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万引き家族【映画ネタバレ感想】女優陣3人のラインが素敵!カンヌよこれが日本だ!

映画『万引き家族』ネタバレ感想/評価

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どうも、アバウト男です。

途中まで書いて「もう良いや」とずっと放置してた是枝裕和監督最新作【万引き家族】の感想を遅くなったけど無理やりまとめました。

実は公開日1週間前の特別上映時には観てて、すでに内容は朧げです。今映画自体はそれなりに観ているものの、ここ最近なかなかブログやツイッターに手がつかない状態ではあります。

 

あらすじ&予告

治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。

 

是枝監督の新たな家族映画

見てきた感想は、

監督の過去作と比べて若干暗めな作品だったけど、ちゃんと面白かったです。

是枝監督作は観ている時・観終わった時の感情を言葉にし難いですね。楽しい・微笑ましい・悲しい・切ない・やるせない・怖い、、その色々な感情をさざ波のように感じながらも、基本としては近い距離感で物語にひたすらに身を任せてそれを見届けるだけ。本作もそんな作品でした。他の監督の作品よりも良い意味で『無』の感情で観てる時間が長いかも。

カンヌの傾向やパルムドール受賞の要因は正直分からないけど、過去作よりもどこか陰鬱な空気が薄〜く漂ってて、貧しくても精神的に豊かな生活描写の中に、普段隠れていて見かける機会は少ないのかもしれないけど、確かに日本のどこかしらにはある家族の問題や貧困の問題だったりをちょい重めに組み込んだ印象。

過去作【誰も知らない】や【歩いても 歩いても】の美味しい要素も上手く配分されていて、是枝監督の集大成と言われるのもよく分かる。

多くの作品で『家族の形』を描いて来た是枝監督が、今回は血の繋がりを感じさせるものではなく、直接的な血の繋がりはなくても万引きという背徳的な行為や貧しい生活を分かち合うことで生まれた『絆』によって形成された家族を描いた新しい家族映画だったように思える。

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『万引き家族』ってキャッチーなタイトルと断片的な予告編だけで、やいのやいの言ってる人が数多くいるみたいだけど、決して本作は『万引き』を良しとして描いてる訳ではないし、実際劇場に行って自らの目で観て確かめて欲しいですね。その後で色々言うのは全然いいけど。

 

 

女性陣3人の存在感と演技力

一家の父親的ポジションの治を演じたリリーフランキーを筆頭に言わずもがな役者陣はこぞってレベルが高い。演技という枠を越え、そこに生まれて今まで生きてきただけの年季や生々しい生き方、人としての質感なんかもこちら側に伝わってくるような実在感がちゃんとあった。

その中でも女性陣3人のキャスティングの並びが素敵でした。実在感の鬼こと樹木希林を引き継ぐのは安藤サクラと言わんばかりの堂々としたナチュラルな好演。そして今まで安藤サクラが座っていた演技派の椅子に新たに松岡茉優が座るような。

今後の日本映画界に無くてはならない実力派女優を受け継いでいくかのような今回の女性人の並びがどことなく家族的であって、是枝監督はそこまで考えてキャスティングしたんじゃないかな?と勝手に思ってます。

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樹木希林のリアルおばあちゃん力

希林さんは【海よりもまだ深く】からより一層リアルおばあちゃん感が増しましたね。単純に歳を取ったのもあるんだろうけど、地球の重力にじんわり押されてるかのように縦幅が短くなり、その分横にちょっと広がった体型。というか人としての形。おじいちゃんよりおばあちゃんの方がそうなりやすいって印象があって、うちの死んだおばあちゃんの佇まいに凄く似てて。

誰かに何かを話してるわけでも無く、あの遠くを観ながら優しい顔付きで口をぱくぱくと動かしてる姿。あれは演技なのか?それともそんな瞬間を切り取ったのか? 唯一無二の存在ですね。

 

安藤サクラの落涙

安藤サクラの生々しいランジェリー姿とか色々と語りたい場面はあるんだけど、その中でも強烈に印象に残ったのは取り調べシーンで見せた涙を流す場面。

アレはちょっと凄いなぁ…

口を歪ませたり目が萎れたり声が漏れる事もなく、表情を一切変えず目から湧き出るかのようにぽとぽとと涙を流す。その流れる涙を一回一回顔からどかすように拭う。それでも涙が止まらなくて。

あぁいう泣き方ができる女優さんって他にいないんじゃないかな?外国含めて。あれだけリアルに一連のシーンで見せるって高次元ですよ。だってよく考えれば目の前にはあるのはカメラだよ。下手したらレンズに泣いてる自分が映ってるんだよ?女優さんってすげぇなと後になってひしひしと感じましたね。

にしてもなんだろうね、あの泣き方。言われた一言が思いのほか本人的にダメージがあって、それを悟られまいとしても勝手に涙が溢れて、それでも自分の気持ちを認めたくないみたいなね。日本が自身を持って推せる女優さんの1人じゃないでしょうか。

 

松岡茉優の兼ね備えてるエロス

【勝手にふるえてろ】ではボンクラ女を好演していた松岡茉優だけど、彼女は『普通さ』の体現レベルが高いですね。残念ながら可愛すぎるガッキーや石原さとみには決して入って来れない領域。

それなりに可愛いのはもちろん、なんといってもエロいボディですね。おっぱいこんなデカいんだ!?綾瀬はるかほど巨乳までいかないけど若干重そう。正直あのスタイルと顔からは想像出来なかった。着痩せするタイプだったか。

脱いだら実は…な体型が作品の内容としても活きてたし、池松壮亮を抱きしめた時の腕の筋や顔にかかる前髪など、表情やセリフ以外でさりげなく身体で役を表現できるのも素敵だなと。あの年頃の二面性というか何か抱えてる影なんかも感じられて、あのメンツの中でも埋もれることなくちゃんと存在感を放ってました。

個人的に持ってるニュアンスなんだけど、実力派(若手)俳優のポジションとして、男の菅田将暉と池松壮亮に対して、女は満島ひかりと松岡茉優みたいな。それくらい松岡茉優がキテる感じがしました。

 

 

のほほんの中にゾッとさせる

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【歩いても 歩いても】では、のほほんとした話の中に、樹木希林演じるお母さんが長男を死なせた加害者に毎年夏に挨拶に来させるように仕向けていたりと、思わずゾッとする場面がとても印象的だったんだけど、本作にもそれと似たような展開が見られて、是枝さんはこういう家族とか血縁とかのエグ味が好きなんだろうな。

今回の希林さん演じるおばあちゃんは、取られた元夫の家に定期的に顔を出し線香をあげていた。遺された息子夫婦は申し訳無さそうに茶菓子を出し、帰り際には幾らかのお金を渡す。

家族といえど、全てを知ってるわけじゃない他人ような側面を持つっていうのは【歩いても 歩いても】に通じるなと。

他にも明らかになる夫婦の過去や、年金が受け取れなくなる事を危惧して亡くなったおばあちゃんを家の床に埋めるという客観的な事実を見てもヤバい部分はちゃんとあって。。

是枝さんの登場人物との距離感、すごく寄り添ってるようで、でもそこまで肩入れもしてなくて、そのバランス感覚あってこそ成立してた作品だし、その塩梅が【万引き家族】という内容ながらも多くの人に受け入れられたんだろうなと思います。

 

 

まとめ

翌日砂浜で食べてた焼きトウモロコシは外国の人は理解できてたのかな?とか、そうめんからの生々しいSEXのくだりとか、細かい描写を書いてたらキリがないので書かないけど、今年の日本映画の中で押さえておくべき一本だと思います。

評価:★★★★☆ 星4つ!

個人的には是枝監督作の過去作【ディスタンス DISTANCE】【歩いても 歩いても】【海街diary】【海よりもまだ深く】の方が好きかな。