あらすじ:夫トム(ジャスティン・セロー)と離婚し、深い悲しみに沈むレイチェル(エミリー・ブラント)。そんな彼女を慰めるのが、かつてトムと暮らしていた家の近所に住む夫婦の仲むつまじい姿だった。通勤電車の窓から二人を眺めてはトムと過ごした日々を思い出す彼女だったが、その夫婦の妻が不倫にふけっている現場を目撃する。次の日、電車を降りて彼らの様子を確かめようとするが、不意に記憶を失ってしまう。やがて自分の部屋で大けがを負った状態で目を覚ましたレイチェルは、その人妻が死体で発見されたのを知るが……。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:112分 製作年:2016年
監督:テイト・テイラー 脚本:エレン・クレシダ・ウィルソン
キャスト:エミリー・ブラント / レベッカ・ファーガソン / ヘイリー・ベネット / ジャスティン・セロー / ルーク・エヴァンス 等
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昼ドラ・アル中ミステリー!
どうもアバウト男です!
みんな大好きエミリー・ブラント姉さん主演のミステリー映画【ガール・オン・ザ・トレイン】。比較としてデヴィッド・フィンチャーの【ゴーン・ガール】の名前が出てたり、世界的ベストセラーの映画化、そして予告のアダルトな雰囲気含め気になって観て来ました!犯人が誰かは伏せた、ネタバレ無しの感想は、
ほーーん、そうですかぁ。。
この感じ察してください。。ポスターに書かれている『初めて体験する衝撃のラストに激震!』というキャッチフレーズをカマす割りに、かなり地味でオーソドックスな展開と結末で少々物足りなかったです。とにかくエンジンがかるのが遅ーい!
主人公のレイチェル(エミリー・ブラント)は通勤電車からいつも『理想のラブラブ夫婦』の様子を覗くのを日課にしていた。レイチェルにとってその夫婦は自分が失ってしまった『理想の夫婦』像そのものだった。
ある日レイチェルは『理想の夫婦』の妻メガンの不倫現場を目撃してしまう。数日後メガンは行方不明となり殺人事件へと発展。その一件に踏み込んでしまった目撃者レイチェルのあやふやな記憶に、次第に疑いの目が向けられ追い込まれて行く。
この物語の大きな3つの要素、
- 不倫が絡む昼ドラのような男女のドロドロ劇
- 登場人物は女3人男3人の計6人
- レイチェルは結婚に失敗しバツイチ、酒に溺れるアル中で理想の夫婦を羨んでいる
なんとも面白そうな要素が揃ってる!
ポイントは、レイチェルは記憶をなくしてしまうくらいの極度のアルコール依存症=アル中だということ。水筒に度数の高そうな酒を入れて持ち歩き水分補給のように呑んでいる。
彼女の見た事や過去の記憶/言動/行動がグラグラで、レイチェルは作中『信用に欠ける重要人物』というグレーな立場となっている。
そんなパッと見、情緒不安定なレイチェル目線で物語が話が進むので、観客も彼女に肩入れしつつも「いや、そもそもコイツもコイツであやしいしな...」と彼女自身に惑わされていく。
広げた伏線の風呂敷と撹乱させる登場人物
本作、限られた6人の登場人物にシンプルなストーリーなので、話をかき回す為にわりと序盤から伏線やミスリードの風呂敷をバーっと広げて行く。
ちなみにこの伏線を色々と広げる中盤から終盤までが結構スローペースでタルい。物語の薄さをカバーしようと、次から次へと何かを匂わすエピソードを入れたり、過去に遡ってみたりとダラダラと脇道に逸れるので、次第に
もう勝手にやってよ!
と心が離れてしまう。
殺人が起きるの事は予告等で事前に分かってるから、死体が見つかって殺人事件と認定されるまで長いし、正直112分もいらないこじんまりとしたストーリーを、無理やり引き延ばしている感は否めない。
それと「もう勝手にやってよ!」と思ってしまったもう1つの原因は『狭い人間関係を構成する登場人物の容姿が無駄に似ている』という点。これはきっと話を混乱させるため半ば意図的ではあるんだけど。
例えば、
『理想の夫婦』で失踪してしまう妻メガンは、金髪・美人・エロい。その夫のスコットは黒髪・長身。
メガンはバイトで『ある夫婦』のベビーシッターをしていて、その夫婦の夫トムはレイチェルの離婚した元夫で、黒髪・長身。
その妻アナは金髪・美人・エロい(レイチェルから夫を寝取った女)。2人の間には子供がいる。
そこにメガンの心のカウンセラーのイケメン。こいつも黒髪・長身。しかもこれは僕だけかもしれないけど、このカウンセラーを演じてる俳優がどこかで見た事ある顔で、思い出せずにずっとモヤモヤ。調べたら、作品は観てないけど【Xミッション】に出てた俳優さんでした。散々映画館の予告を見せられたので見覚えがあって。そこに+レイチェルの計6人。
その『似たような見た目』の件が、後に話に活きてくるだろうなと〜思って観てると、特にトリックで活かされるでもなく必要に感じられなかったので、もう少し分かりやすくキャラ分けして欲しかったな。
似たような女と似たような男ってのが、良いも悪いも恋愛における『タイプや好み』のディテールとして、分かるっゃ分かるけど。
狭い人間関係がドロドロと昼ドラのように絡み合う形が面白かっただけに、似たような容姿がいちいちノイズになってしまったのは残念というか惜しい。
金髪の2人と茶髪で暗めの服を着ているレイチェルが光と陰みたいな構図は意味合い的に分かるけど。
本作のアル中とお酒の扱い
それに合わせていつものように「むむむ!?」となっあ部分があって、それはレイチェルのアル中&お酒の扱い。
お酒が本作、不透明さを煽りミステリアスを演出するキーアイテムであるのと同時に、ザックリと都合の良い使われ方をしていて「いや、これならなんでもアリじゃん!?」とは思いました。
アル中になった経験が無いから分からないけど、都合のいいように記憶を無くし、都合の良いように記憶を混乱させ、都合のいいように記憶を取り戻し。ある種お酒が『記憶を都合の良いようにコントロールできる万能薬』みたいな。お酒ってそんもんかー?
「せめて酔っ払う前とか、酒飲んでない時の記憶は覚えてろよ。」とかね…それも小栗旬主演【ミュージアム】で出た『心因的ストレス』も相まって、記憶が捻じ曲がってしまったって理由付けは出来るけど。
序盤の「私は夫から酔っ払った日の出来事を聞かされるて状況を把握する」的発言や「昔から想像力は豊かな方だ」みたいな予防線がズルく感じるほど、なんともその辺りザックリでしたね。
胸糞な真相と挽回する結末
とは言え『つまらなない』という訳ではないです。終盤駆け足気味に明かされる真相は、
かなり胸糞悪かった!!!
胸糞悪いレベルで言えば、今年観た映画の中でベスト3に入るゲスさというか最低というか、シンプルに胸糞悪い!殺し方も徹底してエグい。この胸糞悪いが故にラストにスカッとする結末に繋がって挽回してくれた。
最後にテイストが変わるというか、男と女の構図がハッキリし若干ニンマリして終われるという意味では、ただのミステリーやサスペンスで終わらさなかった、名前の出た【ゴーン・ガール】に通じてるのかな。
あの瞬時に悟る阿吽感!光と陰の括りがなくなり、そして同志となる。
まとめ
評価:★★★ 普通に楽しめました。
【ゴーン・ガール】並みに「これは後に作品名が色々な映画の感想で引用されるな」的な作品では無いけど、ドロドロとした昼ドラが好きな人は楽しめる一作だと思います!
ちょっと前にあった本作と同じような『記憶があやふやな女性主人公』をシャーリーズ・セロンが演じたサスペンス映画【ダーク・プレイス】の方が個人的には『ラストの意外さ』含め面白かったかな。
ただエミリー・ブラントのアル中・情緒不安定演技は秀逸でした!観ている間、絶妙に肩入れしにくい塩梅を保ち見事に演じ切ってました。よく見るとミステリー映えする顔してるな。
[ 予告編 ]
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パーフェクト・ルーム
悪友の男5人が不倫やハメを外すために借りた秘密部屋『ロフト』に横たわる女の死体。本作が女の映画であるなら、こっちは男のドロドロ映画!巷の評価は高くないがそれなりに面白かった。役者がみんなハマり役!
ダーク・プレイス
今回の感想で入れられなかったひと言:
ポスターのエミリー・ブラントのアップの写真、アゴが割れてる。。これはもしかして【ゴーン・ガール】の主演ベン・アフレック オマージュ!?