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映画が好きなんだけど観たそばからすぐに忘れていってしまうアバウト男の鑑賞備忘録ブログ

いぬやしき【映画ネタバレ感想】やるときゃやるぞ!これが日本流ヒーロー映画だ!

映画『いぬやしき』ネタバレ感想/評価

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どうも、アバウト男です。

『GANTZ』でお馴染みの奥浩哉原作の同名漫画を実写映画化した【いぬやしき】を観て来ました〜!原作は一通り読んだはずなんだけど、半分くらい忘れてうろ覚え状態。

今回は『とんねるずのみなさんおかげでした』が終わった今無性に俳優:木梨憲武の姿をスクリーンで観たくなったと、もしかしたら同じく佐藤信介監督が手がけた【アイアムアヒーロー】ばりに面白かったりして!?なんてざっくりしたノリで鑑賞して来ました。オチには触れてませんが展開はネタバレしてます。

 

あらすじと予告

定年を控えるうだつが上がらない会社員・犬屋敷壱郎(木梨憲武)は謎の事故に巻き込まれ、目が覚めると見た目は変わらず、体の中はサイボーグになっていた。超人的な能力を手にしたことを自覚した彼は、その力を人のために使うことで存在意義を見いだすようになる。一方、犬屋敷と同様の事故で同じ能力を備えた高校生・獅子神皓(佐藤健)は、敵対する人間を全て消し去りたいと考え……。

予告編: 映画『いぬやしき』【予告】4月20日(金)公開 - YouTube

 

これが日本流ヒーロー映画だ!

観た率直な感想は、

あら、面白いじゃん!!!

原作をなんとなく知ってる立場からすると、なかなか漫画実写化として良い出来でした。良作の【アイアムアヒーロー】からクソつまらなかった【デスノートLNW】など、出来の振り幅がある佐藤監督だけど、今回は【アイアムアヒーロー】方向、つまり出来が良い方に転んでくれました!これは全然成功してる部類に入るでしょ。ある意味ズッコケた【GANTZ】実写化2作のリベンジに成功!

2時間の作品に落とし込むにあたって、原作からいらない部分を端折りストーリーをコンパクトにまとめ上げ、突如人間ではなくなり神のような特殊能力を持ったサイボーグになってしまう冴えないジジイと高校生の2人。能力を得た事で浮き彫りになる人間性とその後分かれる2人の運命。

【シン・ゴジラ】でも活躍したCGチーム『白組』によるVFXをこれでもかと駆使した新宿の街で繰り広げられる爆発あり、空中戦あり、肉弾戦ありのバトルアクションにアガる事間違いなし!

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 【アイアムアヒーロー】が海外にも引けを取らない『日本流ゾンビ映画』という立ち位置なら、この【いぬやしき】はMCUに代表される世界中で人気の『スーパーヒーロー映画』に果敢に挑戦した『日本流スーパーヒーロー映画』だ!この泥臭い感じも良いじゃないですかねアメコミ映画を撮った監督さんに観せてみたら意外と面白かってくれんじゃないか?

ジジイがスーパーヒーロー!?クレイジージャパーン!

 

申し分ないキャスティング!

まずはキャスティングがバッチリでしたね!特にメインの2人。

主人公の壱郎役に木梨憲武っていう絶妙な配役。おじいちゃんに見えちゃうほど老けてて頼りない父親像でありながら、ちゃんと画として保つ主人公感と佇まい。

それでいてぶっ飛んだ内容なので、静から動・オーバーアクトまでを熟せる表現力、得意分野である顔芸&リアクション、上裸で戦うにあたって太ってない中肉中背の身体つきなど、総合的なバランスが良く適任でした。 

もう1人の特殊能力を得る高校生の皓を演じるのは【るろうに剣心】【バクマン】【亜人】など、漫画実写化俳優として抜群の安定感を誇る佐藤健。キムタクばりに佐藤健ってどんな役をやっても基本佐藤健なんだけど、今回の皓という役どころはそのいつもの佐藤健である事が違和感なくマッチしてました。

素朴で内に秘める優しさを垣間見せつつも、実のところ冷酷なサイコパスっぽい雰囲気を纏うのが上手い!彼の『死んだ目』演技は日本の宝と言ってもいいだろ。

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映画でほとんど見る事のない木梨憲武と、映画で見慣れてる佐藤健との対比が、突如として現れたヒーロー VS 誰にでも悪になり得てしまう普遍的なヴィランの構図に上手くハマってましたね。

それと壱郎の娘の麻理役に、芸能人になるべくして生まれて来たようなルックスを持つ三吉彩花を持ってくる辺りも、木梨憲武とのバランスが取れてたし好感が持てる。同じアミューズ繋がりで佐藤健のバーターとは思うけど、今回しっかりと爪痕を残し、これからもっと女優として目にする機会が増えそう。ショートにしてから覚醒してました!二階堂ふみも少なめの出演時間ながらきっちり存在感ある役どころを好演。

 

やるべき事はやった全力のVFX!

今回はCGチーム『白組』が今、日本で表現できる最大限のVFXを見せつけたな!と思うくらいにVFX表現に関しては他の日本映画よりも頭一つ抜きん出てましたね。

肉体から重厚なメカが飛び出してくるサイボーグ的なビジュアル、新宿歌舞伎町の細い通りを看板や窓ガラスを割りながら縦横無尽に飛び回るバトルアクション。ヘリとの絡みやトンネルでのチェイスシーン、誤魔化しの効きにくい昼間のシチュエーションで行われるCGと実写の繋がりと切り替えなんかもとてもスムーズに感じられました。

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苦言を呈すなら、別撮りした背景と人物の合成シーンはどうしてもまだ『馴染ませ』が甘いですね。。これが限界なのかな?主に空撮の映像と別撮りした人物との合成に関しては、まだまだ合成感が拭えない。観ながら撮影してる様子とか頭に浮かんじゃって。是非ともそういうノイズを抱かせないクオリティーまで持って行って欲しい。

でも制作期間やバジェットを差を考えたら、ハリウッド作に劣るのは目に見えてる中、それでもこのクオリティーまで持ってけてるのは凄いよ!

 

特殊能力との向き合い方

物語で、壱郎と皓の2人はそれぞれ同じ能力を手にするんだけど、壱郎は病院に出向き見ず知らずの子の重病を治す事に能力を使う。その活動が家族の誰からも期待されず必要とされない寂しい存在であった彼の生きる糧となった。

片や皓は独り身で育ててくれた母を気にかけるも、銀行の預金を書き換え多額の現金を得たり、能力を使い見ず知らずの家族を思わず皆殺しにしてしまう。

特殊能力を得た事で、その人が持つ人柄や本質が浮かび上がるのと同時に、その能力をどう使うか、間違った方向に使った際の代償なんかもシッカリと描かれてるので、単にバトルシーンばかりに気を遣ったアクション映画にはなってない点も個人的には高評価できる。

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中でも話として良いなと思ったのは、ローンの返済や妻の詐欺被害で正直金に困ってる壱郎は、能力によってお金を得ようとはしないんだよね。皓を見て分かる通り能力を使えばいくらでも金を得る方法はあるのに、ハナから『金を得る為に能力を使う』って発想がないから、万能でありつつも能力を得る前と同じように苦悩するし、ジレンマが起きる。万能な能力があってもその人にその意思が無ければ、能力が無いのと同然で。

はたまたその逆もあって、能力を得た事で人を殺すって一線を越えてしまったのが皓。自らの煮え切らない感情を無関係な家族にぶつけ、結果として皆殺しにした事が能力を持つ者としての代償となり、彼の運命は下り坂を転がるように転落し、気付いたら能力者であるもののヒーロー側ではなくヴィラン(悪役)側になっていた。

MCU作品でもよくあるじゃん?特殊能力を持った者の意思や思想、それによる行動でヒーローなのかヴィランなのかかが分かれてしまうし、結局使い方次第(自分次第)でどっちの立場にでもでもなり得る。

 

本作と同様に『特殊能力を得た人間』を描いた作品だと、スーパーヒーロー映画の他に【AKIRA】【クロニクル】【ジャンパー】とか。得た能力によって己の運命が翻弄されるタイプの作品だと【デッドゾーン】や【バタフライ・エフェクト】など。本作【いぬやしき】もそのラインと並んで語られる作品の一つになったんじゃないかな? 

 

まとめ

漫画原作を無理なく一本の映画として落とし込みつつ、VFXを駆使したド派手なアクションもそうだし、能力を得た壱郎と皓の描き込みも怠らず、佐藤監督作の中ではかなり良作な方だと思います。原作知らなくても全然楽しめますよ。

評価:★★★★☆ 星4つ!

細かく観ていけば気になる点はあるよ。壱郎の仕事の出来なさはあまり同情できないし、頑張って仕事してるけど人が良いから結果いつも損する役目くらいの設定の方が良かったなとか。いくら家族から興味を持たれてなくても新居を1人で決めるかあり得ないだろ!?とか、水と食塩の設定も『終わったかと見せかけてまだだった』って展開の為だけの設定なのか?!とか、類型的な描写も多々見られ新鮮味が足りないとかね。

そういう小言を飲み込むくらいに観てて楽しかったので【レディプレイヤー1】と並んで部が悪いですが、観る価値ある作品には違いないです。佐藤監督の次作【BLEACH】の実写の方が恐らくコケるしヤバいだろ。

実際にズッコケた作品↓