どうも、アバウト男です!
今回は『まとめて映画感想』になります!
いつものように、ここ最近観た旧作の感想をザッと備忘録としてまとめました。今回は『一昔前のエグい邦画』の記事を書くにあたって観た邦画が多めの全6作品になります。
まとめて映画感想 第21弾!!!
害虫
あらすじ:母親(りょう)の自殺未遂や、小学校の時の担任・緒方(田辺誠一)との恋愛経験を持つ13歳の北サチ子(宮崎あおい)。同級生たちと馴染めない彼女は、学校へ行かずに毎日街をぶらぶらして過ごしていた。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:92分 製作年:2002年
監督:塩田明彦
キャスト:宮崎あおい / 田辺誠一 / りょう / 沢木哲 / 石川浩司 / 天宮良 / 蒼井優 / 伊勢谷雄介 / 寺島進 / 石丸謙二郎 / 光石研 等
不思議で切ない少女の行く末!
映画【怒り】を観た流れから、ずっと手をつけていなかった宮崎あおい主演のカルト映画【害虫】を鑑賞。
現実味があるような無いような、決してつまらなくはないけど「面白い!!!」とも胸を張って言いにくい、異様な魅力を放つ作品でした。
無意識に居場所を探し求めている中学生サチ子の物語。無垢で一見害が無さそうな雰囲気を漂わせつつもファム・ファタール然とした彼女と関わった者は、性別・善人悪人関係なくみんな不幸になって行く。
恐らくサチ子本人には、そうさせてしまう自覚はなく、居場所を失っては探し求めるツマラナイ毎日を過ごしている。彼女が歩いているだけで辺りの男が吸い寄せられ、その男に好意を寄せる女でさえも道連れにさられるように運命を狂わされる。
援助交際/精神不安定な親/当たり屋/先生と生徒の関係などの、その当時の時代感が映し出されている。
下手に見え兼ねない、観る側が補わなければならない歪な編集や、色味のトーン、電球の破片・アイロンなどのアイテムで見せる意地悪さ含め、狂気と不穏さを含んだ黒沢清監督の作風にどこか通じるものがある。
中盤からの音楽と共に加速して行く『攻めた展開』や、切ないラスト含め個人的には結構好みでした。
サチ子の母親を演じたりょうの、完全に心が打ち砕かれた時の演技は格別でしたね。他にも蒼井優を筆頭に田辺誠一や、ちょい役で大森南朋・光石研・伊勢谷友介など意外と豪華なメンツが出演してました。
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
バンク・ジョブ
あらすじ:1971年、イースト・ロンドンで中古車店を営むテリー(ジェイソン・ステイサム)は資金繰りに頭を悩ませていた。そんなある日、彼は昔なじみのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)から銀行強盗の話を持ちかけられる。早速彼は仲間のケヴィン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)とデイヴ(ダニエル・メイズ)に相談し、実行を決める。(シネマトゥデイ)
製作国:イギリス 上映時間:110分 製作年:2008年
監督:ロジャー・ドナルドソン
キャスト:ジェイソン・ステイサム / サフロン・バロウズ / スティーヴン・キャンベル・ムーア / ダニエル・メイズ / ジェームズ・フォークナー / アルキ・デヴィッド / マイケル・ジブソン / キーリー・ホーズ / リチャード・リンターン / ピーター・ボウルズ 等
『ルパン三世』もどきのジェイソン・ステイサム!
わりと王道な『ケイパーもの』+『裏社会に手をだしちゃって痛い目に遭うもの』的な王道クライムサスペンス。
主演のジェイソン・ステイサムはケンカが人より多少強い程度の小悪党。いつもみたい卓越した暴力で何事も解決していくようなマッチョダンディでは無い。
どうにか足らない頭を振り絞り、ルパン三世もどきみたいな活躍を見せるジェイソン・ステイサムが観たければもってこいの作品。
結婚しているけど過去になんやかんやあった不二子みたいなマブい女から頼まれたのは銀行強盗。仲間を集わせ仕事に取り掛かるも、裏では別の思惑が。お金と一緒にパンドラの箱も奪ってしまい、ヤバい連中に追い込まれる事になる… ド定番なストーリーだ。
70年代に起きた実際の事件をモチーフにしてるらしいけど、ルックからは特に70年代感は出てないので、そう言った意味では観やすい作品。
これも定番な『ケイパーものに限って足を引っ張る奴いる』展開に多少イライラしたり、ステイサムが女に入れ込み&振り回され過ぎってネックはあるけど、肝心のブツを取ってからのイザコザ込みで、それなりには楽しめた。
印象に残ってるのが拷問道具。あれはなんだろうね?デカイ器具に取り付けられたホース、そのホースから出ている空気を人に当てると、その部分が焼け崩れる。マジに痛そう… あれが観れただけでも良しとしよう!
評価:★★★ 普通に楽しめました。
2LDK
あらすじ:芸能事務所所有の2LDKのマンションで、ルームシェアをする自称映画女優ラナ(野波麻帆)とB級アイドル希美(小池栄子)。同じオーディションを受け結果発表を待つ夜、些細なことで互いの感情が一気に爆発。口論は武器を使った殺し合いに発展していく。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:69分 製作年:2002年
監督・脚本:堤幸彦
キャスト:野波麻帆 / 小池栄子 等
女のケンカはヤバすぎる!
まだまだ尖っていた頃の堤幸彦が魅せる、2人の売れない女優の命をかけたバイオレンス・アクション!いやいや、なんとも恐ろしいな…
事務所から言われて仕方なくルームシェアしている性格が正反対の先輩後輩の2人の女優。
妬み・嫉み・嫌味と、胸の内にしてしまった本音いつの間にか口から出て、次第にしばき合いからの殺し合いにまでエスカレートして行く。言ってしまえば女版【悪魔を見た】ですね。やられた分だけ上乗せしてやり返す暴力!スイッチが入ったら止まらない!
こういう、積み重ねたイライラ → 爆発的発狂 → 糸が切れた暴力のエグさでいうと、女性の方がなんだか振り切っててリアルに怖い。
携帯電話やCGのチープさなど『時代感』は致し方ないものの、69分ワンシチュエーションで話の内容も『やり合い』だけなのでサクッと楽しめる一作!あのローションのくだりとか男には到底思いつかないやり口。
野波麻帆と小池栄子の関係性も今見るとメタ構造的でも面白い。ただ【悪魔を見た】を観たと比べちゃうと『エグさ』は物足りないかも。
評価:★★★ 普通に楽しめました。
39 刑法第三十九条
あらすじ:殺人容疑で逮捕された犯人・柴田真樹には、事件当時の記憶がない。やがて裁判が始まると弁護側は心神喪失を主張、精神鑑定により、被告人が多重人格と認定される。ところが鑑定を行った教授の助手・小川香深は、被告人の精神障害は詐病と直感し、独自の調査で柴田の内面に迫って行くが……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:133分 製作年:1999年
監督:森田芳光 脚本:大森寿美男
キャスト: 鈴木京香 / 堤真一 / 岸部一徳 / 江守徹 / 杉浦直樹 / 吉田日出子 / 山本未來 / 勝村政信 / 國村隼 / 樹木希林 / 土屋久美子 等
猟奇的な殺人を犯した男は劇団員であり、犯行時、解離性同一性障害心による神喪失状態にあったと鑑定を下される。
ホントに多重人格者なのか?それとも演技なのか?疑問を抱いた精神鑑定人の助手の小川が再鑑定を打診する…そんな話。
面白かったのは面白かったんだけど、すごく惜しい作品でした!
疑惑の男である柴田が抱える『ドス黒い闇』の見せ方があんまり上手くない!伏線として小出しに見せてくれるのは嬉しいんだけど、伏線ってほど隠れてない…ので、ラストに明かされる真相のインパクトが結果弱くなってしまっている。
とは言いつつも、柴田を演じた堤真一の狙った過剰さ込みの怪演には目を見張るものがある!それに加えて、銀残し・歪な編集・障害物越しの画・多用されるいくつかの不快音など、作品全体のトーンを引き立てる演出は素晴らしい!
鈴木京香演じる主人公は『精神鑑定人』なので、もっと精神鑑定で柴田の本質を見抜いて欲しかったな。結局のところ、岸部一徳演じる半笑い刑事との地道な捜査の方が、功績としてデカイので少し残念。
でも、無理があるぶっ飛んだ真相と、全体的な『嫌な雰囲気』は存分に楽しめた。森山未來が出てるみたいだったけど気付かなかった… 埋められてた子供かな?あと気付いたのが、若い頃の勝村政信は満島真之介に似てる。
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
マネーモンスター
あらすじ:リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが……。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:95分 製作年:2016年
監督:ジョディ・フォスター 脚本:ジェイミー・リンデン
キャスト:ジョージ・クルーニー / ジュリア・ロバーツ / ジャック・オコンネル / ドミニク・ウェスト/ カトリーナ・バルフ 等
スリラーとして前半はなかなか面白い!
『金融番組の生放送中にスタジオを不審な男にジャックされる』って設定分の面白さはちゃんとある!
特に前半。登場人物・その人と周りの関係性・今何をやってるかなどが、生放送直前の慌ただしいテンポで展開され、番組をジャックする男カイルの登場まで一気に駆け抜け、ググっと作品内に引き込んでくれる。
爆弾ベストと拳銃・閉じられたスタジオという密室の3つの要素も分かりやすく、イヤモニを通してのやり取りも程よく緊張感を高めてくれる。
ジャック・オコンネル演じるカイルの汗だくな迫真の姿に、ただ事じゃない感が伝わって来るも、彼か落ち着いて来ると同時に作品のテンションも落ち着いてしまうのが残念。ずっとハイなテンションを維持するのも難しいんだろうけど。
仕舞いには、爆弾ベストを着せられているジョージ・クルーニーも落ち着いちゃって番組を仕切りだす始末。この辺から若干心が離れる。
誰にも手が出せないスタジオ内だからこそあった緊張感が、何でもありなスタジオの外に出てしまうと、どうにも弱くなりそのまま右肩下がり。
一見関係ないようにみえた人との繋がりが現れたり、ネット・SNS時代の希薄で他人事な視聴者や街にいる野次馬、そいつらに苦い顔をさせるバッドなエンディングは良かった!中盤の無駄なファックシーンはシラケるのでいらない。
評価:★★★ 普通に楽しめました。
ドッペルゲンガー
あらすじ:永井由佳(永作博美)は仕事の帰り道、バックミラーごしに弟の隆志(鈴木英介)の姿を見かけ、声をかけるが無視される。不審に思いながらも自宅に戻るとそこには隆の姿があった……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:107分 製作年:2002年
監督・脚本:黒沢清
キャスト:役所広司 / 永作博美 / ユースケ・サンタマリア / 鈴木英介 / ダンカン / 戸田昌宏 / 柄本明 等
『ドッペルゲンガー』をモチーフにした黒沢清が送るサスペンス・ホラー!…かと思いきや終盤から意外な展開を迎える異色作。
序盤、永作博美の弟のシークエンスでは純粋にドッペルゲンガーを使ったゾッとするホラー的な見せ方に「お、これはイイかも!」と期待値が一気に上がる。
そもそも、観客からしたら『ドッペルゲンガー=本人の姿をしているが、喋らないし無反応の幽霊みたいな存在』ってどっかしらにあるイメージを逆手にとって、そもそも最初に出て来たやつが本人?ん、ドッペルゲンガー?と混乱させる見せ方が面白い。
と言うよりも、本作は『ドッペルゲンガー』が迫り来る恐怖よりも、早い段階でサラッと姿を表し、喋りかけてくるフランクなドッペルゲンガーの存在に、ある種【ファイト・クラブ】のような仕組みだったりすのかな?とも思ったり。
黒沢清監督特有の揺れる布や車の運転シーンもありつつ、スプリットスクリーンと当時としてはナチュラルな合成を用いて、ドッペルゲンガーとのやり取りを見せるって部分には惹かれるものがある。凶器のトンカチとか。でも音が惜しい…
ただ、ドッペルゲンガーをモチーフとしたホラーを期待してたんだけど、終盤から画期的な介護マシーンやお金をめぐってのオフビートな『コンゲームもの』になってしまったのが悔やまれる。
元々考えていた筋書きなのか、上手い落としどころが見つからず急ハンドルを切った脚本なのかは分からないけど、好きな一作にはならなかった。
評価:★★ うーん、イマイチ...
この中でオススメ/好き順はこちら!
- 害虫
- 39 刑法第三十九条
- マネーモンスター
- 2LDK
- バンク・ジョブ
- ドッペルゲンガー
1位の【害虫】は劇中に出てくるサチ子のように、まわりの作品の中でも異質で浮いた存在となりました。妙に惹かれてしまう何かを秘めた作品でした。
2位の【39 刑法第三十九条】堤真一演じる柴田の強烈なキャラクターのインパクトが大きいですね!3・4位は安定してサクッと楽しめる作品ですね。【2LDK】がそれなりに面白かったのは意外だった。
5位の【バンク・ジョブ】は何かが足りない!6位の【ドッペルゲンガー】は終盤心離れてしまった。途中まで面白かったのに!
関連&オススメ作品!
怒り / オーバーフェンス
偶然にも【害虫】で共演していた宮崎あおいと蒼井優が、今年タイミング然り、同じようなメンヘラ女性を演じていたのがなんとも興味深い。
テロ, ライブ
マネーモンスターを観て連想したのがこの作品。ハラハラさせる見せ方で言えば【テロライブ】の方が上手いけど、オチの展開があんまり好きじゃない。
バイロケーション
ドッペルゲンガーをモチーフにしたホラーだとこの作品。ツッコミどころはたくさんあるけど、ラストでビックリさせてやろうって意気込は好感が持てる。