映画『ハードコア』ネタバレ感想・評価
あらすじ:見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリーは、妻エステル(ヘイリー・ベネット)が、大事故によって肉体が激しく損傷してしまった自分に機械でできた腕と脚を取り付け、声帯摘出の準備を進めているのを目にする。だが、手術に取り掛かろうとしたとき、謎の組織を率いる男エイカン(ダニーラ・コズロフスキー)が乱入。すさまじいパワーで施設を破壊した上に、エステルを連れ去ってしまう。ヘンリーは機械のパーツを導入したことで得た超人的身体能力を活用し、愛する妻をエイカンから奪い返そうと立ち上がるが……。(シネマトゥデイ)
製作国:ロシア / アメリカ 上映時間:96分 製作年:2016年
監督・脚本:イリヤ・ナイシュラー
キャスト:シャールト・コプリー / ダニーラ・コズロフスキー / ヘイリー・ベネット / ティム・ロス 等
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どうも、アバウト男です!
今回は全編主人公の『視点』で展開させるアクション映画【ハードコア】の感想になります。本作に用いられた手法というのが、いわゆる主観映像:POVとはちょっと違うらしい『一人称視点:FPS(ファースト・パーソンズ・シューター)』、ゲームではよくある見え方らしいけど。
要はカメラなどの主観映像ではなく、完全にその当人の視点・視界による映像で展開される作品で、予告からしてヤバかったので気になって観て来ました!真相のネタバレは避けますが、今回もそれなりに踏み込んでいます。
次世代の新感覚アクション!
本作は見せ方やその見せ方に特化した作品なので、ストーリーはあって無いようなくらいシンプル。メッセージも特に無い。
記憶を失ったサイボーグの男が誘拐された妻の奪還と、記憶を取り戻そうとある組織に立ち向かう話。実は進むにつれてある真相が浮かび上がる。
観た率直な感想は、
こりゃスゴイわ!ひたすら視界がエキサイティング!
POV系の作品が流行ったのもあって、この手の作品は結構見慣れてるとは思ってたんだけど、これはこれで一味違っていた。眼筋が疲れる!
簡単に言っちゃえば【ボーン・アイデンティティー】のジェイソン・ボーンや【ミッション:インポッシブル】のイーサン・ハントような超人的な男の視点と自分の視点が同化する感覚なので、襲い来る敵と戦ったり、転げ落ちたり、飛び回ったりと、終始視界が目まぐるしく展開しジェットコースターに乗ったかの如くグアングアンの連続ですよ!全編Goproで撮っただけの事はある臨場感と微細な揺れまで余すとこなく味わえます。
改めて「アクション映画の主人公ってこんな目に遭って、こんな光景を見て、こんな風に動くのか!?」と普段なら絶対味わう事・経験できない事をリアルな視界・視点を通して追体出来るので、これこそ映画の醍醐味ですね!強制的に視覚を支配されるので、もしかしたら人によっては酔ったりするかも。
個人的には落下描写が良かったですね!ちゃんと心臓の位置がふわっと浮くような感覚がして、特に地面に着地する一歩手前の距離感は思わず力が入る。夢なら「ハッ!」と覚めてる。
『あるある』なシチュエーションが詰め込まれている!
この映画はは『アクション映画』によく出てくる『あるある』なシチュエーションをばーっと色々と挙げていって、それらを繋ぎ合わせ一本のストーリーとしてまとめたような作りでした。
上空からの落下/ハイウェイ&駐車場/街中&バス/いかがわしい狭いクラブでの銃撃戦/カーチェイス/逃げ込んだ森/廃墟からの脱出/ビルの屋上&VS大勢の屈強な男たちなどなど。火炎放射器で燃やされそうになったり、手榴弾を投げる体験もできる盛り盛りの内容。
尚且つ作り手がちょっと物足らないと思ったのか、組織のボスのエイカンに【クロニクル】みたいな念の力で物を飛ばす念動力を持たせたのも、厨二的というか画的なスパイスとして効いてましあ。
ほとんどのシーンがそうだけど、念動力を持つ相手と対面する事なんて普段無いですからね、人がこちらに吹っ飛んで来るシーンとか新鮮でしたね。
サイボーグの主人公ならではの安定しない視界のノイズで行動を端折ったり、気付くと次の場所にいるってのはさり気なく上手いなと。
ただ、サイボーグなりのパワーの見せ所みたいなのはあまりなくて、単にタフで運動神経抜群の殺人マシーン的な見え方になっていたので、その辺はもうちょっとサイボーグなりの【片腕マシンガール】や【プラネット・テラー】的な欠損した部分に銃器を取り付ける、それこそゲームのような展開も観たかったな。それは続編で是非!
ラストに主人公がエイカンをある方法で殺すシーンがあるんですけど、あのシーンは半サイボーグの身体が活きてましたね。個人的には漫画『餓狼伝』のグレート巽 VS サクラ戦の度肝を抜く荒技を思い出したりしました。伝わらないかな?w
親切なのか不親切なのか
赤と黒の2色で見せるオープニングはかっこよかったですね!これから劇中起きるであろうバイオレンスな描写をスローにクローズアップで見せ、ロックな作風とグロさを事前に観客に提示させる親切設計。
かと思いきや逆に【第9地区】【エリジウム】のシャールト・コプリー演じる主人公をサポートするキャラが、何の説明もなくチラホラと出てくるので、若干の分かりにくさはありました。「なんかさっき出てきた奴と似てるけど?ん、兄弟?」→「あぁそういうことなのね!」みたいな、後々説明されるんだけど。あの辺りの見せ方はもう少し整理できそうだけど。
観終わってからすでに色々と忘れて来てるし、後々噛みしめるような作品じゃなく、その場の100分弱を思う存分楽しむタイプの作品なのでこれはマジで観るなら映画館ですよ!アトラクションが好きな方は是非オススメです。
まとめ
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
目の前で頭が吹っ飛んだりナイフを刺したり、それなりにグロいのでそういうの好きな人は尚更ハマるんじゃないかな。格闘技の特番みたいに、こういうの観ると自分が強くなったように感じるから面白い。観終わった観客から「これVRで観たらヤバイよな!」と声がいくつか上がってました。
昔、近所のプラネタリウムで星座紹介の前に企画でやってた、空を飛び回る鳥目線の映像が好きで、あの時の浮遊感を思い出しました。もう20年以上前だけどあれは今考えるとメガネなしのIMAXだったな。
[ 予告編 ]
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プラネットテラー
ヴィクトリア
ここ最近の手法推しの映画だと『全編ワンカット』の【ヴィクトリア】ですかね。
感想に入らなかった一言:ベネット・ミラーは改めてエロいし、ティム・ロスはぶっちゃけ無駄使い!