アバウト映画公園

"ほどほどの映画好き"アバウト男が最新作から旧作まで映画の感想をゆるめに書き綴る映画ブログ!たまに気になるドラマやおすすめ映画を紹介!基本大したことは書いてない。

【映画感想】凶気の桜 / 窪塚洋介はあの頃のブラピであり錦織圭だった!正直舐めていた『巧い』映画!

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あらすじ:若きナショナリストの山口、市川、小菅の幼馴染み3人は東条英機版ネオナチともいうべき結社“ネオ・トージョー”を立ち上げ、特注の白い戦闘服をまとう。その出で立ちで、自分たちの育った街・渋谷から汚いゴミを一掃しようと、日々街中で半端な不良どもを狩っていた。(allcinema)

 

製作国:日本 上映時間:122分 製作年:2002年

監督:薗田賢次 脚本:丸山昇一 原作:ヒキタクニオ 音楽:K DUB SHINE

キャスト: 窪塚洋介 / RIKIYA / 高橋マリ子 / 須藤元気 / 原田芳雄 / 江口洋介 / 本田博太郎 等

 

久しぶりに観て評価が変わった!

どうもアバウト男です。

いまいち引きの無いキャスト陣で決まった漫画『ジョジョ』の実写化に少なからずイライラしていた反動か、何年かに一度無性に観たくなる窪塚洋介主演のバイオレンス映画【凶気の桜を】をAmazonプライムで観ました。

【狂気の桜】でも【凶器の桜】でも無く『凶気』です!好き嫌いがパックリ分かれる映画ですが、何年かぶりに観た感想は、

 

あれれ!こんなに面白かったっけ!!?

世間的な評判は低めで、個人的にも窪塚洋介のキャラと作品が纏う世界観に惹かれてはいるものの「一本の映画として評価できるか?」って言われたら、言葉を濁す作品ではあったんだけど、これがよくよく観たら面白くて、静かに興奮してしまった。

意識して映画を観るようになってから2〜3年、初見時とだいぶ作品の印象が変わりました。と言うか正直舐めてた…

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ダメになり行く生まれた国『日本』。その腐りが顕著な『渋谷』という若者の街を正そうと、暴力を携え自らのイデオロギーを貫き通そうとする愛国心に満ちた青年の物語だ。

山口率いるネオ・トージョーは渋谷にウロつく不良をブチのめしては憂さ晴らしする日々を送っていた。次第に普段から目を掛けられている暴力系右翼団体『青修』の企みと抗争に巻き込まれてしまう。

 

今改めて観ると、パッと見の奇抜なビジュアルと世界観や、当時【池袋ウエストゲートパーク】【ケイゾク】で堤幸彦が流行らせたであろうトリッキーな編集に目が行きそうになるが、実はさり気なくバラまかれたパズルのピースが、ラストに向けてカチカチっとハマって行く話運びの手際の良さが光る。

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圧倒的な力でねじ伏せられる若者

本作は『大人の力』をこれでもかと見せつけられる映画だった。ある意味、大人が感じる『調子に乗る若者たちに対する恐怖と嫌悪』の現れか?この辺りは本作の2年前に公開された同じ東映映画【バトル・ロワイアル】にも通じる。 

その『若者』と『大人』をそれぞれ象徴していたのが、窪塚洋介演じるナショナリストの山口と、江口洋介演じる消し屋(殺し屋)の三郎。本作ではこの対立する2人をこれでもかと分かりやすく対比的関係に置く。

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  • 常にイライラしてる若者と余裕のある大人
  • 山口は名字で、三郎は名前で呼ばれる
  • スキンヘッドともじゃもじゃ
  • 白い服と黒の服
  • 素人とプロフェッショナル
  • サラダばかり食べてる山口と、肉を嗜む三郎
  • 外国文化を嫌う山口に対してスタバのコーヒーを飲む三郎
  • 会食のシーンでは対曲線で遠くに座らせる

などなど。

ネオ・トージョーの若者3人が、それぞれ入れ込む事になる対となる大人3人とそれぞれの末路。外国から来た文化やモノの使い方などで、登場人物の立ち位置を描き関係性の変化など匂わしたりと、『さり気なく忍ばせる巧さ』は、まさに三郎が遂行する仕事のよう。

 実は思ったよりも計算され作り込まれてる作品ですね、それが窪塚洋介の怪演で霞んじゃっているのが勿体無い。

車(ランクル60)の譲渡や、強者への憧れと承認欲求など『心理学』も組み込まれているのかな。メンタリストDAIGOに診てもらいたい。

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街で出会ったラクロス部に所属しているハーフの女子高生:景子と山口との交流が、山口が少しづつ異文化を受け入れるていく構図になり、愛国心に満ちた彼にとって一種の『ウイルス』のように自身のイデオロギーをグラつかせ、同時に彼を取り巻く関係性が崩れ始める。。といった流れも筋が通っている。

北野武監督作【アウトレイジ】などで見られるヤクザ特有のロジックと、その人物が置かれている立場で追いつめるシンプルな話運びもGOOD!

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他にも、山口が青田を会長と呼ばなかった理由や、偽物と本物の日本刀の価値を信頼度と結び付ける辺りもグッと来る。

 

アスリート的演技をする俳優:窪塚洋介!

唯一無二の存在感を放つ当時23歳の窪塚洋介は、言うまでもなく最高!彼じゃなかったら目も当てられない作品になってただろうし成立しなかった作品。現在、彼に取って代わるような俳優が日本にいないのが寂しい。未だに彼が空けたポストを埋められないでいる。

言い過ぎな気もするが映画【ファイト・クラブ】でタイラー・ダーデン演じたあの頃のギラギラしたブラピに取って代わる俳優がハリウッドでいないような感覚に近い。

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再見して感じたのは、窪塚洋介の演技はアスリート的だなと。特に身体の線の細さを活かした『動き』の部分、もっと言えば顔の表情然り、役者としての『身体の使い方』。

ひとつひとつの動きに無駄が無くしなやかな身のこなし。ガラスのドアを突き破やぶる理想的な姿勢から、持っているスタンガンを捨てる何気ない仕草に至るまで、これでもかと様になり目を奪う。

当時の窪塚洋介は、今で言うテニスの錦織圭のような同世代を置いて行く実力とスター性を持っていた。演技という競技があれば日本代表に選出されたであろう。

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方やもう一人の洋介!江口洋介もベストアクトを見せる!淡々と仕事を遂行する熟練したプロ感と、信用させる人当たりの良さなんかも含めてハマってました。窪塚のキャラに遜色ない『絶対的強者』としてその存在。

消し屋の仕事描写もフレッシュで、彼が一人で何かをしているシーンで必ず流れる『三郎のテーマ』的な乾いたBGMも凄くツボで、こういう拘りがこの映画冴えまくってるなと。

 

監督と脚本家の黄金タッグ

ちょっと気になって監督と脚本家を調べてみた。

監督を務めた薗田賢次は、これは驚いだんだけど偶然にも上で挙げた【池袋ウエストゲートパーク】【ケイゾク】や【トリック】【トリック2】のタイトルバックを担当していて、絶頂期の堤幸彦作品には欠かせない人ですね。

本作でも、当時の堤幸彦に通じる映像センスを随所に発揮していた。これには納得!

今思えば『主役がトイレで大便しているシーン』から始まったのは【池袋ウエストゲートパーク】オマージュだったりするのかな?

 

脚本を務めた丸山昇一はベテランの脚本家で、松田優作の主演映画【野獣死すべし】、ドラマ【探偵物語】や、【あぶない刑事】の記念すべき第一話、リアルタイムで観ていた香取慎吾主演の土9ドラマ【蘇る金狼】などのバードボイルドな作品の脚本を数多く担当。

初見当時は監督や脚本家なんて全然気にしてなかったけど、今考えるとゴールデンタッグだな。

 

現役時代の須藤元気の演技力や、仮面ライダーV3のくだり、山口に絡むチンピラがもろに窪塚演じた【池袋ウエストゲートパーク】のキングに影響受けまくりで妙な事になってるとか(わざと?)、気になる部分も多いし粗削りな作品ではあるんだけど。

K DUB SHINEが担当した音楽の割り当てがかなり良く、当時ブームだったHIPHOP/R&Bのテイストがシーンシーンに合わせて上手く当て込まれていて、中にはデビュー前のJUJUの歌声も聴く事ができる。サントラ買おうかな。

 

アクの強い作品ではあるけど、今改めて観て欲しい!きっと新しい発見があるはず!

 

まとめ

良かった点

  • エネルギッシュな作品の世界観&登場人物
  • 窪塚洋介のアスリート的演技
  • シンプルな筋立ての巧さや、さり気ない伏線と回収
  • HIPHOP/R&Bを基調とした音使い

悪かった点

  • 役には合ってるけど須藤元気のいっぱいいっぱいの演技力
  • 気の抜ける演出もある

評価:★★★★  結構良かったぜ!

久しぶりに観てグッと評価が上がりました!しかも今回の初めてエンドロール終わりの映像に気付いて、その映像無しでも良い終わり方だけど、その映像はその映像でまた違った余韻を残す。

真っ白な(服を着た)若者と、真っ黒な(服を着た)大人、そして流される真っ赤な血(=日の丸)、この3色が印象深い作品だった。そして起こってること関係なく桜はいつだって綺麗に舞う。

[ 予告編 ]

凶気の桜 オリジナル・サウンドトラック

凶気の桜 オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,JA飛龍,DJ Masterkey,JUJU,K DUB SHINE,山口進,キングギドラ,童子-T,DJ OASIS,MASTERPIECE,PROJECT 雷電
  • 出版社/メーカー: DefSTAR RECORDS
  • 発売日: 2002/10/17
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関連&オススメ作品!

今回は『ダブル洋介』の好きな作品を2本づつチョイスしてみました。

 

溺れる魚

2001年公開の堤幸彦監督作。窪塚は女装癖のある刑事を演じる。共演に椎名桔平・仲間由紀恵・IZAM・渡辺謙など。この作品も改めて観直したい。

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GO

行定勲監督の代表作。窪塚は在日韓国人の青年を演じた。本作に通じるどこか『怒り』を内包した役。この髪型も良も好き!共演に柴咲コウ。

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ギミー・ヘブン

江口洋介主演のサスペンス映画。共演に宮崎あおい・安藤政信・石田ゆり・松田龍平となにげ豪華。トンデモない方向のラストだったと記憶している… 主題歌になっている竹仲絵里の『gerbera』は隠れた名曲。

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gerbera

gerbera

 

 

パーマネント野ばら

菅野美穂主演の不思議な映画。彼氏役の江口洋介のナイス演技で思わぬ展開に!監督は【桐島、部活やめるってよ】の吉田大八。

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