映画『トルプル9 裏切りのコード』感想/評価/ネタバレなし
あらすじ:アメリカ・アトランタ。元特殊部隊員と悪徳警官たちで編成された強盗グループを率いるマイケル(キウェテル・イジョフォー)は、銀行襲撃を成功させたのを機にロシアンマフィアとの関わりを絶とうと決意する。だが、ボスであるイリーナ(ケイト・ウィンスレット)はそれを許さず、マイケルの息子を人質にして国土安全保障省の施設を襲うように迫る。警官銃撃を意味する緊急コードであるトリプルナインを発動させ、10分だけ市警の機能をストップ。その間に襲撃に挑むマイケルたちだったが……。(シネマトゥデイ)
製作国:アメリカ 上映時間:115分 製作年:2015年
監督・脚本:ジョン・ヒルコート
キャスト:ケイシー・アフレック / キウェテル・イジョフォー / アンソニー・マッキー / アーロン・ポール / クリフトン・コリンズ・Jr / ノーマン・リーダス / テリーサ・パーマー / ガル・ガドット / ウディ・ハレルソン / ケイト・ウィンスレット 等
どうも、アバウト男です!
今回は「なんかメンツからして面白そうじゃん!」と思いつつも、劇場公開当初の微妙な反応からスルーしてしまった【トリプル9 裏切りのコード】を、レンタルDVDにてこのタイミングで鑑賞。
『拾いモノ』的クライムアクション!
前評判からあまり期待してなかったのもあるんだけど観てみたら、
これが面白かった!
終始張り詰める緊張感、性急にならず淡々と一癖も二癖もあるメンツを絡ませ、着実に整理された物語をつむいで行く。終盤の一世一代の『作戦』に全てが交差し繋がり合う!これは意外にも『拾いモノ』的な良質クライムアクションでした。
マフィアモノ&汚職警官モノが好きであれば速攻でオススメしたい!個人的に好きなテイストではあったものの、それを抜いてもちょっと過小評価され過ぎじゃないかい?
アメリカ南部の犯罪都市アトランタ。ロシアンマフィアの冷酷な女ボスに命じられ『やるしかない』状況に追い込まれた、元軍人&汚職警官からなる強盗グループ。警察の目を遠ざけるために警察の緊急コード『999』を利用して作戦遂行を目論む。
『999=トリプル9』とは何ぞや?
タイトルにもなって、作品の鍵でもあるコード『999』とは『職務中に警官が撃たれた非常事態に発せられ、警官が最も恐れる最重要コード』。これが発せられたら直ちに全ての警察官は現場に急行し、とにかく仲間を撃った犯人を捕まえるため血眼な一斉捜査が開始される。仲間のために『すっ飛んで行く』緊急コード、これだけで熱い!
『みんなすっ飛んで行く』って明からさまに隙を突かれそうなコードなんだけど、その存在と設定として活かした話は新鮮でした。もしかしたら他の映画でも気付かないだけで「仲間が撃たれた!999!」とか言ってるのかも。
本作はその『999』を意図的に発生させ、警察の目を逸らしてる間に、別の場所で作戦を遂行を目論む強盗グループがメインとなり話を引っ張って行く。
しかもこの『999』を利用する作戦を発案するのが、内部を知り尽くしている汚職警官。
「やるならせめて10分近い時間が必要だ」「ダメだ、3分以内に警察が来てしまう」「なら…『999』を利用しよう」
といった具合に、いかにも『999』が「出すのか!?あれを!」みたいな『奥の手』的な使われ方をしていて思わず男心をくすぐられる。汚職警官が『警察の熱いチームワーク』を逆手に取るなんとも皮肉な話。
渋めの豪華キャストが集結!
本作の売りは、脇役として映える実力派キャストの豪華共演!この人は達を『渋い』と言ってる良いのかは分からないけど。
ベン・アフレックの弟で【ファーナス 訣別の朝】の弟役も良かったケイシー・アフレック、【それでも夜は明ける】や【ドクター・ストレンジ】にも出演するキウェテル・イジョフォー、【キャプテン・アメリカ】シリーズのファルコン役でお馴染みのアンソニー・マッキー、【処刑人】や【ウォーキング・デッド】シリーズのノーマン・リーダス。
【ワンダーウーマン】に抜擢されたガル・ガドット、【ナチュラル・ボーン・キラーズ】【ゾンビランド】のウディ・ハレルソン、【タイタニック】や最近では【スティーブ・ジョブズ】の好演も記憶に新しいケイト・ウィンスレット。アーロン・ポールって俳優さんは知らなかったんだけど、今地味に話題の【アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場】に出演してる人みたいですね。
加えて写真には出てないけど【パシフィック・リム】【マインドハンター】に出てたクリフトン・コリンズ・Jr.と、そうそうたるメンツが一堂に会する!実は主演張ってる人ばかりでした。
実直な警官/その叔父であるベテラン刑事/ロシアンマフィアの女ボス/ボスの妹/ボスの妹の旦那であり強盗グループのリーダー/強盗グループの冷静沈着なオペレーター/汚職警官/ストリート・ギャングetc.『美味しそうなキャラ』に『実力派俳優』たちが上手い具合に振り分けられてて、
もうこれだけで、ご飯3杯いける!
特にこの中でも良かったのは、悪役か危ない男を演じてるイメージもあるウディ・ハレルソンの真っ当なベテラン刑事役がハマってました!
ケイシー・アフレック演じる甥のクリスを心配しつつも、発端となった強盗事件を地道な捜査で紐解いて行く。『999』が発令された時の『駆けつけぶり』も胸熱。役のために痩せたのかな?イイ味出してた。
それに、女ボスを演じたケイト・ウィンスレットの風格も見事。もはやケイト・ウィンスレットさを感じさせない程の役の入り込み様。これ男が演じるなら一昔前のジョン・トラボルタ枠。こいつ下手したら身内もなんなく殺しそうな勢いでした。
あと、ファルコンでお馴染みのアンソニー・マッキーも汚職警官ながらも、どこか根の良さ込みの配役も絶妙で。
この実力派キャストを揃えることで、全体的にヌルさを感じせず常に画面を引き締しめる効果がある。『主役不在』物語としては納得のキャスティングですね。
スリリング且つ整理された話
『999』を扱う設定や『豪華共演』の2大要素にあぐらをかかず、登場人物が多い割には混乱させること無く、整理された脚本にも好感が持てる。
蓋を開けてみれば、ロシアンマフィアと警察に板挟みになった強盗グループが物語を引っ張り、そこにちょこっとストリート・ギャングが絡む程度で、話としてはいたってシンプル。
前半で「え、こいつ殺すか!?」と思わせる潔い『かまし』や、ノワール特有のバイオレンス描写、一連の流れで見せるリアルな家宅捜索シーン、汚職警官が通常の任務に戻っているハラハラとさせる時間、強盗グループにお荷物キャラがいて、そいつがしでかす展開、そして裏切りなど、様々なクライムアクションのグッとくるポイントがぎちっと詰まっていて、終始スリリングでした!
【トレーニング デイ】【クロッシング】のアントワーン・フークア監督作や【エンド・オブ・ウォッチ】【サボタージュ】のデヴット・エアー監督作が好きなら間違いなくハマるんじゃないかな?と思える作風。
終盤にカタルシスもちゃんと用意されて申し分ない!そこで終わらず延長戦的な話は蛇足にも感じたけど、タイトルに戻ってくる感じは嫌いじゃないので、サービス精神旺盛込みの良い着地として受け取りました。
まとめ
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
この実力派キャストの豪華共演を見逃さない手はない!今まで観たウディ・ハレルソン出演作の中では一番好きかも。
ド派手なシーンはあまりないけど、真摯に作り込まれたながらも重すぎない作品として僕は支持派ですね。この予告観るだけでアガる!
[ 予告編 ]
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こちらも舞台はアトランタ。シュワちゃん主演のサスペンスアクション!