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映画が好きなんだけど観たそばからすぐに忘れていってしまうアバウト男の鑑賞備忘録ブログ

ザ・スクエア 思いやりの聖域【映画ネタバレ感想】ブーメラン映画!自分自身を試されるアート的作品!

映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』ネタバレ感想/評価

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どうも、アバウト男です!

今回観てきたのは映画は【ザ・スクエア 思いやりの聖域】です。あの男として・父親として『お前やっちまったな〜!』映画【フレンチアルプスで起きたこと】のリュベール・オストルンド監督の新作ということで「あ、きっと面白いやつ〜」と思い足を運びました。

この作品、第70回カンヌ国際映画祭の最高賞『パルムドール』受賞作なんだね!パルムドールといえばテレ東ドラマ【山田孝之のカンヌ映画祭】を思い出すなぁ。まだ虎視眈々と狙ってんのかな?

 

あらすじと予告

美術館のキュレーターとして有名なクリスティアン(クレス・バング)は、良き父親であり、慈善活動を支援するなど、周囲から尊敬されていた。他人への思いやりを促すインスタレーション「ザ・スクエア」の準備に追われていたある日、彼は財布とスマートフォンを盗まれてしまう。それらを取り戻すために彼が取った行動が、思わぬ事態を引き起こし……。

予告編:映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編 - YouTube

 

人間の本質を突き付ける

観て来た感想は、

面白かったです!

…けど【フレンチアルプス〜】ほど好きかっていうと、そこまで抜けて来ない。でもまぁホント監督の意地の悪さはクセになる!

「全ての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という『思いやりの聖域』をテーマにしたアート作品『ザ・スクエア』のお披露目を控えた美術館のキュレーターであるぱっと見イケてるオジさん主人公クリスティアンを取り巻く毒っ気たっぷりの静か〜なドタバタ劇。

理想のようなコンセプトを掲げるアート作品『ザ・スクエア』と、そんな理想を踏みにじるかのようなクリスティアンが直面する『厄介事』とが対比となって、時にシニカルに時にシリアスに人間の本質・ダメさ・醜態・滑稽っぷりを苦々しくも可笑しく突き付けられる作品でした。クリスティアンに関しては自分が蒔いた種のせいでもあるんだけど。

この映画自体が観た人に『悟らせる』アート作品のように機能してる点もテーマと合っていて良かったですね。

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【フレンチアルプスで起きたこと】で輝きを見せていた『心底意地の悪い展開』や『その場から逃げ出したくなる居た堪れない空気感』の演出も抜群で、そこに映画的なフォロー(説明)をしない『モヤっとさせる素っ気なさ』=言い換えれば『語れる余白』を入れる余裕まで加わって、毒っ気パワーアップ!

アート作品と同様に言葉で説明されるよりも実際観てもらって、それぞれに悟ってもらうのが一番!というタイプの作品でした。

 

 

 

自らに返ってくるブーメラン映画

本作でちょっと判断しにくいんだけど、スウェーデンというお国柄的な行動なのか、はたまた国籍関係なく人間ってそういうところあるよね?って行動なのか、若干混ざってる気もしなくも無いが、人間のダメさや側から見たら歪んでる様子・やり取りを、割とてんこ盛りに見せられる作品でした。

クリスティアンで言えば、スリに遭った後スマホと財布を盗んだであろう犯人が住むマンションをGPSで割り出したまではいいが、全戸に脅迫めいた手紙を投函する暴挙に出てしまったり、忙しさにかまけて後に大炎上する『ザ・スクエア』のPR動画の内容をロクに確認しないでOK出しちゃうとか。

クリスティアンの部下は芯が無く口ばっかで、飯を恵んでもらうホームレスのオバさんは厚かましかったり、マンションの住人で泥棒と勘違いされて怒り狂うガキはやたらしつこく絡んで来たり、美術館の清掃員は楽をしようとしてアート作品をぞんざいに扱ったり…まぁ色々と。

でも、それらの様子や行動が立て続けてナチュラルに物語に差し込まれてるって事は、恐らくそれだけ自らが普段そういう行動を取っていたり、そういうやり取りや場面に遭遇してるんだろうなと。

自分の投げたブーメランが忘れたタイミングで勢い良く返って来るかのようなヒヤリとする感覚。

街中でどこからか「助けて!」という声が聞こえて、一応は振り返るも結局誰かが対処するだろうと、そのまま歩いて去っていく群衆だったり、スリの件が前フリで効いてる後で訪れるホームレスの人に買い物をした荷物を見ててくれと頼むシーンなど自分自身を試される映画でもありました。

 

そういうやり取りの中で『あるある』とまでは行かないけど、男なら誰しも恐怖を抱きつつ共感して笑えてしまうのは、クリスティアンが「寝ないぞ」とは言いつつ結局勢いでSEXしてしまった女性記者のアンが、使用済みのコンドームにやけに執着してクリスティアンが戸惑う場面。

確かに「私が捨てくるからコンドーム渡して♪」って、コトが終わった後間髪入れずに言ってくる嫌〜な怖さたるや。笑

いやいや、なんで!? 自分で捨てるし。笑えるんだけど領域としては完全にホラー。

なんか嫌な想像を掻き立てられるのと同時に、アン役の女性がちょっと何しでかすか分からない系のヘラってる雰囲気がまた絶妙で、ナイスなキャスティングでした!

しかも彼女の部屋にはチンパンジーが歩きまわってて、恐らくペットなんだろうけど…それについて一切の説明がなく、あの一連のやり取りを観るだけでも一見の価値があります。

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地獄のような晩餐会

同じような異様な時間で言うと、監督の売りでもある『居た堪れない空気感』も存分に味わえる。神経の病気か何かで暴言を吐かずにはいられない人が見に来てるグズグズなトークショーもそうだけど、より強烈なのは美術館の会員?を招待して開かれた晩餐会のシーンだ。

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美術館側がサプライズとして会場に野蛮人に扮した男を投入し「彼は人の恐怖心を感じ取ります、怖がらずに堂々としてください」と、さながら野生の肉食動物がいるジャングルを疑似体験させるインスタレーションを実施するんだけど、

それがもう目も当てられない事態へと発展、完全に事故です。

主催者であるクリスティアンの言葉を無視し、野蛮人役の男が暴走し始め、終いには招待客を襲ってしまう。その姿は完全に野生動物そのもの、ヘタに動けば自分が襲われるので周りは見て見ぬ振り。野蛮人を嘲笑う立場から襲われる立場になり、映画を観客もその場にいるような緊張感に襲われたのと同時に、映画【アレックス】の『あのシーン』に匹敵するインパクトを残した。

 

 

 

普遍的な本作のメッセージ

蒔いた種を見事食うことになるクリスティアンを主人公とした本作のメッセージとしては

自分の行動には責任を持てよ

というとても普遍的なメッセージが込められてるように感じました。行動には責任が伴うし、いい加減な行動ほど後で自分に返って来る。それこそ相手や受取手への『思いやり』が不可欠で。

セクハラ議員やTOKIO山口の問題だけじゃないけど、もっと早めに本作が公開されるべきでしたね!鉄腕DASH好きなのに。

『思いやりの聖域』をテーマに掲げるアート作品『ザ・スクエア』を連想させる、マンションの螺旋階段やチアリーディング大会の競技場、スマホの画面なんかもそうなのかな? 日常のシーンでいくつか見られるスクエア(四角形)を見ると、わざわざアート作品として『思いやりの聖域』を掲げるんじゃなく、日常全ての空間が本来そうであるべきというメッセージにも取れる。特に一瞬のミスが事故に繋がりかねないチアリーディングなんて仲間との思いやりが無ければ成立しないスポーツだしね。

しつこいガキを巡るなんとも煮え切らないラストなどこの映画を観た人と語りたくなって、語る事で自分自身がどういう人間か見えてくるような効果含め、不思議な面白さを持つ作品でした。

 

まとめ

なんとなく観る前印象は、理想的なテーマのアート作品『ザ・スクエア』が定めたルールによって自らが苦しめられる的な作品かと思いきや、あくまでも本作のメッセージアート作品のテーマで最初に打ち出して、その対比として人間の滑稽さや醜態を見せて『悟らせる』作りでしたね。

評価:★★★★☆ 星4つ!

監督が敢えて狙ってた抜けの悪いラストに、観た直後は星3つくらいの印象だったんだけど、感想を書くにあたってこう思い返すと万人にオススメしたい素敵な『戒めブーメラン映画』だったなと。あと実際に美術館に行きたくなる!

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