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ミスミソウ【映画ネタバレ感想】胸糞注意で満足度高め!絶望が充満する田舎の惨劇!

映画『ミスミソウ』ネタバレ感想/評価

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どうも、アバウト男です!

今回観て来たのは、実写化不可能と言われている押切蓮介作の同名漫画の実写映画化【ミスミソウ】。実話を基にした【先生を流産させる会】の内藤瑛亮監督の最新作。

【先生を流産させる会】自体は、纏わりつくような不快感や閉塞的な息苦しさなどの作品が持つ『嫌〜な感じ』に関しては好感は持てたんだけど、最終的にはあまり心に残らなくて。

ただ今回は単純に本作の予告を観て惹かれました。原作漫画は未読なので、今回原作と比較した感想ではありません。ちなみに軽めのネタバレをしてます。

 

あらすじと予告

東京から田舎に転校してきた野咲春花(山田杏奈)は、学校でひどいいじめを受けていた。唯一心を許せる存在は、同じ転校生の相場晄(清水尋也)だけだった。彼の存在を頼りに学校生活を送っていた春花だったが、いじめはどんどんひどくなっていく。ある日、彼女の自宅が火事になってしまい……。

予告編:映画『ミスミソウ』予告 ムビチケ告知ありver - YouTube

 

青春とは程遠い赤春映画!

観て来た率直な感想は、

これは、かなり胸糞悪くて満足度高めな日本映画の登場!

クラスメイトから壮絶ないじめにあい、最終的に両親まで焼き殺されてしまった少女の復讐劇から始まり、閉塞的な田舎で学生たちの行き場の無い狂気が飛び交う。話はシンプル且つ濃厚!そしてスプラッター映画ばりに血は過剰に吹き出し、顔はどす黒く晴れ、痛いバイオレンス描写の連続!

甘酸っぱい青春映画とは程遠い、言うなれば雪景色に血の赤が映える絶望たっぷりな『赤春映画』。それでいてどこか儚く凛とした美しさも兼ね備えてる。

未熟ゆえの無邪気なノリから次第に後戻りできない事態へと発展する胸糞悪い物語と、半ば笑ってしまうほどのゴア描写とのバランスが絶妙で、個人的にはかなりツボな作品でした!

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(C) 押切蓮介/双葉社 (C) 2017「ミスミソウ」製作委員会

 

王道な復讐劇として楽しめる

中盤まではわりと王道な復讐劇として楽しめました。いじめグループに家族を焼き殺され、命は取り止めたものの幼い妹も丸焦げ状態。ついに糸の切れた春花が覚醒しクラスメイトを次々と殺して行く。

ここからは春花無双!

殺されるなんて微塵も思ってなかったいじめグループの女仲良し3人組は慌てふためいてギャーギャー喚く。突然過ぎて応戦する思考なんか追いつかない。防戦一方にやられて行く様もリアルで良い。

その際に目に釘がつき刺さった子が「これ抜いちゃうとヤバいよね…?」なんてテンパりながら友達に聞く辺り、生々しくて良かったですね!ただ1つ1つの殺しが結構アッサリしてたので、あれだけの事をされたらもう少しやってくれても良かったかな。

展開的に良いなと思ったのが、まずは否応なく殺されるヤツらの場面を見せてから、その後ボーガンや改造したモデルガンで武装して「殺される前にこっちから殺してやる」って反撃するヤツら出てくるくだり。外国映画だとよくある展開なんだけど日本の作品だとあまり見かけなくて、こういう何気ない2段構造も嬉しいですね。2人組がデブとヒョロみたいなキャラ設定も分かりやすいし。

 

で、復讐劇としてスカッとさせる反面、春花の親がどう焼き殺されたのか放火のプロセスを逐一合間に挟み込む演出も、春花と供に観客の『怒りの火』を消さないために機能してました。

 

厄介キャラ『流美』の存在感

本作一番光っていたのは大塚れな演じる流美というキャラクター。作品に出てくる厄介キャラとして存在感と熱量から来るイカれっぷりは凄まじかったですね!

元々春花が転校生してくる前にいじめの標的だった流美。いじめによって精神がぶっ壊れたのと、自分が再びいじめの標的にならないように、いじめグループに参加し結果的に春花の家を放火した主犯となる。

可哀想な存在でありつつも、絶対的な憎むべきで存在でもある難しい役どころを見事に振り切った演技で魅せてくれた大塚れなちゃんのこれからの活躍に期待ですね。憑依型というか二階堂ふみ的な素質を感じました。右の子です↓

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(C) 押切蓮介/双葉社 (C) 2017「ミスミソウ」製作委員会

それと担任の先生使い方も良かった。生徒の問題を見て見ぬ振りする類型的な教師像からさらに一歩踏み込んでて、見るからに病んでる彼女にある過去を背負わせることで、今回のテーマをアシストする形にもなっていて。ちょっとした部分だけど、考えられてるなぁと。謎に眉毛が濃いってのもシュールでしたね。彼女の末路もおバカホラー的で最高でした!

 

終盤の2つのひねり展開

終盤に差し掛かるまでは「単なる少女の復讐劇で終わりかぁ〜」なんて正直物足りなさを感じてたところに、用意されていた2のひねり展開。この展開がいかにも王道を外したカルト漫画然としていて、原作が人気なのもなんか頷けました。

1つ目は、いじめグループの主犯格である妙子と春花の関係と、いじめの理由。

2つ目は春子の心の支えであった清水尋也演じる相葉の本性。

中盤までのシンプルな復讐劇としての構造や、物足りなさ残る抑えめの殺しシーンが、この2つの展開を引き立てるためにあったんだなと。ちゃんと後の事を考えての敢えてのバランスでした。

この2つの展開で加点!加点!って感じで評価がググッと上がりましたね。序盤の胸糞悪い展開、中盤までの王道な復讐劇、往生際の悪い厄介キャラ流美の暴れっぷり、主犯格であり影のある妙子の心の内、お前だけは信用できると思っていた相葉の本性と…  ホント一筋縄では行かない!そして色々サービス満点で楽しめるポイント多し!素直に面白かった!

 

まとめ

全体を観た時に、いじめ、外部や他者への拒絶反応、刺激や娯楽のない息苦しい思春期、閉じられら世界と狭い価値観など『閉塞的な田舎町』の闇というか歪みを掬って、それをエンタメ作として上手く昇華できてたなと思いました。

土臭くささ漂う田舎感、どギツめなユーモア、時にドキッとする美しい場面や映像的なこだわり、主演の山田杏奈ちゃん然り若手役者による今しか表現できない熱演などなど、諸々に心掴まれました。

評価:★★★★☆ 星4つ!

本当は満点でも良いんだけど… わざわざ言葉にしなくても分かるのに登場人物にセリフとして言わせちゃってる勿体ないシーンが2〜3箇所くらいあって、そこがマイナスポイントですね。あそこをグッとこらえて画で見せ切ってたら最高でした。

【先生を流産させる会】で未完だった監督としての手腕が、今回の漫画実写化でポテンシャルを引き出されいよいよ完成された!みたいな、そんな印象を受けました。

エグめの日本映画でいうと三池崇史や園子温に期待が持てなくなった今、内藤瑛亮監督がいますよ!とみんなにオススメしたいです。

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