていた人は集大成&ケジメとして楽しめると思います。ドラマの最終話から久保塚がギプスしてる繋がりもあるしね。というか手のギプスも特に活かされて無かったような。

今回の出来は反省会をしっかりやってもらって、捨て難いシリーズではあるので続編はやるべきだと思います!どうせなら真利子監督でロシアの『システマ』の回とか観てみたいな。

[ 予告編 ]

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合わせてカッコいいドラマのオープニング動画も貼っておきます。というか劇中、これを映画版として発展させたようなオープニングが無かったのも、気が利いてないなぁと思っちゃいましたね。

 

関連&オススメ作品!

私の男

モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を獲得した熊切監督作。同時に浅野忠信は最優秀男優賞に輝いた。僕はあんまりピンと来なかった。

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鬼畜大宴会

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