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ジュピターズムーン【ネタバレ映画感想】どう撮ってんだ!?宙に浮く映像は観る価値アリ!

映画『ジュピターズムーン』ネタバレ感想/評価

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どうも、アバウト男です!

青年がふわ〜っと宙に浮かぶ映像がインパクト大な作品【ジュピターズ・ムーン】。監督は【ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲】で第67回カンヌ国際映画祭・ある視点部門賞を受賞したコルネル・ムンドルッツォ。【ホワイトゴッド】は公開当時気になってたんだけど、結局観に行かず、今も手がついてません。

今回は純粋に不思議な映像体験を期待して観に行きました!それなりにネタバレも含みます。ネタバレしててもさほど面白さは変わらないと思いますが。

 

あらすじと予告

医療ミスによって病院を追われ、難民キャンプで働く医師シュテルン。彼は難民を違法に逃がし金を得ては、医療ミスの遺族に渡す賠償金に当て、訴訟の取り下げを狙っていた。ある日、被弾して重傷を負った少年アリアンがキャンプに運び込まれる。彼に重力をコントロールし浮かぶ能力があるのを知ったシュテルンは、金もうけに使えるとキャンプから連れ出す。一方、アリアンを撃った国境警備隊は隠ぺいを図ろうと二人を追跡し……。

予告編:『ジュピターズ・ムーン』本予告 - YouTube

 

撮影&映像はイイです!

シリアを逃れハンガリーの国境を越えようとした青年アリアンは、国境警備隊に撃たれた事で『宙に浮く能力』を開花させる…って「え何で?」って思う本作の設定は置いておいて、、

そのアリアンが宙に浮く映像というか『光景』には思わず魅せられました。てかこれどう撮ってんだよ!?

恐らくは本人をワイヤーで吊って、そのワイヤーを消してるんだけど、その吊られてるぎこちない感じが、浮遊の能力を覚えたで戸惑いつつ、まだまだ扱いきれてない発展途上の状態、それでいて徐々に能力を身に馴染ませようとしてるように見えて逆に自然で、妙な説得力がありました。

それに合わせて彼を映すカメラ自体もぐる〜っと上下逆転して見せるので、座席に座りながらも自分の身体が軽くなるような不思議な浮遊感を味わえた。

そして、彼の逃亡を助けるシュルテンや一般市民と同じく観客も人知を超えた神的存在をこの目で目撃してるよう感覚も同時に味わえるので、その部分だけで映画的にある意味成功!

クレーンカメラにドローンなんかも場面場面で使い分けてるんだろうな〜。メイキングが観たくなるような、ちょっと他の作品の『無重力表現』より頭の先チョイ抜きん出てます。

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2017 (C) PROTON CINEMA - MATCH FACTORY PRODUCTIONS - KNM

で、宙に浮くキャッチャーな映像だけではなく、基本的に長回しを多用した切迫した状況の演出の上手さや、画の良さにも気付かさせれる。

特に序盤、飛び込んだ川から這い上がりそのまま森を疾走するアリアン。彼と同じく国境を越えようと走ってる人も他に大勢いて、ぐんぐんとその人たちを追い抜かしていく彼を、カットを割らず木々をナメながら横位置に付いたカメラが常に捉えて続ける。撮影陣は多分車で追走。そこで「お、この映画は!」とグッと観客を作品に引き込む力強さがありました。

 

ドラマパートがそこまで...

話としては国境警備隊から逃げてる難民アリアンを医師のシュテルンが手助けするって内容なんだけど、その話がそこまで面白くない。

要員としては医師のシュテルンが自分勝手な利己的オヤジ過ぎて乗りづらい。アリアンを国境警備隊から守るという立ち位置なんだけど、シュテルン的にはアリアンの能力を利用して手っ取り早く過去に犯した医療ミスによる賠償金を稼ぎたいが為に連れ回してる = それが結果として国境警備隊から逃げてるって事になるんだけど。

アリアンとシュテルンの利害が一致したって言えば聞こえは良いけど、アリアンを使える道具としか見てないシュテルンに対し、アリアンは彼を信じるしかない弱い立場ではあるので、なんかスッキリしない状態が続く。

それに加えてシュテルンの彼女に対するぞんざいな態度や、高級レストランでの店員への横柄な振る舞い、アリアンといる事で自分が凄い人間になったと勘違いしてる辺りも諸々引っ括めて惹かれない存在でした。

というかアリアンの浮く能力描写を見せたいが為に、そこまで内容のないドラマをずるずると引っ張ってるようにも見えました。

 

宗教色強め&ちょっとした不満

作品内でアリアンが『天使(=神的存在)』に例えるられる場面や、跪いたシュテルンの頭に手を乗せる場面なんかを見ると、きっとキリスト教の知識がある人が観ればもっと伝わって来るものがある作品なんだと思います。

アリアンの浮く能力を見ただけでシュテルンに大金を払うみたいなのもイマイチ分からなかったり… そこに宗教的な何かがあるのかな?奇跡を見たらそれに見合うお金を払う風習があるとか?

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2017 (C) PROTON CINEMA - MATCH FACTORY PRODUCTIONS - KNM

終盤シュテルンは色々と汚い真似して掻き集めた賠償金も無意味に終わり、半ば目的を失ったのにも関わらず、それでもアリアン見捨てなかった。

アリアン(天使)を理由はどうであれ見出した利己的でどうしようもない男が、ここぞの場面で利他的な行動を取った事で天使からの許しを受け最終的に報われた…って結末なんだろうけど、そもそもシュテルンに乗れてないので、感動気なラストシーンが来ても全然グッとも来ない…

シュテルンを少しでも同情や応援できる人物として描いていたら、もう少しラストがエモかったのにな。

 

あと褒めた『映像』の件でも1つ不満があって。アリアンの能力は厳密に言うと『浮く』というよりも『重力を操る』って事が、部屋の重力を上下逆さまにしたりしてある男を懲らしめるシーンで分かるんだけど、あれいらなかったな…

すでに映像表現としては日本のCMで同じような事はしてて。

#重力猫『GRAVITY CAT / 重力的眩暈子猫編』presented by GRAVITY DAZE 2 - YouTube

もちろん映像としては魅力的だし、あの映像を見せたいが為に入れられたような展開なんだろうけど、あそこまで重力を操れるちゃうと、国境警備隊の脅威のレベルがグンっと下がって、

いや、アリアンお前なら大丈夫だろ!?

って思っちゃって、終盤の危機的状況もそこまでスリリングに感じず。あの規模の部屋だからできるって言えばそうかもしれないけど、彼の能力の出来る出来ないが曖昧なので何とも言えない。

人の手助けがいる神々しい存在として見せるのなら、舞空術みたいに自由に空をビュンビュン飛び回ったり好き勝手に重力を操れない、単に宙に浮くことができるだけの男ってくらいのバランスの方がこの作品的には合ってたのかなと。

 

まとめ

ポスタービジュアルだけ見ると、TSUTAYAの棚に1本だけ置かれる【クロニクル】に影響を受けたB級映画に判断されかねないけど、そういうチープな作品では無かったです。観る人によってもっと高評価を付ける人もいるだろうし。映像の面で言えば観る価値ありです!

評価:★★★☆☆ 星3つ!

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