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アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!

【感想】苦役列車 / 持たざる者の不器用さ・もどかしさが苦くも笑える!圧倒的クズ男の遅れて来た青春!

邦画 【カ行】 邦画 評価:★★★★

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あらすじ:1980年代後半。19歳の北町貫多(森山未來)は日雇い労働で得た金を酒に使い果たし、家賃も払えない生活を送っていた。他人を避けながら孤独に暮らす貫多だったが、職場で専門学校生の日下部正二(高良健吾)と親しくなる。そんなある日、古本屋で働く桜井康子(前田敦子)に一目ぼれした貫多は、日下部に取り持ってもらい彼女と友達になるのだが……。(シネマトゥデイ)

 

製作国:日本 上映時間:112分 製作年:2012年

監督:山下敦弘 原作:西村賢太 脚本:いまおかしんじ

キャスト: 森山未來 / 高良健吾 / 前田敦子 / マキタスポーツ / 田口トモロヲ / 中村昌也 / 宇野祥平 等

 

クズ男の遅れて来た青春映画!

今月公開のオダギリジョーと蒼井優主演、山下敦弘監督の【オーバー・フェンス】の予習で、未見だった第144回芥川賞を受賞した西村賢太の私小説を【もらとりあむタマ子】の山下監督が実写化した【苦役列車】を観ました。感想、

 

嘘だろ… 巷の評価が低いぃ。と言うのもすごく面白かったんだよ!

他人事だからこそ、客観的に観てすこぶる笑えて思わずツッコんじゃう。コメディじゃないからこそ、そこからモワッと立ち上がる異様な空気感のおかしさがツボを突いてくる。

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底辺にいる『持たざる者』の物語

底辺でグズでしみったれた生活をしがなく送る北町貫多19歳。友達もいなければ中卒ですぐ人足仕事に就き、家賃は滞納しっ放しでその日暮らしの生活を送る。唯一の楽しみはしょっぱい風俗通い。

仕事現場で親しくなった同い年の正二のアシストで、ずっと片想いをしていた古本屋で働く康子と友達になり、3人の関係が始まる。 

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とは言え、貫多は友情よりも恋よりも仕事よりも『性欲』が1番に来るような男だ。父親の性犯罪の過去・中卒のコンプレック・そして今までまともに人間関係を築いたことなんてなかった、言わば『持たざる者』なのだ。

その持たざる男:貫多の唯一の友達正二との友情、そして康子とのモロ『ヤりたい』が先に来てしまっている恋愛?など、貫多の最低さ・クズさ・どうしようもなさ・不器用さに「いやいやいや、マジか!?w」と笑えると同時に、同じく不器用な男として分からないでもない、もどかしいさが観ていて苦くもあった。

お前、いちいち卑屈になるなよー!!!

 

この話は『1』をスタートとすらなら、まだくすぶりまくっている貫多のスタート前の『0』をガッツリと描いた青春の物語だ。
観る人によっては貫多の存在そのものや振る舞いは嫌悪でしかなさそうだけど、実際に関わるのは御免こうむりたいが、どこか愛すべき強烈なクズキャラだった。映画的には最高な逸材ですね!

 

森山未來?森山未來似の北町貫多?!

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そんなクズキャラを体現したのが実力派俳優の森山未來。というか顔が森山未來似の北町貫多という人間が森山未來と称して出演してただろ?と思うくらい、獣のような人間味とその辺をウロついてる、どこの町にもこういう人が人知れず生活してるんだろう実在感を放っていた。
汗や食物をこぼした染み付きのTシャツを着こなし、鼻のかみかた、飯の頬張り方、罵声時のヨダレと目つきなど、諸々から伝わる役作りに見入ってしまう。終盤パンイチで走る姿はマジでホラーの領域だよ。映画よりも舞台のイメージがある役者:森山未來の技量パナさを改めて感じました。

それでいて安定の昭和フェイスのヒロイン前田敦子も素晴らしかった!というか本作出演している女優の中で前田敦子が一番可愛いというVIPな待遇も面白く、意外と奔放な不思議ちゃん役がハマってましたね。他の女優さんは良い塩梅のブスを揃えいて、そういう部分でも昭和感と底辺感を醸し出していた。

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クッキリとした顔で住む世界が違うんだと匂わせる高良健吾、マキタスポーツの過去15回くらい見かけたことあるその辺のオジさん感、矢口真里の元旦那:中村昌也の使い方然り、キャスティングもバッチリですね!

中盤、貫多が当時『SEXの練習台』として付き合っていたブスの元カノの、ドSな彼氏兼ヒモのマジにヤバいサイコ野郎もかなり良かったですね。不条理というかバチが当たったと言うかw …本気で怖かった。

 

クズが見せるちょっとした兆し 

「人間そう簡単に変わんねぇよなぁ」と思って観ていた、ずっーっとずっーっと反省も成長もしない貫多の些細な兆しとその背中姿が、作品の内容と反して凄く気持ちいい終わり方をしてくれた。嬉しくもありどこか寂しくもあり。

そのラストの散らかった汚い部屋で、画面では見えていないところを貫多がモノを探そうとまさぐってる時に数本の空き瓶が「カラン!」「コン!」とぶつかり合う音がして、その辺の抜かりない気が行き届いている感じもグッと来ちゃいました。本作『昭和の時代感』や『底辺の生活』を匂わせる美術やスタイリングのディテールの構築力が凄く高かったですね!

そういう暮らしをして来た訳じゃないのに何故か懐かしく感じてしまう『底辺ノスタルジー』が、観ている間少なからず心地良かった。

 

まとめ

良かった点

  • 嫌いになれないクズ男の青春感が苦くも笑える
  • 森山未來のハマりっぷり=体現力!
  • その他の役者陣も適材適所で輝く
  • 美術やスタイリングによる『底辺ノスタルジー』の演出力

悪かった点

  • 特にこれと言って無いかな〜

評価:★★★★  結構良かったぜ!

その他にも、起きてること自体は結構ヒドいのに軽快なBGMをその後乗せ暗くさせないようにしてたり、全体的にバランスが良くて思ったよりも観やすかった。もうちょっと早く観ておけば良かったな。同じように不器用な男全般にオススメしたい!

これ観ちゃうと、近日公開される山下監督の新作【オーバー・フェンス】が俄然観たくなるね。奇しくも同じ日に公開される【怒り】には森山未來が出てるのかぁ。

[ 予告編 ]

 

関連&オススメ作品!

もらとりあむタマ子

この作品で山下監督を知り、女優:前田敦子に惹かれ、大いに笑わしてもらった!貫太までとは行かないがこちらも拗らせてる。

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モテキ

不器用な男でいうと、こっちの森山未來主演作もあったね!また観直したいな。

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オーバー・フェンス

オダギリジョー・蒼井優主演。愛をなくした男と愛を望む女の出会いを描く。

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