あらすじ:デスノートの力で多数の凶悪犯を破滅させた夜神月と、彼を追い詰めた天才Lの伝説のバトルから10年の歳月が経過。またしても死神がデスノートを下界にまき散らしたため、世界中が混乱していた。夜神総一郎が設立したデスノート対策本部は健在で、キラ事件を熟知する三島(東出昌大)をはじめとする特別チームが事態を注視しており……。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:135分 製作年:2016年
監督:佐藤信介 脚本:真野勝成
キャスト:東出昌大 / 池松壮亮 / 菅田将暉 / 川栄李奈 / 戸田恵梨香 / 中村獅童 / 船越英一郎 / 松坂桃李 等
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まさかのデスノート"ごっこ"!?
同名の人気漫画を実写化した【デスノート】の続編【デスノート Light up the NEW world】。前作から10年後の話となる本作の監督を務めたのは【GANTZ】や【アイアムアヒーロー】を実写化した佐藤信介監督。
ってかタイトルが長過ぎだろ…【デスノートLNW】と書いてる人も見かけるけど、 面倒くさいんで記事タイトルは【デスノート2016】と表記しました。【アイアムアヒーロー】が良かっただけにそれなりに期待して観た、軽いネタバレを含む感想は、
えっと、なにこれ?ダメでしょ...
どうやら佐藤監督、【アイアムアヒーロー】の出来はまぐれだったのかな?と思ってしまうほど正直グズグズな出来の作品でした。「本年度ワースト1位!」と言ってる人の気持ちも分かるほどの事故ってました。
僕が以前、小栗旬主演の実写化【ルパン三世】の感想で『ルパン三世に憧れたその辺の日本人窃盗団の物語』みたいな事を書いたんだけど、本作もそれと似たような、デスノートの名前を借りた『無邪気なデスノートごっこ』を見せられてるような内容でした。
だからと言って、藤原竜也&松山ケンイチの【デスノート】が良作かって言ったら、あれも漫画の面白さの4分の1くらいしか魅力を引き出せてない作品なので褒めてはいないけど、本作はそれよりも面白くなかった。
肝心の『デスノート』要素は!?
原作の『DEATH NOTE』って、名前を書かれた人は死ぬ『デスノート』の細かな設定を活かしながら、ノートを使って犯罪者を殺しまくるキラ側と、そのキラの正体を暴き殺人を食い止めようとするLと警察側の、先の読めない頭脳合戦が魅力の作品。
どれだけ非道になれるか?どれだけ人を操れるか?どれだけ隙間を突いて相手の裏をかけるかなどの攻防が面白かったのに...
本作、その要素があくまでも薄〜く目配せとして入れられているだけ。
出て来る人はみんな凡人レベル、というかこういう映画の場合には無能レベルと言ってもいい。肝心の頭脳合戦要素はあまり無く「今、踊る大走査線を観てるんだっけ?」と勘違いしそうなる、ハッカーと警察のいまいちピンと来ないザックリした攻防が大半を占める。
特に池松壮亮が演じた竜崎は天才『L』の遺伝子を持つ後継者なんだから、あの無能ぶりはさすがにダメだろ… キャラのアクの強さで誤摩化てもさすがに無理がある。
実質6冊もノートは必要無かった件は良いとしても、破綻した脚本のまま強引に突き進むので、ノートの設定の曖昧さ、ツッコミどころ、都合良過ぎな展開&後出しな真相が目立ち、それらを挙げてたらキリないほどモヤモヤしながら終始観る羽目に。これは原作者関わってないでしょうね。
キラの件だけでもグラグラ過ぎ。
…って高校生が考えた流れみたいだな。
Lの映像に隠された暗号にいきなり気付く三島の件や、なんで三島にミサと紫苑の声が聞こえてんの?とか、アイツが死ななかったのはマグレみたいなもんだよねとか、真相が明るみになった後でもリュークがあの名前で呼び続けるのはおかしくない?とか、矢継ぎ早に「むむむ?」な展開が繰り広げれる。
今回はキラの妄念取り憑かれた人たちの話でしたね。
こんなんだったら6冊のノートを使って、天才6人による頭脳戦バトルロワイアルが観たかった!
日本映画『あるある展開』の詰め合わせ
中でも印象的だったのは、色々な邦画で見尽くしたような凡庸な展開やシーンが詰め込まれた作品だった。目の前で起こる1つ1つの出来事を見せられても「だいたいそうなる気がした…」と基本インパクトがない。
逆探知のための会話による引き延ばし、もぬけの殻、対策本部解体、裏切り者としてハメられる展開、捕まるかと思いきや仲間だった、最後の最後で協力する、死んだと思いきや生きていた etc. こめかみに銃を突きつけるシーンとかいらないだろ。あ〜いうのホント好きね。
それと「予告編から物語を考えたのかな?」と思ってしまう程、予告で出てくるシーンがやたら映画の流れから浮いていたのも不思議な感覚でしたね。なんか「ここ見せ場!」感がある唐突さというか、話の展開よりもこっちの方が新鮮でした。
東出くんが可哀想!
メインの3人の演技は、漫画的な過剰さを意識していたように観えた。池松くんと菅田くんは何とかモノにしていたけど、
今最も勢いのある2人との実力の差が出てしまった東出くんには同情するしか無い。セリフを噛まずに言おうとし過ぎて逆にぎこちなくなってるし… 見ていて可哀想でした。
戸田恵梨香が出てたのは作品として厚みが出てて良かったんだけど、扱いが酷い… 結局そんな扱いなのかよ。川栄ちゃんの掴みのカマしキャラは良かった。
残酷なクレジット
これは中身の話じゃなくて、エンドロールのクレジットを見て感じたことなんだけど。エンドロールって、その映画が面白くて傑作だった時には『賞賛されるべき人々』として、全ての人に拍手を送りたくなるなシメの素晴らしい時間だと思うんだけど、
本作のエンドロールのクレジットでは『やらかした人々&やらかしに参加した人々の発表』に見えてしまって、なんとも言えない残酷な時間でした。
今までつまらない作品を見ても何ともなかったのに、こんな経験は初めて。安室奈美恵が歌う『Dear Diary』の楽曲の良さも相まって、より残酷さが引き立つ結果に。
やめてあげて〜!安室ちゃんは何も悪くない!
それとダメ押しのエンドロール後の取って付けたような映像に、最後の最後まで観客を舐めている姿勢が伺えてゲンナリ。
劇場が明るくなって、みんな席を立った瞬間に多くの人が「なんで、あそこは〜」「あのシーンはどういうこと?」とか、物語の不明点や疑問点を口に出してましたね。
そんな映画です!
まとめ
評価:★★ うーん、イマイチ...
ぶっちゃけ★1つでも良いんだけど、モヤモヤしながらも飽きずに観れたので、このくらいの点数に。リュークなどの死神のCGのクオリティは格段に上がってましたね。でもさすがに3体は手抜きじゃないかな?せめて6冊出したんだから6体見せてよ。
竜崎が付けてる『ひょっとこ』のお面のデザインはキモくて好きです。
[ 予告編 ]
満足できなかった人のために
漫画『プラチナエンド』
【DEATH NOTE】【バクマン。】の大場つぐみ&小畑健のタッグ第3弾の連載中の漫画。簡単に言ってしまえば『天使版デスノート』で、天使に憑かれ特殊な力を得た人間13人によるバトルロワイアルが観られる。本作で肩透かしを食らった人は『プラチナエンド』見てリカバーしよう!
関連&オススメ作品!
デスノート
ルパン三世
今回の感想で入れられなかったひと言:
映画の公式サイトが凝り過ぎて非常に見辛い!