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フロリダプロジェクト【ネタバレ映画感想】ラストを除けば傑作!カラフルな映像で描く母娘の物語!

映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』映画感想/ネタバレ/評価

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どうもアバウト男です!

今回観て来た映画は【フロリダプロジェクト 真夏の魔法】という作品です。全編iPhoneで撮影した【タンジェリン】という作品が話題となったショーン・ベイカー監督の新作で、本作に出演してるウィレム・デフォーがアカデミー賞助演男優賞ノミネートされたとの、本作がアカデミー賞で低く見積もられ過ぎだという声も耳に入って来ていたので、気になって観て来ました。

過去作の【タンジェリン】は気になっているんだけどまだ観てません。ずっと前にTSUTAYAの新作5本1000円セットで借りたんだけど、観きれなくて返した覚えがあります。

 

あらすじと予告編

家を失った6歳の少女ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)と母親ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)は、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの近くにあるモーテル「マジック・キャッスル」で生活している。周囲の大人たちが日々の暮らしに苦しむ一方、ムーニーは子供たちと無邪気に遊び、管理人のボビー(ウィレム・デフォー)は彼らを見守っていた。ところがある出来事を機に、ムーニーの日常は一変し……。

 

 

 

夢のような時間と現実

観て来た感想は、

めちゃくちゃ良いのは間違いない!ラスト手前までは傑作を予感したのに…

けど、あの終わり方じゃ正直喜べない。ダメ!

フロリダにあるディズニーワールド(ディズニーランド)近くの安モーテルに住み着いてる住人たちの、お金は無くても微笑ましい人間関係やコミュニティの中で垣間見えてくる細やかな生活の様子を、主に子供のムーニーの視点を通して描かれた良質なヒューマンドラマでした。

全体的に、建物の外壁や登場人物が着てる服のパステルカラーや、青空や木々の緑・夕焼けのオレンジなど自然の色と空気感を捉えたカラフルな映像が特徴的で、観てるだけ気持ちを明るくさせてくれる。

目に優しいじゃなく、目が嬉しい!って具合に。特に夕陽に照らされるシーンは最高。個人的にキレイな夕陽が出るだけでポイントアップ!

それと同時に貧しい生活環境の中で生きるたくましさや、夢のような時間と叩きつけられる厳しい現実とのギャップも印象的でした。ラスト間際、いつも陽気に明るかった子が、自分が置かれた状況を理解し、思わず感情が漏れ出した瞬間のあのエモーショナルさたるや!

ホントあそこは泣きました。。

まぁ、その後が問題だったんだけど…

 

 

貧困層の暗くない暮らしぶり

ヘイリーとムーニー母娘が家賃として毎月まとめた金額を払って住み着いてるモーテル『マジック・キャッスル』はディズニーワールドすぐ近くにある安モーテル。

本来は『夢の国』を楽しんだ若いカップルが、帰りにヤる又は一泊して行くような安いラブホな的な場所なんだろうけど、結局のところ様々な事情を抱えた貧困層が行き着つ『終着点』の場所のようになっていて、どうやらほぼ7〜8割の部屋は住居と化してるっぽい。

子供たちは仲良くつるんでモーテルの周りで遊びまわったり、いたずらをして日々を過ごし。親同士や新入りも同じような境遇からかすぐに仲良くなり、モーテル周辺だけ隔離されたような独特なコミュニティが築かれてて、みんなそれなりに楽しく生活している。 

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この映画が良いのは、貧困に対して決して暗くならずみんなそれなりに明るく楽しく過ごしている点だ。貧しくて中にも楽しいことや些細な幸せはあって。子供に至っては自分が貧しいだなんて思っても無いんだろうな。だからこそムーニーの視点で描かれる本作はキラキラとしていて。

そういう人達がいるんだなってのを知れるだけでも観た価値があるし、幸せの振り幅なんかも考えさせられた。

子供の靴が汚いちょっとした描写で貧しさを見せる辺りもリアルで良き。服は毎日着替えても靴はずっと同じ靴を履いてるみたいな。

あと、就職の目処が立ったり今より少し生活に余裕ができて来ると、あのモーテルを出て行くって暗黙の了解みたいなものが住人間であるんだろうな。友達家族が引っ越して行くシーンはそういう事なのかな?と勝手に解釈したけど。

 

 

 

無邪気な子供たちにハラハラ

都内に住んでると今はあまり見かけないけど、あの位の年齢の子供たちだけで自由に外を遊びまわる様子。親の目の届かないところで、子供たちだけでいる時間が微笑ましくも、変な緊張感があって。おかげで目も冴えまくり。

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モーテル周辺の廃墟と化した空家、沼っぽい池、交通量の多い大通りやバスタブなど。映画とかよく観る人ほど「あれ…もしやここで大変なことが起こるなるじゃないか?」とハラハラさせられるが、意外とスカして来る辺りも面白く、セリフ然り無邪気な子供の姿を上手く描けてたなと思う。

中でもモーテルの外で遊んでいる子供に声掛けるペドフェリアっぽいじいさんが登場するシーンもドキドキしました。フロリダとか結構あの手の不審者とか多いのかな。で、そこに登場するのモーテルの管理人であるビリー。最終的にじいさんに焼き入れる辺りも素敵で。この物語はボビーの物語でもあるんじゃないかな。

 

 

管理人ボビーのナイスな存在感

モーテルの管理人であり、あのコミュニティ内の親戚のおじさん的なボビーの存在はこの映画の良さをグンと引き上げていた。あんなオジさん近所に1人欲しい!マンションの管理人があんな人なら良いな。

それくらい管理人として厄介ごとにもちゃんと間に立ってくれたり、無邪気な子供たちの事を気にかけてたり、何かと忙しく大変な役目ではあるんだけどそこまでガミガミ言うほどうるさくもなく、愚痴も言わず。それを渋み100%のウィレム・デフォーが演じてるんだから、アカデミー賞助演男優賞ノミネートも頷ける!

ヨレた味気ないTシャツに首の後ろに深く刻まれた皺も味があったね。陽が落ちた廊下で一服する姿も良かったなぁ。

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ボビーの物語でもあるって思ったのは物語の終盤、ヘイリー母娘の元に児童保護の人が来て母娘離れ離れになりそうな場面で、ボビーの何とも言えない表情がアップめで映るんだけど。

貧困層の家族を受け入れるようなモーテルを管理しているボビーは、きっと今までモーテルで色んな家族を見て来たんだろうなと。ヘイリー母娘のようになってしまう家族も決して少なく無くて。自分にはどうする事も出来ないやり切れなさが彼の姿から滲み出ていた。

思うように生きられない貧困層の家族とそれを受け入れつつも見守る事しか出来ない支配人の物語。今現在もフロリダのあの辺りでは映画と同じような暮らしをしてる人がいるのだろう。

引いた視点で見ればヘイリーの自業自得にも見えるけど、貧困層の中にはあぁいう方法でしか生きてけない人もいるのかな思うと現実は厳しいよな、

最近、安定して安い給料を貰える会社を辞めフリーになろうと考えていて、改めて仕事を貰って食って行くって大変だなぁと感じてた矢先にこの映画と出会って、国や環境は違えどなんか思うところがありましたね。

 

 

ある意味衝撃的なラスト

本作、これは誰もが【アベンジャーズ インフィニティウォー】レベルに唖然とするある意味衝撃的なラストで幕を閉じたんだけど、

あれは完全にイカンですね!

ラスト直前、終始明るかったムーニーが自分の置かれてる状況を察知し、感情が溢れ涙を見せたシーンまではホント最高で、実際におれも一緒に泣いたんだけど…

その余韻も与えないまま軽快な音に乗せ、撮り方や画の質感が変わっての、唐突なあのラスト。

ふぇええ、… 終わり?!!… 何してくれてんだよっ!!!

今まで積み重ねた数々の良さを一気に台無しするような締まりの悪さ!あの涙のシーン後から急に別の監督が撮ったのか?と疑いたくなるような変な方向に転んで終わっちゃって。あと15〜20分くらいちゃんと描くべきだったよ。

なんだよあのラスト。涙もスッと引いてっちゃいましたね。

 

 

まとめ

天気が悪くなると良くないことが起きるベタな見せ方とか、ヘイリーが子供と対等に話すフラットなスタンスとか、ヘイリーに比べて放火の件や暴行された事を頑なに飲み込んだスクーティの母親のちゃんとしてる感とか、色々と細かく刺さる部分もあって。

とにかくカラフルさもそうだけど、陽の光や立体的な分厚い雲とか、画切り取り方が素晴らしかった!撮影監督のアレクシス・サベという名前はこの先覚えておいて損は無いと思います。煽りめのアングルが多いのもツボでした。

評価:★★★★☆ 星4つ!

ラストがそのままグッと来る締め方であれば、今年ベスト10に入ってもおかしくない程、個人的良かった作品だけあって、ホントあのラストだけは勿体無かったなぁ… 今度【タンジェリン】も観てみようと思います。

タンジェリン(字幕版)

タンジェリン(字幕版)